注意:
この機能はベータ版であり、まだサポート対象外です。
高度なスコアを使用すると、メンバーをエキスパートとして識別するバッジを授与できます。高度なスコアでは、メンバーが作成したコンテンツの量および質に基づいてポイントを割り当てます。一方、基本スコアでは、作成されたコンテンツの質だけに基づいてポイントを割り当てます。
この違いは、スコアの計算に使用されるスコアエンジンによるものです。基本スコアエンジンでは、単純な計算が適用されます。高度なスコアエンジンでは、アダプティブアルゴリズムに基づき、価値のある関連性の高いコンテンツを投稿したアクティブなメンバーにポイントを与えます。コンテンツの価値と関連度は、トピックの自然言語処理(NLP)を通じて推定されます。
このスコアアルゴリズムでは、コンテンツの関連度に加え、投票や回答の割合など、メンバーのアクティビティが考慮されます。基本スコアではアクティビティの数量のみを計算するのに対し、高度なスコアではアクティビティをアルゴリズム的に処理します。
したがって、高度なスコアエンジンの分析を意味あるものにするには、十分なデータが必要です。このアルゴリズムは作成されたコンテンツの量と質に順応するので、エキスパートになるまでの実績のしきい値は継続的に見直されます。メンバーの古い投稿の「減衰」という概念もあります。あるトピックでエキスパートになったメンバーが、そのトピックへの参加をやめた場合は、所定の条件が成立したとき(スコアエンジン設定を参照)にエキスパートとしてのステータスを失うことがあります。
高度なスコアの設定方法は、基本スコアとほとんど同じです。
- 基本スコアおよび高度なスコアとバッジ付与のルールは、同じ方法でコンテンツに適用されます。
- 基本スコアおよび高度なスコアとバッジ付与のルールは、同じコンテンツに適用できます。
- コンポーネントに対してバッジを有効化する方法も同じです。
スコアルールおよびバッジルールの設定では、以下の点が異なります。
- 設定できる高度なスコアエンジン
- 高度なスコアルール:
- scoringType を「advanced」に設定
- ストップワードが必要
- 高度なバッジルール:
- badgingType を「advanced」に設定
- badgingLevels を授与するエキスパートレベルの数に設定
- ポイントとバッジを対応付けるしきい値の配列の代わりに、バッジの badgingPaths 配列が必要
高度なスコアパッケージのベータ版は、ライセンス認証された AEM Communities の独立したアドオンパッケージとして使用できます。
使用するための要件は以下のとおりです。
- 基本的なスコアおよびバッジの機能を熟知していること
- 実稼動環境向けに公開された正式機能ではないと理解していること
- AEM 6.2 Communities または AEM 6.1 Communities FP4 以降がインストールされていること
- すべての AEM オーサーインスタンスとパブリッシュインスタンスに以下をダウンロードしてインストールしていること
- cq-social-expert-identification-pkg*
- v1.0.2
- 2016 年 5 月 25 日
* クラウドパッケージ共有リンクからインストールする方法について詳しくは、パッケージ共有へのリンクについてを参照してください。

- scoring weights
特定のトピックについて、スコア計算時に最も高い優先度を与える動詞を指定します。1 つ以上のトピックを入力できますが、1 つのトピックにつき 1 つの動詞に制限されます。トピックと動詞を参照してください。
「トピック,動詞」という形式で入力し、区切り文字のコンマはエスケープします。例:
/social/forum/hbs/social/forum\,ADD
デフォルトでは、Q&A およびフォーラムコンポーネントに対して動詞 ADD が設定されています。 - scoring range
高度なスコアの範囲は、0 からこの値までとして定義されます。
デフォルト値は 100 であり、スコア範囲は 0 ~ 100 となります。 - entity decay time interval
何時間経過したらすべてのエンティティのスコアを減衰させるかを指定します。これは、コミュニティサイト上にある古いコンテンツをスコアに含めないようにするために必要な設定です。
デフォルト値は 216000 時間(約 24 年)です。 - scoring growth rate
このパラメーターには、0 から scoring range 値までの範囲でスコア値を指定します。この値を超えると、エキスパートの数を制限するために上昇率が低下します。
デフォルト値は 50 です。
基本スコアでは、バッジ獲得に必要な量はあらかじめ決まっています。
高度なスコアでは、システム内の上質なデータの量に基づいて、バッジ獲得に必要な量が継続的に調整されます。スコアは正規分布に似た方法で継続的に計算されます。
あるトピックでエキスパートのバッジを獲得したメンバーが、その後あまり活動しなくなった場合は、時間経過に伴う減衰によってバッジを失う可能性があります。
スコアルールは、スコアサブルールの集まりです。各サブルールは、それぞれ scoringType を宣言します。
高度なスコアエンジンを呼び出すには、scoringType を advanced に設定する必要があります。
スコアサブルールを参照してください。

