シルエットでファンタジックな世界を表現しよう - スマホで「できる」基礎からはじめる映える写真の撮り方と仕上げ方 第27回

目立ち過ぎるので……

 

今回は、「シルエット写真」に挑戦です。いわゆる、「黒い陰」が主役の写真です。

写真の仕事をしていても、シルエット写真ってあまり使わないんです。主張が強過ぎて扱いにくいというか。写真を並べたときに、目立ち過ぎてしまうので。

 

でも、SNSで楽しむ写真なら目立つのは大歓迎。

 

それに、重要な部分が陰で見えないからこそ、写真を見たひとは正体がとても気になるし、いろいろなストーリーを想像してくれます。

 

写真の解釈を相手に任せるという他力本願な写真ですが、条件を整えれば撮るのは意外と簡単。しかも、Lightroomで色を調整すれば、心に沁みる色に仕上げられます。

3つのポイントを意識して写してみよう

【ポイント1】誰にでも分かること

シルエット写真で大切なのは、写っているものの形がよく分かることです。

ただし、形が明確でも、それがなんなのかが分からないとシルエットの効果は薄くなってしまいます。

 

たとえば、見慣れないオブジェをシルエットで写したとしても、多くのひとがその正体を理解できず、興味をもってくれません。

でも、人物とか、車とか、猫とか、自転車とか、たとえ黒い陰しか見えなくても、写っているものが判明できれば興味が沸いてきます。

 

とにかく、黒い陰から実体が想像できること。シルエット写真を撮るときは、そんな被写体を探してみてください。

 

それと、おススメは「ひとつの被写体をシンプル」に写すことです。

複数をシルエットにする場合は、それぞれが分離して見えることを考えましょう。ほかの被写体と重なっていたり、細かなシルエットが点在していると、なにを写したのか分からない写真になってしまいます。

 

下は樹木越しに特徴的なビルを写したものですが、あらゆる要素がシルエットとして重なり合っていて、とても分かりにくい写真です。

 

上と同じような樹木と特徴的な被写体のシーンでも、それぞれの重なりを避けて、シルエットにしても形状が分かるように分離して写したものが下の写真です。

それぞれのシルエットが独立することで、写した内容が伝わりやすい写真になりました。

【ポイント2】空を背景にしてみる

被写体の選び方が分かったら、次は撮り方です。

シルエット写真とは、「被写体が黒い写真」のこと。そしてそれは、「逆光の失敗写真」と同じものです。

つまり、「上手に失敗」すればシルエット写真になるということです。

 

逆光写真を撮る簡単な方法は、明るい空(太陽のある方角)に向かって写すことです。

空はシルエット写真の背景としてとても優秀で、被写体の後ろを明るい空にするだけで暗い陰のようになります。

 

また、撮影の段階で「完全な黒」にする必要はありません。下の写真は、左が撮影した状態、右がLightroomで仕上げたものです。

撮影した段階ではシルエットになっておらず、色や質感が分かる状態ですが、これくらい暗く写っていれば十分です。そこから先は、Lightroomの編集機能で黒さや色を調整したほうが確実に仕上げられます。

【ポイント3】ローアングルで重なりを回避

シルエット写真でありがちな失敗が、背後の景色と重なってしまうことです。シルエットが重なると、被写体とつながった連続模様になり、被写体やシーンが分かりにくくなってしまいます。

下の写真は海を臨むシーンで人物を撮影したのですが、地表の景色や展望台の手すりなどが重なり、人物の姿があいまいな状態です。

 

できる限り「被写体だけ」がシルエットになるように写すことが重要なのですが、これがなかなか難しい。普通にカメラを構えて撮ると、地表の景色も写ってしまいますから。

ということは、普通にカメラを構えなければよいのです。

その撮り方のひとつが、「ローアングル」。分かりやすくいうと、低い位置から見上げて撮る方法です。

 

下の2種類の写真は、同じ時間に同じ場所で撮影して、それをシルエット写真に仕上げたものです。違いは、立って普通にカメラを構えて写したか(上)、地面に近い位置から見上げて写したか(下)、です。

 

低い位置から見上げて撮ると、背景の大部分が空になります。それだけで逆光写真(シルエット)になる上、被写体に重なる障害物も少なくなり、シンプルに浮かび上がります。

対して、目線の高さで写した写真は逆光写真になりにくく、かつ、Lightroomでシルエットに仕上げても、被写体が地表の景色に紛れてしまいます。

 

ただし、ローアングルで撮影しても、背景のすべてを空にすることは難しいものです。

だからこそ、被写体の形が分かる部分だけでも「背後が空」になるように頑張ってみる。それが、シンプルで形のよく分かるシルエット写真を撮る秘訣でもあります。

自由な発想で色を編集したい

現実の色に囚われないように

被写体が黒いシルエット写真は、自由に色が作れるという魅力があります。

普通の写真だと、色を大胆に変えると被写体の色まで崩れてしまい、色調整に失敗した写真に見えてしまいます。

でも、黒い色はどれだけ色を変えても黒のまま。被写体の色を気にしなくてもよいので、その分、周囲の色が自由に作れるというわけです。

 

それと、もうひとつ。Lightroomの編集機能で上手に使いたいのが、周囲が暗い「トンネル効果」を作り出す「周辺光量補正」です。

シルエット写真はそれだけでも黒い被写体に目が向きますが、それをもっと強引に「ここを見て!」と演出し、強烈にアピールするわけです。

 

