表とセルのスタイルについて
テキストスタイルで文字と段落を書式設定する場合と同様に、表スタイルとセルスタイルで表を書式設定できます。表スタイルとは、1 回の操作で適用できる、表の境界線や行と列の罫線などの表の書式設定属性の集まりです。セルスタイルには、セルの余白、段落スタイル、罫線、塗りなどの書式設定が含まれます。スタイルを編集すると、そのスタイルが適用されるすべての表またはセルが自動的に更新されます。
これは、テキストスタイルと表スタイルの重要な違いの 1 つです。 すべての文字スタイル属性は段落スタイルの一部にすることができますが、セルスタイル属性は表スタイルの一部ではありません。 例えば、表スタイルを使用して内部セルの境界線の色を変更することはできません。代わりにセルスタイルを作成し、これを表スタイルに入れます。
[基本表] と [なし] スタイル
デフォルトでは、新しいドキュメントにはそれぞれ、作成する表に適用できる [基本表] スタイルと、セルに適用されたセルスタイルの削除に使用できる [なし] スタイルが含まれます。[基本表] スタイルは編集できますが、[基本表] も [なし] も名前を変更したり、削除したりすることはできません。
表スタイル内でのセルスタイルの使用
表スタイルを作成する場合、ヘッダー行とフッター行、左右の列、本文行など表の様々な領域に適用されるセルスタイルを指定できます。例えば、ヘッダー行の場合、段落スタイルを適用するセルスタイルを割り当てることができ、左および右の列の場合、陰影のある背景を適用する異なるセルスタイルを割り当てることができます。
A. 段落スタイルを含むセルスタイルで書式設定されたヘッダー行 B. 左の列 C. 本文行 D. 右の列
セルスタイル属性
セルスタイルには、必ずしも選択したセルの書式設定属性がすべて含まれているわけではありません。セルスタイルを作成するときに、どの属性を含めるかを決めることができます。こうすると、セルスタイルを適用することによって、セルの塗り色などの意図した属性だけが変更され、それ以外の属性は無視されます。
各スタイルにおける書式設定上の優先度
表のセルに適用される書式設定で競合が生じると、優先される書式設定は次の順序で決定されます。
セルスタイルの優先順位
1. ヘッダー / フッター。2. 左の列と右の列。3. 本文行。例えば、ヘッダーと左の列の両方にセルが示されている場合、ヘッダーのセルスタイルの書式設定が使用されます。
表スタイルの優先順位
1. セルのオーバーライド。2. セルスタイル。3. 表スタイルから適用されたセルスタイル。4. 表のオーバーライド。5. 表スタイル。例えば、セルの属性ダイアログボックスを使用して 1 つの塗りを適用し、セルスタイルを使用して別の塗りを適用した場合、セルの属性ダイアログボックスの塗りが使用されます。
テキストスタイルの使用に関するビデオチュートリアルについては、www.adobe.com/go/vid0084_jp を参照してください。
表スタイルパネルおよびセルスタイルパネルの概要
表スタイルパネル(ウィンドウ/スタイル/表スタイル)を使用すると、表スタイルを作成して名前を付け、既存の表、作成する表または読み込む表にそのスタイルを適用できます。セルスタイルパネル(ウィンドウ/スタイル/セルスタイル)を使用すると、セルスタイルを作成して名前を付け、そのスタイルを表のセルに適用できます。スタイルはドキュメントと共に保存され、そのドキュメントを開くとパネルに表示されます。管理が簡単になるように、表スタイルとセルスタイルをグループにして保存できます。
挿入点をセルまたは表に置くと、適用されているスタイルがそれぞれのパネルでハイライト表示されます。表スタイルから適用されるセルスタイル名がセルスタイルパネルの左下隅に表示されます。複数のスタイルを含む一定範囲のセルを選択すると、スタイルはハイライト表示されず、セルスタイルパネルに「(混在)」が表示されます。
表スタイルパネルまたはセルスタイルパネルを開く
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ウィンドウ/スタイルを選択し、「表スタイル」または「セルスタイル」を選択します。
パネルでのスタイルの表示方法の変更
- 縮小版のスタイルを表示するには、パネルメニューから「小さく表示」を選択します。
- スタイルを別の場所にドラッグします。作成したスタイルグループにスタイルをドラッグすることもできます。
- スタイルをアルファベット順に表示するには、パネルメニューから「名前順」を選択します。
表とセルのスタイルの定義
独立したストーリーで作業している場合、表スタイルとセルスタイルを InCopy で定義、修正、および適用できます。必要とするスタイルが別の InCopy ドキュメントに存在する場合は、現在のドキュメントに読み込むことができます。InDesign ドキュメントからは表スタイルやセルスタイルを読み込むことはできません。
テキストスタイルの使用に関するビデオチュートリアルについては、www.adobe.com/go/vid0084_jp を参照してください。
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既存の表またはセルの書式設定に基づいて新しいスタイルを作成する場合は、挿入点をセル内に置きます。