高度なスコアパッケージでは、ストップワードファイルを含む設定フォルダーがインストールされます。
- /etc/community/scoring/configuration/stopwords
高度なスコアのアルゴリズムは、ストップワードファイルに含まれる単語のリストに基づいて、コンテンツ処理中に無視して構わない一般的な英単語を識別します。
このファイルが変更されることはありません。
ストップワードファイルが存在しない場合は、スコアエンジンによりエラーがスローされます。
高度なバッジルールのプロパティは、基本バッジルールのプロパティとは異なります。
ポイントとバッジ画像を関連付ける必要はなく、許可するエキスパートの数と、授与するバッジ画像を指定するだけで十分です。

プロパティ | タイプ | 値の説明 |
---|---|---|
badgingPath | String[] | (必須)バッジ画像を指定する複数値文字列です。badgingLevels の数だけ設定できます。バッジ画像のパスを指定するときは、最も高いレベルのエキスパートに授与するものを最初に指定する必要があります。badgingLevels で指定された値よりもバッジの数が少ない場合、足りない部分には配列内の最終要素のバッジが使用されます。エントリの例: /etc/community/badging/images/expert-badge/jcr:content/expert.png |
badgingLevels | Long | (オプション)授与するレベルの数を指定します。例えば、「エキスパート」と「もうすぐエキスパート」の 2 種類のバッジを付与する場合は、値を 2 に設定する必要があります。badgingLevels の値は、badgingPath プロパティに指定されるバッジ画像の数と対応している必要があります。初期設定は 1 です。 |
badgingType | String | (必須)「basic」か「advanced」のどちらかのスコアエンジンを指定します。デフォルトは「basic」なので、「advanced」に設定します。 |
scoringRules | String[] | (オプション)バッジルールを特定のスコアイベントに限定するためのスコアルールを複数値文字列で指定します。 エントリの例: /etc/community/scoring/rules/adv-comments-scoring デフォルトでは制限はありません。 |
このベータリリースには、以下の報奨ベースのエキスパートバッジが含まれています。
- エキスパート
/etc/community/badging/images/expert-badge/jcr:content/expert.png

アクティビティに対する報奨としてエキスパートのバッジを表示するには、以下の 2 つの設定をする必要があります。
- バッジをフォーラムや Q&A コンポーネントなどの機能に対して有効にします。
- 高度なスコアルールとバッジルールを、コンポーネントが配置されているページ(または上位ページ)に適用します。
以下の基本情報を参照してください。
このベータリリースには、以下の 2 つのフォーラム機能用の高度なスコアルールが含まれています。(それぞれフォーラム機能のフォーラムコンポーネントとコメントコンポーネントで使用します)。
- /etc/community/scoring/rules/adv-comments-scoring
- subRules[] =
/etc/community/scoring/rules/sub-rules/adv-comments-rule
/etc/community/scoring/rules/sub-rules/adv-voting-rule-owner
/etc/community/scoring/rules/sub-rules/adv-voting-rule
- subRules[] =
- /etc/community/scoring/rules/adv-forums-scoring
- subRules[] =
/etc/community/scoring/rules/sub-rules/adv-forums-rule
/etc/community/scoring/rules/sub-rules/adv-comments-rule
/etc/community/scoring/rules/sub-rules/adv-voting-rule-owner
- subRules[] =
注意:
- rules ノードと sub-rules ノードは、どちらも cq:Page タイプです。
- subRules は、ルールの jcr:content ノードの String[] タイプの属性です。
- sub-rules は、複数のスコアルール間で共有できます。
- rules は、リポジトリ内の誰でも読み取れる場所に配置する必要があります。
- ルール名は場所にかかわらず一意である必要があります。
このリリースには、フォーラムとコメントの高度なスコアルールに対応する 2 つの高度なバッジルールが含まれています。
- /etc/community/badging/rules/adv-comments-badging
- /etc/community/badging/rules/adv-forums-badging
注意:
- rules のノードは、cq:Page タイプです。
- rules は、リポジトリ内の誰でも読み取れる場所に配置する必要があります。
- ルール名は場所にかかわらず一意である必要があります。