せっかくLightroomで編集するのですから、印象的に仕上げないともったいない。

シルエット写真は編集しがいのあるジャンルです。肉眼で見た現実の色に囚われることなく、自由な発想で表現してみてください。

 

撮影したままでも印象的だけど

今回編集する写真は、トップに掲載している二匹の猫の写真です。

撮影したのは日没間近。背景は太陽が沈む明るい空とは異なる方向なので、シルエットになるかどうか不安でしたが、撮ってみると案外なんとかなるものです。

ちなみに、撮影したカメラはiPhone8にインストールしたLightroomのカメラ機能です。そして下が、撮影した状態の色です。

 

さすがはシルエット写真。撮影したままでも思いのほかよい感じなのですが、まだまだ伸びしろはあります。

Lightroomでそれを引き出した結果が、下の写真です。思い描くイメージを注ぎ込んでみました。

 

まさか、これほど“化ける”とは。シルエット写真がすごいのか、Lightroomがすごいのか……。

この連載ではたくさんの写真を仕上げてきましたが、その中でもかなりのお気に入りになりました。

 

編集の流れは3段階

シルエット写真の編集は、次の3段階に分けられます。

 ①シルエットにする

 ②色を作る

 ③トンネル効果を作る

 

①で使う機能は主に、「コントラスト」と「露光量」、それに「シャドウ」です。

②は「色温度」と「色かぶり補正」。

③は「周辺光量補正」になります。

 

これらを念頭に、Lightroomで編集していきましょう。作業はモバイル版のLightroomで行ないますが、パソコン版やタブレット版でも使う機能は同じです。

まずは、写真を編集画面で開くところから。

 

サムネール一覧の画面で写真をタップして大きく表示したら、①左上の文字の部分をタップ。表示された一覧から、②「編集」をタップすると編集機能が表示できます。

 

被写体を完全なシルエットにする作業からはじめます。

もっとも重要な調整が「コントラスト」で、この機能で暗い部分をより暗くして、シルエットに近付けます。

具体的には、①「ライト」ボタンをタップして、②「コントラスト」スライダーを右に移動します。クッキリとした仕上がりにしたかったので、作例は最大まで調整しました。

 

黒の締まりを調整します。「シャドウ」スライダーを左に移動して陰だけを黒くする方法と、「露光量」スライダーを左に移動して陰を含めた全体を暗くする方法があります。

ここでは、①「露光量」スライダーを左に移動して全体を少し暗くし、陰を黒くしつつ、背後の空の色も濃くしています。

 

このままでは薄暗い写真になってしまうので、明るさを感じる写真に調整します。

①「白レベル」スライダーを右に移動して白い色をより明るくし、さらに、②「ハイライト」スライダーも右に移動して、明るい色の範囲をさらに明るくします。

この調整で思うような明るさが得られないときは、③「露光量」で明るくしてから、④「シャドウ」で陰だけを暗くしてみましょう。

 

これで、シルエットの状態が作れました。次は、色を作る作業です。

①「カラー」ボタンをタップして、②「色温度」スライダーで思い描く色に近付けます。色が決まらないときは、スライダーを左右に大きく動かして色の変化を観察し、好きな色を探せばOKです。

ここでは右に移動して、夕焼けっぽい暖色系にしました。

 

続けて、①「色かぶり補正」スライダーも調整します。

少々投げやりかもしれませんが、適当に動かして好きな色を見付けてください。僕も、そうやって色を探ってます。

この写真の場合は、右に移動して得られた藤色っぽさが気に入ったので、その色にしてみました。

 

最後は、「トンネル効果」を作る作業です。

①「効果」ボタンをタップして、②「周辺光量補正」スライダーを左に移動します。写真の周囲が暗くなるので。好きな暗さに調整しましょう。

この写真はさりげなく周囲を暗くして、二匹の猫の存在感をアピールしました。

 

これで完成でもよいのですが、せっかくなのでもうひと手間を。料理でいうなら、「コク」を出す作業です。

「効果」の機能にある、①「かすみの除去」スライダーを右に移動します。右に動かすにつれ、色の深みや写っているものの見え方がハッキリとして、ダイナミックな印象になります。

あまり深く考えず、写真を見ながら適当にスライダーを動かして、見応えのある色になればOKです。

 

これで、シルエット写真の完成です。

撮影した段階では、ここまで色彩が激変するとは思っていませんでした。Lightroomの編集は、やってみないと分からないものです。

 

ということは、つまらないと思っていた写真も、編集次第で作品に化ける可能性があるということです。

シルエット写真に限らず、いろいろな写真を編集して、お気に入りの一枚を探してみてください。宝探しのようなワクワク感がありますから。

 

最後に、ネタばらしというか、夢を壊してしまうかもしれない一枚を。

お気付きの方もいるかもしれませんが、二匹の猫はフィギュアなんです。しかも、ベランダで撮りました……。

 

「こういう写真が撮りたい」と思って猫を探したのですが、都合よく出会えるはずもなく。それなら、フィギュアで理想とする写真を撮ろうと思った次第でして。

被写体を求めてあちこちとさ迷った挙句、結局はウチで撮った写真がいちばんよかったなんて、皮肉なものです。

でも、面白い写真はどこでも撮れるものだと、あらためて実感しました。

 

執筆者:桐生彩希

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