色を上手にコントロールしてテーマ性のある写真にしてみよう

必要な情報
見たままの色である必要はないのです
「色」による影響はとても大きいものです。
たとえば映画のワンシーンを例にすると、青が基調のシーンなら「冷たさ」や「緊張感」、オレンジ色が基調のシーンなら「暖かさ」や「やさしさ」が感じられるようになります。
このように、「色によって抱くイメージ」を活用して目を惹く写真に仕上げよう、というのが今回の目的です。
ただし、写真ごとに好き勝手な色で仕上げてしまうと、統一性がなくなり色調整が失敗したように見えてしまいます。
それを回避するためにも、複数の写真を同じ色で仕上げて、「テーマ性」があるように見せる点もポイントとなります。
「テーマ」というと難しく思えますが、深く考えなくて大丈夫。好きな写真を集めるだけでもよいのです。
それらを「似たような雰囲気」で仕上げれば、見る人が勝手にテーマを想像してくれます。つまり、写真をよく観察してくれるということです。
ちなみに、トップに掲載した写真のネタばらしが下になります。
撮影したままでは陰鬱な印象ですが、レトロな色でさわやかな雰囲気を出し、シンプルに正方形で切り抜いてみました。


実際の色とはかなり異なりますが、それでよいのです。
気持ちのよいと思える色を再現することが大切で、それは肉眼で見た色である必要はありません。
どんな色にすればよいのか分からなくても、Lightroomが提案してくれるから大丈夫です!
テーマを意識して写真を撮るなら
何となく共通のルールを考えてみる
前述で「テーマ」に触れたので、撮影時に意識すると「共通性」(テーマ)が得やすい写し方のルールを考えてみましょう。
分かりやすいのは「空間の広さ」です。
多くの場合、「空の広さ」に置き換えることができます。
「空が広い=被写体が小さい」写りになりますが、空の広さが統一性を出してくれます。
トップの写真でいうと、左と中央が「空間の広さ」を意識して写したものです。
人物や表裏のある被写体の場合、あえて「顔(表面)を写さない」というルールもアリです。
見たい部分を隠すことで写真を見る人の想像力を掻き立てるし、何やら意味のあるシーンに仕立てられます。
トップの写真では、中央と右が「隠すルール」で写しました。
筆者がスナップでよく取り入れるルールが、「横切る通行人」です。
無機質なスナップ写真も、人物が入ることで味わいのある写りになります。
通行人を写すときは「足の運び」に着目して、下の写真のように「両足が開いたタイミング」を狙うのがきれいにまとめるコツです。

下のように足の運びが半端な位置では、バランスの悪い印象になってしまうので注意したいところです。

Lightroomの編集機能でレトロ&さわやかな雰囲気を目指す
個性的な色は「プロファイル」にお任せ!
「個性的な色でテーマ性を出す」とはいっても、どんな色にすればよいのか、本当に自由な色に変えてよいのか不安になると思います。
そこで、おススメしたいのが「プロファイル」機能。
「アーティスティック」や「ビンテージ」「モダン」などのジャンルごとに、さまざまなテイストが用意されています。
いうなれば、Lightroomが提案している個性的な色のバリエーションです。どの設定も「写真として成立」する色彩なので、安心して使える点も魅力といえます。
今回、「プロファイル」を活用して仕上げた写真が下になります。
古くて色褪せたような色でありながら、さわやかさの感じる雰囲気を目指しました。
個性と安定感を出すために、正方形に切り抜いています。

下の写真が撮影した状態のものです。
空の広い構図でシンプルに写したのですが、左下の工事現場が妙にリアルで雰囲気を壊している上、空に雲がないために面白みのない写りになってしまいました。

変わった色彩で写真を目立たせよう!
まずは、写真をLightroomの「編集」画面で表示します。
モバイル版Lightroomでは、サムネール一覧で写真をタップしたら、①左上の文字の部分をタップして、表示された一覧から、②「編集」を選ぶと表示できます。

いきなり核心の作業に入ります。
写真の雰囲気を決める作業です。
「編集」画面が表示されたら、「プロファイル」ボタンをタップします。

画面の右側に「プロファイル」の項目が表示されました。
「プロファイル」はジャンルごとにまとめられているので、ほかのジャンルを表示してみます。
「プロファイル」のエリアの上部に表示されている文字(画面では「カメラマッチング」)の部分をタップします。

「プロファイル」のグループが表示されました。
今回は「ビンテージ」のグループにある設定を使いたいので、「ビンテージ」をタップして選択します。
「ビンテージ」には、レトロな雰囲気になる設定がたくさん用意されています。

