哀愁の漂う写真を撮って仕上げよう - スマホで「できる」基礎からはじめる映える写真の撮り方と仕上げ方 第28回

写真を眺めてしんみりとしましょう

見るとなんだか切なくなったり、郷愁や哀愁を感じる写真って、ありますよね。

今回は、そんな写真を撮ったり、Lightroomで表現したりするお話です。

 

写真の撮り方にちょっとしたポイントがあるのですが、難しいことではありません。秋から冬に向かうこれからの季節は撮りやすくなる写真だと思います。気分もなんとなく、センチメンタルになりますし。

 

条件が整った写真が撮れたら、あとはLightroomに任せればOK。スナップでもネイチャーでもポートレートでも、しんみりとした写真に仕上がります。

 

今回のテーマはコントラストや色のさじ加減がとても大切で、繊細な色が再現しやすいLightroomの操作性が威力を発揮します。

 

撮影で押さえたいポイントは?

太陽と長い影

哀愁感のある写真で意識したいのが、「太陽」です。

画面に太陽が入っていて、ハレーションが生じたような淡いコントラストで、さらに紫色に偏った色彩になると、郷愁感や哀愁感が出てきます。

太陽が画面に入るということは、低い位置にあるということ。つまり、撮影時間は朝か夕方のどちらかが適していて、季節的には日暮れが早い秋や冬が撮影しやすいと思います。

 

また、低い太陽が作り出す影の長さも取り入れたい要素のひとつです。

陰が短いと、同じ色に仕上げても「ポジティブ」で「アクティブ」な雰囲気が出てしまい、静かで穏やかというよりは「おしゃれ」な仕上がりになりがちです。

 

撮影時は、画面に入る低い「太陽」と「長い影」。Lightroomで作る「紫色」の色彩。

これをベースに、ダメ押しで隅のほうに人物をぽつんと入れておくと、雰囲気のある写真にしやすくなるはずです。

絵柄で雰囲気を出してみよう

太陽や長い影がなくても、画柄の雰囲気で哀愁が出せることもあります。

静かな場所だったり、日常のなに気ないひとコマだったり、田舎道とかの原風景だったり。そんな光景を「紫色」にすれば、哀愁が感じやすくなります。

 

意外と絵になるのが、金網越しの景色とか、道端で朽ち果てているなにかとか、張り巡らされた電線とかです。

ほかにも、使い古された道具、誰かの思いが込められたものや場所なんかも、魅力的になる被写体のひとつといえます。

 

要するに、太陽と長い影という視覚的な効果が得られないときは、心に訴えるなにかを探して写せばよいのです。高尚な意図を込める必要はありません。考えるのは写真を見るひとですから。

撮るときは、とにかく意味深で理由を探りたくなるものを探す。「なんでここにあるの?」と疑問を抱くものならバッチリです。

Lightroomで色調整して仕上げよう

「紫色」と「ローコントラスト」が要です

撮影した写真にさらなる哀愁感を出すには、Lightroomの力が必要です。

ポイントは、「紫色」と「ローコントラスト」。淡くかすんだようなトーンが決め手となります。

 

トップに掲載している写真も、紹介したセオリーどおりに撮影して、Lightroomで仕上げました。

撮影したままの色はというと、下のようになります。

 

上の写真をLightroomで仕上げたものが、トップにも掲載している下の写真です。「紫色」と「ローコントラスト」を意識して仕上げました。

今回は、この雰囲気を目指して調整していきます。

「ハレーション」を再現する

作業の流れとしては、最初に「ローコントラスト」の状態を作って、それから「紫色」に染め上げます。

前者のポイントとなるのが、黒が浅く浮いた「ハレーション」のような色調です。これは、「かすみの除去」機能のさじ加減が重要になります。

 

「紫色」は「明暗別色補正」で作ると、アクのない色彩が得やすいです。

「カラー」ボタンにある「色かぶり補正」でも作れますが、こちらを使うと写真全体が紫に偏り、シャドウに濁りが出ることもあるので注意してください。

 

では、モバイル版のLightroomで色調整をはじめましょう。

まずは、サムネール一覧の画面で写真をタップして大きく表示し、①左上の文字の部分をタップ。続けて、②「編集」をタップすると編集機能が表示できます。

 

最初に行うのは露出の補正、いわゆる明るさの調整です。淡くかすんだ仕上がりを目指すので、少し明るめの露出が適しています。

使う機能は、①「ライト」ボタンにある、②「露光量」スライダーです。作例は、少し右に移動して明るい写真にしました。

 