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必要なら、セルスタイルに段落スタイルを定義します。
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ウィンドウ/スタイル/表スタイルを選択して表スタイルパネルを開くか、ウィンドウ/スタイル/セルスタイルを選択してセルスタイルパネルを開きます。
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表スタイルパネルメニューの「新規表スタイル」を選択するか、セルスタイルパネルメニューの「新規セルスタイル」を選択します。
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「スタイル名」に名前を入力します。
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「基準」では、現在のスタイルの元となるスタイルを選択します。
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スタイルのショートカットを定義するには、「ショートカット」テキストボックスにテキスト挿入点を置き、Num Lock キーがオンになっていることを確認します。次に、Shift、Alt、Ctrl(Windows)または Shift、Option、Command(Macintosh)のいずれかを組み合わせて押したまま、テンキーパッドの数字キーを押します。スタイルのショートカットとして、文字やテンキーパッド以外の数字を指定することはできません。
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書式設定属性を指定するには、左のカテゴリをクリックして、必要な属性を指定します。例えば、段落スタイルをセルスタイルに割り当てるには、「一般」カテゴリをクリックして、段落スタイルメニューから段落スタイルを選択します。
セルスタイルの場合、設定が指定されていないオプションは無視されます。設定をスタイルの一部としたくない場合は、オプションのポップアップメニューから「(無視)」を選択してフィールドの内容を削除するか、小さなボックスが表示されるか(Windows)、ハイフン(-)が表示される(Macintosh)まで、チェックボックスをクリックします。
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作成したスタイルグループに新しいスタイルを表示する場合は、スタイルグループフォルダーまでそのスタイルをドラッグします。
他のドキュメントからの表スタイルの読み込み
表スタイルとセルスタイルは、別の InDesign ドキュメントからアクティブなドキュメントに読み込むことができます。読み込み時に、どのスタイルを読み込むか、また読み込んだスタイルが現在のドキュメントのスタイルと同じ名前だった場合、どのスタイルを読み込むかを決めることができます。また、InCopy ドキュメントからスタイルを読み込むこともできます。
独立した InCopy ドキュメントまたは InDesign にリンクされた InCopy のコンテンツに InDesign または InCopy ドキュメントから表スタイルとセルスタイルを読み込むことができます。どのスタイルを読み込むか、また読み込んだスタイルが現在のドキュメントのスタイルと同じ名前だった場合にどのような操作が実行されるかを決めることができます。
コンテンツがリンクされているファイルにスタイルを読み込む場合は、コンテンツが更新されたときに新しいスタイルが InDesign ドキュメントに追加され、名前が競合するスタイルは InDesign のスタイルで上書きされます。
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セルスタイルパネルまたは表スタイルパネルのメニューから、「セルスタイルを読み込み」、「表スタイルを読み込み」、または「表およびセルスタイルを読み込み」を選択します。
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読み込むスタイルを含む InDesign ドキュメントをダブルクリックします。
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スタイルを読み込みダイアログボックスで、読み込みたいスタイルの横にチェックマークが表示されていることを確認します。既存のスタイルと読み込まれたスタイルの名前が同じ場合、「既存スタイルとの競合」のいずれかのオプションを選択して「OK」をクリックします。
新しい定義を使用
既存のスタイルを読み込まれたスタイルで上書きし、その新しい属性を、旧スタイルを使用していた現在のドキュメントのすべてのセルに適用します。読み込まれたスタイルおよび既存のスタイルの定義がスタイルを読み込みダイアログボックスの下部に表示されるので、それらを比較できます。
自動名前変更
読み込みスタイルの名前を変更します。例えば、両方のドキュメントに「Table Style 1」という名前のスタイルがあると、読み込まれたスタイルの名前が現在のドキュメントで「Table Style 1 copy」に変更されます。
表スタイルおよびセルスタイルの適用