サムネール一覧で色を確認したら、①好みの色のなる設定(ここでは「ビンテージ04」)をタップして選択します。
写真の下部にある、②「〇」スライダーで色彩の強さが変更できるので、好みに合わせて調整します。作例は右に移動してより強い色の変化にしてみました。
「プロファイル」が決まったら、③画面右下のボタンをタップして確定します。
ちなみに撮影時のプロファイルは、「カメラマッチング」のグループにある「カメラ初期設定」です。元に戻したいときは、この設定を選択してください。

「プロファイル」を変えるだけでも個性が出ますが、ここからさらに「好みの色」に仕上げていきます。
代表的な補正機能と調整で得られる変化(雰囲気)を以下にまとめたので、参考にしてください。
- 「露光量」スライダー:さわやかさ
- 「コントラスト」スライダー:やさしさ
- 「彩度」「自然な彩度」スライダー:鮮やかさ
作例は、さわやかでやさしい仕上がりを目指します。
先にさわやかな雰囲気から作り出していきます。
調整に使う機能は、①「ライト」ボタンをタップして表示される。②「露光量」スライダーです。このスライダーを右に移動すると写真は明るくなり、さわやかな雰囲気が出てきます。

次は、やわらかでやさしい描写に補正します。使う機能は「コントラスト」スライダーです。
スライダーを左に移動すると、コントラストが穏やかになり、優しい雰囲気が出てきます。

色褪せた感じが出ていてこのままでもよいのですが、目を惹く発色にするためにも、少し鮮やかな仕上がりにしていきます。
鮮やかにする機能は、「彩度」と「自然な彩度」スライダーです。
①「カラー」ボタンをタップして、②「彩度」スライダーを右に移動し、不自然な色に見えない範囲で全体を鮮やかに補正します。
この機能だけでは鮮やかさが足りないときは、③「自然な彩度」スライダーを右に移動すると、もの足りない発色が補えます。

最後に、正方形で切り抜いて地表の煩雑に見える景色を排除します。
「切り抜き」機能は、画面右にある「切り抜き」ボタンをタップすると表示できます。

「切り抜き」機能が表示されたら、①比率を決めるボタンをタップして、②「1×1 正方形」をタップします。
ほかの比率を選んでもOKですが、同じテーマにまとめる写真は同じ比率で切り抜いて、一貫性を保つようにしましょう。

切り抜く比率を決めると、写真上に切り抜き枠が表示されます。
①枠の四隅をスワイプして切り抜く大きさを調整したら、②枠の内部をスワイプして切り抜く場所を決めます。
作例は、灯台を中央に配置した、シンメトリーな構図にしてみました。
切り抜く範囲が決まったら、③画面右下のボタンをタップして切り抜きを確定します。

仕上がった写真が下になります。
肉眼で見た色(補正前の写真の色)とは大きく異なる色彩ですが、だからこそ目を惹く写真になる可能性を秘めています。
そして、お気に入りの写真を同じ色彩に統一することで、テーマ性がある(ように見える)作品集になるのです!

簡単に「テーマ」の色を再現するには?
設定をプリセットに登録しよう
テーマとなる色調整の設定は、いつでも再現できるように「プリセット」に登録しておくと便利です。
まずは、「編集」画面で「プリセット」ボタンをタップして機能を表示します。

プリセットの画面が表示されたら、①「・・・」ボタンをタップして、②「プリセットを作成」をタップします。

「新規プリセット」画面が表示されました。
①「プリセット名」にプリセットの名前を入力します。ここでは、「レトロ&さわやか」としました。
②「プリセットグループ」は、「ユーザープリセット」を選択します。

画面を下にスライドすると、「選択」の項目が表示されます。
チェックを入れた補正機能の設定がプリセットとして登録されるので、今回の調整で使った、①「プロファイル」と、②「ライト」「カラー」にチェックを入れます。
よく分からないときは、初期設定のままにするか、すべてにチェックを入れればOKです。
設定できたら、③のボタンをタップして登録します。

ほかの写真に「プリセット」を適用してみましょう。
写真を「編集」画面で表示して、前述の「プリセット」ボタンをタップしたら、①プリセットのグループを「ユーザープリセット」に設定します。
②登録したプリセットをタップして写真の色が変化したら、③のボタンをタップして確定します。

上の画像のように、トップに掲載している写真も今回登録したプリセットで色を調整しています。
ただし、すべての写真に対して同じ設定で仕上げることは難しいので、状況によって明るさや色を微調整することも必要です。
さあ、皆さんも個性的な作品を目指して、「プロファイル」を試してみましょう!
執筆者:桐生彩希

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