第一のポイントとなる、「ローコントラスト」の状態を再現します。

「コントラスト」スライダーを左に移動してもよいのですが、それだと光(ハイライト)の強さも落ちてしまうので、ここでは暗い部分を明るくすることでコントラストを弱くします。

この調整は、①「シャドウ」スライダーを右に移動すると行えます。

 

①「効果」ボタンにある、②「かすみの除去」スライダーを左に移動して、「ハレーション」を再現します。この調整でコントラストがさらに低い状態になります。

黒が少し浮いて浅い色になる程度が目安ですが、そこは思い描くイメージ次第。

強くかすませてもいいし、さりげなくかすんだ色彩でもOKです。表現者として、絶妙な淡さを追求しましょう。

 

続けて、①「明瞭度」スライダーを左に移動して、紗のかかった幻想的な描写を出していきます。

写真によっては、②「テクスチャ」スライダーも左に移動すると効果的です。「明瞭度」は主に輪郭を、「テクスチャ」は細部をソフトにすることができます。

 

これで、哀愁感のベースとなる「ローコントラスト」な状態が再現できました。

ただし、このコントラストが決定ではありません。「紫色」に染めた後、各スライダーを微調整したり、「トーンカーブ」で明暗を仕上げたりしていきます。

 

「紫色」の世界を再現しよう

「紫色」に調整する方法は、「カラー」ボタンで「色かぶり補正」を使う方法と、「効果」ボタンで「明暗別色補正」を使う方法があります。

後者だけでも十分なことも多いのですが、ここでは、いろいろな写真に対応できるように、両機能を併用します。

 

作業の流れとしては、「色かぶり補正」で全体の雰囲気を「なんとなく」作り、「明暗別色補正」で仕上げる、という感じです。

①「カラー」ボタンをタップし、②「色かぶり補正」スライダーを右に移動して、全体をマゼンタ(赤紫)に偏らせます。

 

「色かぶり補正」スライダーは、写真によっては暗い部分の色がスッキリとせず、濁って見えることがあります。その場合は、調整量を少なくするか、調整せずに次に進んでも大丈夫です。

 

①「効果」ボタンをタップし、さらに、②「明暗別色補正」のボタンをタップして機能を表示します。

 

「明暗別色補正」機能で、「紫色」の世界を仕上げていきます。

この機能は、明るい部分(ハイライト)の色と、暗い部分(シャドウ)の色を別々に変えることができます。

ポイントは「シャドウ」の使い方で、強烈に哀愁感を出したいときは「ハイライト」と同じ色、そうでないときは、未調整や「青系」にする選択肢があります。

 

まずは、「ハイライト」の調整から。

〇印を指でスライドして、①の辺りに移動します。数値的にいうと、②H:300、③S:30、の位置ですが、写真を見ながら、「紫色」に偏るところを探せばOKです。

ちなみに、〇印を左右にスライドすると色みが変わり、上下で色の濃さが変わります。

 

次に、「シャドウ」の色を決めます。

「ハイライト」と同じ「紫色」にすると、写真がモノトーンに近付いて現実離れした世界が表現できます。

元の色を残したリアルな世界観で仕上げたいときは、シャドウは未調整でもかまいません。

 

ここでは、①付近に〇印を移動して少し「青系」に偏らせ、日陰の冷たさと存在感を出しました。

調整できたら、②「完了」ボタンをタップします。

 

これでひととおりの調整は完了ですが、色を変えると明るさやコントラストの感じ方も変化します。「ライト」ボタンの各スライダーや、「かすみの除去」スライダーを微調整しておきましょう。

 

最後に、①「ライト」ボタンをタップし、さらに、②「カーブ」ボタンをタップして、「トーンカーブ」で色の濃度を調整します。

 

①「RGB」ボタンをタップして選択し、「カーブ」の中央を上下に移動します。上に移動すると明るくて軽い色彩、下に移動すると深みのある色彩に変化します。

ここでは、②上に移動して浅い色彩を目指しました。

調整できたら、③「完了」ボタンをタップして完成です。

 

「哀愁感」というすごく漠然としたテーマで写真を仕上げてみましたが、色の感じ方はひとそれぞれ。紹介した方法をベースに、独自の「哀愁感」を探してみてください。

 

「自分の色を探す」ことは色調整の面白さだし、「手動による繊細な調整」こそLightroomの真骨頂です。今回は「哀愁感」でしたが、「爽快感」とか、「幻想感」とか、Lightroomならいろいろな表現ができるのではないかと思います。

 

執筆者:桐生彩希

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