平凡な写真は「トンネル効果」でインパクトを出そう - スマホで「できる」基礎からはじめる映える写真の撮り方と仕上げ方 第14回

必要な情報
撮ったからにはいい写真にしたいよね
この原稿を書いているのは、GWが明けた直後。
たくさんの写真を撮ってきましたが、「撮影」というよりは遊びの最中に写したためか、気合というか意気込みというか、そんなものが感じられない写真が量産されておりまして。
要するに、平凡な写真ばかりでどうしよう……。
ということです。
そこで今回は、「写真を上手に撮るぞ」ではなくて、「撮ったからには何とかするぞ」というお話です。
平凡な写真の中から救い出せそうな写真を探し出して、写真のもつ潜在能力を引き出しましょう。下の例みたいに。


それと、後半では写真を管理するコツのようなものも紹介します。
休みの間にたくさんの写真を撮ってきた方は、参考にしてください。
周囲が暗い「トンネル効果」は平凡脱却の救世主
探すのは「日の丸構図」の写真
平凡からの脱却に使う仕上げのテクニックが、「トンネル効果」です。周囲が暗くて、古い写真のように見える効果といえばわかりやすいでしょうか。
手軽に雰囲気のある写真が作れる魔法のようなテクニックで、僕もよく使います。個人的には、コントラスト強めのビビッドなカラーと組み合わせたりする仕上げ方がお気に入りです。
では、「トンネル効果」に向いている写真を探していきましょう。
カギとなるのは、平凡写真の代名詞でもある「日の丸構図」です。つまり、撮りたいものを画面の真ん中に配置した“普通の写真”です。
候補となる写真を「アルバム」(後述参照)に分けておくと、比較検討できて便利です。

日の丸構図の写真の中からよさそうなものを選んだら、写真をタップして編集開始です。写真の編集は、モバイル版のLightroomで行ないます。
あらゆる写真に対応できる「基本の補正」も覚えよう
今回は、「トンネル効果」を作るだけでなく、どんな写真にも対応する「基本の補正」を紹介します。初心者からプロまで、どなたが実践しても効果的な手法です。
それが、
①明るさと(「露光量」と「コントラスト」)
②鮮やかさ(「彩度」と「自然な彩度」)
③色味(「色温度」と「色かぶり補正」)
の順に補正するというもの(カッコ内はLightroomの機能名)。
具体的には、好みの明るさにして→きれいに見える鮮やかさにして→雰囲気のある色にする、という流れです。
この手順を覚えておけば、写真を編集するにあたって「何をすればよいのか分からない」ということがなくなります。
もっと早くに紹介したかったのですが、如何せん地味な話になるので。「トンネル効果」と一緒に紹介すれば、少しは楽しんでもらえるのではないかと。
トップに掲載した写真も、「基本の補正」+「トンネル効果」で仕上げました。
ハイコントラストでビビッドなカラーが僕好みです。

でも、元の状態はなぜ写したのかも思い出せないくらい、本当に平凡な写真です。
たくさんのサムネールに埋もれて、クラウドの隅に沈んでいく運命の写真でしたが、今回の記事のおかげで日の目を見ることができました。

気持ちのよい色を探るようにスライダーを動かそう
編集の開始です。まずは、いつものお約束から。
サムネール一覧で写真をタップして大きく表示したら、①左上の文字の部分をタップ。表示された一覧から、②「編集」を選ぶと編集画面で表示できます。

「明るさ」→「鮮やかさ」→「色味」の順に仕上げる「基本の補正」に従って作業を進めます。
最初は「明るさ」の補正ですが、明るさとコントラストは一緒に整えると効果的なので、この2つをまとめて調整します。
使う機能は、「露光量」と「コントラスト」スライダーです。
①「ライト」ボタンをタップして、②「露光量」スライダーを左右にゆらゆらと動かしながら「気持ちよく見える色」を探ります。
②「コントラスト」スライダーも同様に、写真の色の変化を見ながら左右に動かして、好きな色になったら調整をやめます。

「スライダーを左右に動かしながら好きな色を探す」という使い方がポイントです。
どんな色に仕上げればよいのか分からなくても、スライダーを動かしていると「なんとなく好き」な色が出てきます。そこが適量ということです。
注意点があるとしたら、「ベスト」ではなく「ベター」でかまわないという点。まずは「この色が好きかな」程度の調整で大丈夫です。
「明るさ」が調整できたら、次は「鮮やかさ」です。
使う機能は「彩度」と「自然な彩度」。先に「彩度」を調整してから、「自然な彩度」で足りない鮮やかさを補うと仕上げやすくなります。
①「カラー」ボタンをタップしたら、明るさの調整と同様に、②「彩度」スライダーを左右にゆらゆらと動かします。写真の色の変化を見ながら、「好きな色」になったら調整をストップ。
③「自然な彩度」スライダーも同様に動かしましょう。

これで、「明るさ」と「鮮やかさ」が整いました。
次は、「色味」の番です。
①「色温度」と②「色かぶり補正」スライダーを使って整えます。「色温度」スライダーが写真の色を決める中心的な機能なので、こちらを先に補正します。
調整の方法はこれまでどおり、写真の色を見ながらスライダーをゆらゆらと左右に動かして、「好きな色」を探すだけです。

本能の赴くままに、「明るさ」「鮮やかさ」「色味」が調整できました。
これで「好きな色」に近づいてはいますが、まだまだ詰めが甘い状態です。
そこで、同じ手順をもう一度繰り返して「より好みの色」に近づけていきます。二度、三度と繰り返して好みの色に追い込んだら、「基本の補正」は完了です。
周辺光量を暗くして「トンネル効果」を作り出そう
本来の目的である「トンネル効果」を作る作業に入ります。
①「効果」ボタンをタップして、②「周辺光量補正」スライダーを左に移動。周囲が暗くなるので、「好みの雰囲気」になる量に調整します。

