このチュートリアルでは、Adobe Illustratorを使用して、レトロ風のロゴデザインを作成する方法を説明します。ユニークな字形のAdobe Fontsを使用したロゴの文字列をもとに、異体字のポップアップ、字形パネル、白のドロップシャドウ、線幅ツールなどを使ってさらにレトロな風合いに仕上げていきます。ノベルティグッズ用のデザインなどに使用できるテクニックです。
必要な情報
本チュートリアル内で使用する主な機能
字形パネル 、文字のアウトライン化、ドロップシャドウ、線幅ツール
以下が大まかな流れです。
- プロジェクトの準備
練習用のサンプルファイルを開き、使用するAdobe Fontsをアクティベートしま す。スムーズに作成が進むよう、テキストとドキュメントの単位を設定します。 - テキストのデコレーション
入力済みの文字を装飾します。ポップアップで表示される異体字の一覧から選択してユニークな字形に変更し、字形パネルを使ってスワッシュ字形(流線的な字形)を追加します。 - ドロップシャドウの追加
文字をアウトライン化し、合体してから白のドロップシャドウを追加します。 - ハイライトの追加
鉛筆ツールで白い線を描き、ハイライトを表現します。線幅ツールで膨らみを持つ線に変形させることで、柔らかい光沢感を演出します。
1. プロジェクトの準備
手順 1/4
練習用サンプルファイルを開く
Illustratorを起動し、「ファイル」-「開く」から練習用サンプルファイル「make-a-retro-tee-graphic_practice.ai」を選択して開きます。

手順 2/4
フォントをアクティベート
サンプルファイルで使用しているFunkydoriフォントをアクティベートします。
「環境に無いフォント」ダイアログボックスが開きますので、「Funkydori」のアクティベートにチェックを付け、「フォントをアクティベート」をクリックします。
Adobe Fontsからフォントを同期できない場合は、こちらのページから対応方法をご確認ください。

フォントが正常にアクティベートされたら、「閉じる」をクリックします。

手順 3/4
テキストの環境設定を変更
Illustratorの画面左上にある「Illustrator」メニューから「環境設定」-「テキスト」(macOS
の場合)/「編集」-「環境設定」-「テキスト」(Windowsの場合)を選択します。
「環境設定」ダイアログボックスで、「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」のチェックを外します。

ヒント
後のステップで、ドキュメント上をダブルクリックしてスワッシュ字形(流線的な字形)をドキュメントに追加します。「新規テキストオブジェクトにサンプルテキストを割り付け」が有効化されていると、テキストを作成するたびにサンプルテキストが入力されます。今回の作例では、サンプルテキストが入力されない方が作業効率が良いため、あらかじめオフにしておきます。

手順 4/4
ドキュメントの単位を変更
「ファイル」-「ドキュメント設定」を選択します。
「ドキュメント設定」ダイアログボックスで、「単位」の一覧から「ピクセル」を選択します。

2. テキストのデコレーション
手順 1/6
文字ツールで"t"を選択
ツールバーで「文字ツール」を選択し、"Stay"の"t"のみを選択します。

手順 2/6
異体字の選択
ポップアップで表示される異体字の一覧から、4番目の字形を選択します。

手順 3/6
カラーの選択
選択を解除するために"Stay"の右上でダブルクリックし、カーソルを置きます。

ツールバーで「スポイトツール」を選択し、文字上をクリックして紫色を取得します。

手順 4/6
字形パネルの表示
「書式」-「字形」を選択して、「字形」パネルを開きます。

手順 5/6
装飾文字の追加
「表示」の一覧から「装飾」を選択します。


手順 6/6
文字のレイアウト
ツールバーで「選択ツール」を選択し、2つ単語とスワッシュ字形の配置を好みに応じて整えます。

3. ドロップシャドウの追加
手順 1/4
アウトラインの作成
選択ツールで文字全体を選択します。


ヒント
ここで文字をアウトラインに変換しておくことで、パスファインダーで文字を合体することが可能になります。後の手順でドロップシャドウを適用します。その際、合体させてから適用しないと、個別の文字にドロップシャドウが適用されることになり、見栄えが悪くなります。

手順 2/4
アウトライン化した文字を合体
「プロパティ」パネルの「パスファインダー」セクションで「合体」を選択します。

手順 3/4
太陽のアートワークを重ねる
となりのアートボード上にある太陽のアートワークを選択ツールで ドラッグし、合体した文字のアウトラインに重ねます。

ヒント
太陽のアートワークが文字の前面に配置されてしまう場合は、右クリックしてコンテキストメニューから、「重ね順」-「最背面へ」を選択します。


手順 4/4
ドロップシャドウの設定
「効果」-「スタイライズ」-「ドロップシャドウ」を選択して「ドロップシャドウ」ダイアログボックスを開きます。


4. ハイライトの追加
手順 1/5
鉛筆ツールの選択
選択ツールでアートボード上の余白をクリックして、選択を解除します。

ツールバーで、「鉛筆ツール」(フライアウトメニューの上から3番目)を選択します。

※「鉛筆ツール」は、使用しているワークスペースにより「Shaper ツール」または「ブラ
シツール」とグループ化されています。ツールを長押しして、表示されるフライアウトメニューから「鉛筆ツール」を選択します。
手順 2/5
鉛筆ツールの設定
「プロパティパネル」で以下のように設定します。

ツールオプション:
精度:滑らか
アピアランス:
塗り:なし
線:
カラー:白(ffffff)
幅:3pt
手順 3/5
ハイライト部分の描画
スワッシュ字形にハイライト部分を描きます。

手順 4/5
線幅の追加
ツールバーで「線幅ツール」を選択します。


手順 5/5
線幅プロファイルの適用
「選択ツール」に持ち替えて、ハイライトを選択します。

「プロパティパネル」で線幅プロファイルを選択し、ハイライトの形状を変更します。

以上で、レトロ風のロゴデザインを作る方法 の手順は終了です。
字形パネルや線幅ツールなど、ロゴのデザイン力を高めるために、いくつかのツールを使用
しました。
そして、ユニークな字形を装飾するために、背面に太陽のアートワークを配置しました。
ここでは、白のドロップシャドウを加え、背面の太陽を文字のエッジに沿って抜き落とすような 処理をしています。
これにより、文字がしっかりと際立ちます。
白のドロップシャドウの有無で、ロゴの印象は大きく変化します。

ビデオの白いTシャツのように、白いアイテムにアートワークをプリントすることは多くあります。白のドロップシャドウで抜く処理は、生地の白とうまくなじませるためにデザイナーが良く使用する効果的なテクニックです。

ノベルティグッズのデザインをするときなどに、皆さんもご使用ください。