段落スタイルや文字スタイルと異なり、表スタイルとセルスタイルは属性を共有しないので、表スタイルを適用してもセルの書式設定はオーバーライドされず、またはセルスタイルを適用しても表の書式設定はオーバーライドされません。デフォルトでは、セルスタイルを適用すると、前のセルスタイルによって適用された書式設定が削除されますが、直接設定したセルの書式設定は削除されません。同様に、表スタイルを適用すると、前の表スタイルで適用された書式設定は削除されますが、表の属性ダイアログボックスを使用して行ったオーバーライドは削除されません。
スタイルパネルでは、適用されたスタイルの一部でない追加の書式が選択したセルまたは表にあると、現在のセルスタイルまたは表スタイルの横にプラス記号(+)が表示されます。このような書式設定をオーバーライドと呼びます。
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テキスト挿入点を表内に置くか、スタイルが適用されるセルを選択します。
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次のいずれかの操作を行います。
表スタイルパネル(ウィンドウ/スタイル/表スタイル)またはセルスタイルパネル(ウィンドウ/スタイル/セルスタイル)で、表スタイルまたはセルスタイルをクリックします。スタイルがスタイルグループにある場合は、スタイルグループを拡張してスタイルを見つけます。
スタイルに定義したショートカットキーを押します(Num Lock キーがオンになっていることを確認してください)。
表スタイルまたはセルスタイルを別の表スタイルまたはセルスタイルのベースにする
元となるスタイル、つまり親スタイルを作成することによって、表またはセルの類似するスタイル間のリンクを作成できます。親スタイルを編集すると、変更された属性は子スタイルでも変更されます。デフォルトでは、表スタイルは [表スタイルなし] に、セルスタイルは [なし] に基づいています。
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新しいスタイルを作成します。
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新規表スタイルまたは新規セルスタイルダイアログボックスで、基準ポップアップメニューから親スタイルを選択します。新しいスタイルが子スタイルになります。
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新しいスタイルの書式設定を指定して、親スタイルと区別します。
表スタイルおよびセルスタイルの編集
スタイルを使用する利点の 1 つは、あるスタイルの定義を変更すると、そのスタイルを使用して書式設定された表またはセルのすべてが新しいスタイル定義に合わせて変更されることです。
InDesign ドキュメントにリンクされた InCopy コンテンツのスタイルを編集する場合、修正内容はリンクされているコンテンツが更新されると上書きされます。
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次のいずれかの操作を行います。
選択されている表またはセルにスタイルを適用しない場合は、スタイルパネルのスタイル名を右クリック(Windows)または Control キーを押しながらクリック(Macintosh)して「[スタイル名] を編集」を選択します。
スタイルパネルでスタイル名をダブルクリックするか、スタイルパネルでスタイルを選択し、パネルメニューから「スタイル編集」を選択します。この方法では、選択されたすべてのセルにセルスタイルが適用されるか、選択されたすべての表に表スタイルが適用されます。表が選択されていない場合、表スタイルをダブルクリックすると、作成するすべての表のデフォルトスタイルとして設定されます。
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スタイルの編集ダイアログボックスを設定し、「OK」をクリックします。
表スタイルおよびセルスタイルの削除
スタイルを削除するときは、代替のスタイルを選択したり、書式設定を維持するかどうかを選択したりできます。
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スタイルパネルからスタイルを選択します。
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次のいずれかの操作を行います。
パネルメニューから「スタイルを削除」を選択します。
パネルの下部にある選択したスタイル/グループを削除アイコン をクリックする、またはスタイルを削除アイコンにドラッグします。
スタイルを右クリック(Windows)または Control キーを押しながらクリック(Mac OS)して、「スタイルを削除」を選択します。この方法は、選択したセルまたは表にスタイルを適用することなく、スタイルを削除する場合に特に便利です。
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スタイルを選択して、置き換えます。
[表スタイルなし] を選択して表スタイルを置き換えるか、[なし] を選択してセルスタイルを置き換える場合は、「フォーマットを保持」を選択すると、スタイルが適用される表またはセルの書式設定が保持されます。表またはセルはその書式設定を保持しますが、スタイルへの関連付けは解除されます。