これで終わりなのですが、「周辺光量補正」はもっと詳細に作り込めます。
せっかくなので、さらなる作り込みを試してみましょう。
使う機能は、周辺光量補正の幅(広さ)を決める「中心点」スライダーと、補正の境界の滑らかさを調整する「ぼかし」スライダーです。
作例は、①「中心線」スライダーを左に移動して暗くなる範囲を広げ、②「ぼかし」スライダーを右に移動して補正の境界を滑らかにしました。

ちなみに、機能の効果や使い方が分からなくても大丈夫。そんなときは、スライダーが「最大値/最小値」になるように大きく動かしてみればよいのです。
この操作で機能の特徴が顕著になり、どんな効果が得られるのかが確認できます。これは、初めての機能に出会ったとき、僕が実践している使い方でもあります。
これで完成。
といいたいところですが、補正は「繰り返すともっとよくなる」と前述しました。なので、最初に戻って「明るさ」→「鮮やかさ」→「色味」→「周辺光量」の順にもう一度作業を繰り返しましょう。
面倒ですよね。
面倒なのですが、これもよりよい写真にするために大切なことです。
下の2枚の写真は、一度の調整で編集を終えたもの(上)と、同じ作業を繰り返して「もっと好きな色」に仕上げたものです。


傍から見ると微妙な違いかもしれませんが、本人にとっては結構大きな違いなんです。
いわゆる、こだわりというやつです。
こだわりをもって編集すると、Lightroomがもっと楽しくなりますよ!
写真の管理はLightroomに頼るとラクになる
探している写真はAdobe Senseiに訊いてみよう
モバイル版のLightroomでも写真の管理は行えますが、Lightroomはパソコン版も用意されています。大きな画面で作業できるパソコン版を使うほうが断然に有利なので、ここではパソコン版を例に紹介します。
管理をはじめるにあたり大切なのは、「Lightroomがやってくれること」と「自分でやらなければならないこと」を把握する点です。
たとえば、写真の管理は「年月日」別にフォルダーを分ける方法が定番ですが、Lightroomではその必要はありません。①「マイフォト」の②「日付順」に自動で仕分けされた年月日別のフォルダーが作られますから。
つまり、③年月日別の「アルバム」(写真を分類するフォルダーのような機能)を作って写真を仕分ける作業は二度手間ということです。

このような無駄を省くためにも、「Lightroomがやってくれること」を知る必要があるのです。
もっとも、LightroomにはAdobe Senseiという人工知能が搭載されているので、たいていのことはやってくれます。
海の写真を探しているのなら、①Adobe Senseiに「海」と訊けば(検索ボックスに「海」と入力する)一覧を表示してくれるし、さらに、②「夕日」と尋ねると、③夕日の海の写真を出してくれます。

あらかじめキーワードなどを設定する必要はありません。
Lightroomに写真が保存されると、Adobe Senseiが勝手に「これは海の写真だな」と覚えてくれます。
ほかにも、①「マイフォト」の②「人物」で同じ人物の写真を自動的に分類してくれたり、③検索機能の④「場所」で撮影した地域から写真が探せたりもします(位置情報のある写真の場合)。

分かりやすくまとめると、Lightroomは、
①「年月日」という普遍的な情報でフォルダー分けしてくれる
②Adobe Senseiに訊けば写っている内容で写真を探してくれる
③人物別の分類をしてくれる
④撮影地別に分類してくれる
となります。
あとは、これらの精度を高めるように「追加の管理」を自分の手で行えばよいのです。
Adobe Senseiのサポート役になろう
Adobe Senseiはいろいろな写真を探してくれます。試しに、適当に単語を入力して遊んでみてください。「こんな写真も探してくれるのか」と驚きがあるはずです。
ただし、Adobe Senseiは完璧ではありません。似て非なる写真が出てきたり、目当ての写真が検索から漏れることもあります。
まずは、そんな写真を見つけやすくしておくことが大切です。もちろん、必要な写真の場合に限りますが。
Adobe Senseiの検索力を補う機能としては、「キーワード」がおススメです。
①写真を選択し、②「キーワード」ボタンをクリックしてパネルを開くと、③「キーワード」が入力できます。
設定したキーワードは、④検索機能の、⑤「キーワード」をクリックすると一覧表示されるので、即座に写真が探せるというわけです。

また、独自のルールでグループ分けしたい写真は、①「アルバム」機能で分類します。その際、②「フォルダー」(③ボタンの④で作成)を使って柔軟に管理できるようにしておきましょう。
たとえば、「動物」とぃうフォルダーを作ってその中に「犬」や「猫」のアルバムを作るようにすれば、後で別のルールで分類する必要が出たとしても、⑤そのためのフォルダーを作れば解決します。

ほかにも管理機能は搭載されていますが、欲張って手を広げ過ぎると作業が面倒になってしまいます。
まずは、Adobe Sensei+「キーワード」と「アルバム」を使った管理からはじめ、必要に応じて使う機能を拡張していく。これが、無理のない管理をするためのコツといえます。
執筆者:桐生彩希

無償ですべての機能をお試しいただくことができます。
[最適なプランをお選びください]
Illustratorなど単体製品とサービスのみ使用できる単体プランから、PhotoshopとLightroomのバンドル、すべての製品・サービスが利用可能なコンプリートプランまで、ニーズに合わせてお選びいただけます。Creative Cloudプラン一覧 ›
学生や教職員の皆様はお得な学割プラン(学生・教職員個人版)もご利用いただけます。学生・教職員個人版の詳細 ›