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「OK」をクリックします。
現在の書式設定を基にした表スタイルまたはセルスタイルの再定義
スタイルを適用した後、その設定をオーバーライドできます。変更すると決定した場合、スタイルを再定義して新しい書式設定を保持できます。
InDesign ドキュメントにリンクされた InCopy コンテンツのスタイルを再定義する場合、修正内容はリンクされているコンテンツが更新されると上書きされます。
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再定義するスタイルで書式設定された表またはセル内に挿入点を置きます。
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表またはセルを変更します。
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スタイルパネルメニューから「スタイル再定義」を選択します。
セルスタイルの場合、セルスタイルの一部となっている属性の変更のみで「スタイル再定義」コマンドが有効になります。例えば、セルスタイルに赤の塗りが定義されていて、青の塗りを使用するようにセルをオーバーライドする場合、そのセルに基づいてスタイルを再定義できます。ただし、セルスタイルで無視される属性を変更した場合は、その属性でスタイルを再定義することはできません。
表スタイルおよびセルスタイルのオーバーライド
表スタイルまたはセルスタイルを適用した後、その設定をオーバーライドできます。表スタイルをオーバーライドするには、表の属性ダイアログボックスのオプションを変更します。セルスタイルをオーバーライドするには、セルの属性ダイアログボックスのオプションを変更するか、他のパネルを使用して罫線または塗りを変更します。オーバーライドのある表またはセルを選択すると、スタイルパネルにはそのスタイルの横にプラス記号(+)が表示されます。
スタイルを適用するときは、表またはセルのオーバーライドを消去できます。また、スタイルが既に適用されている表またはセルからオーバーライドを消去することもできます。
スタイルの横にプラス記号(+)が表示されている場合、オーバーライド属性の説明を表示するには、スタイル名にマウスポインターを合わせます。
表スタイルの適用時のオーバーライドの保持または消去
- 表スタイルを適用してもセルスタイルを保持するが、表スタイルのオーバーライドを消去するには、表スタイルパネルで Alt キー(Windows)または Option キー(Macintosh)を押したまま、スタイルをクリックします。
- 表スタイルを適用して、セルスタイルと表スタイルのオーバーライドを消去するには、表スタイルパネルで Alt+Shift キー(Windows)または Option+Shift キー(Macintosh)を押したまま、スタイルをクリックします。
表スタイルパネルで右ボタンをクリック(Windows)または Control キーを押したままクリック(Macintosh)して、「[表スタイル] を適用、セルスタイルを消去」を選択すると、表スタイルを適用してセルスタイルを消去できます。
セルスタイルの適用時のオーバーライドの消去
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セルスタイルを適用して、オーバーライドを消去するには、セルスタイルパネルで Alt キー(Windows)または Option キー(Macintosh)を押したまま、スタイルをクリックします。注意:
セルスタイルの一部となっている属性のみがオーバーライドと見なされます。例えば、セルスタイルに赤の塗りがあり、その他の属性はすべて無視される場合は、塗り以外のセルオプションを変更してもオーバーライドとは見なされません。
セルスタイルで定義されていない属性の消去
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セルスタイルパネルメニューの「スタイルで定義されていない属性を消去」を選択します。
表またはセルのオーバーライドの消去
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オーバーライドのある表またはセルを選択します。
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スタイルパネルで、選択範囲のオーバーライドを消去アイコン をクリックするか、スタイルパネルメニューから「オーバーライドを消去」を選択します。
表スタイルまたはセルスタイルへのリンクの解除
表またはセルとその適用スタイルの間のリンクを解除すると、その表またはセルには現在の書式設定が保持されます。ただし、将来そのスタイルを変更してもその表またはセルに変更は反映されません。
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スタイルが適用されているセルを選択します。
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スタイルパネルメニューの「スタイルとのリンクを切断」を選択します。