料理写真の魅力をさらにアップさせるための、かんたん撮影&補正術。今回のテーマは、パンケーキ。写真全体の補正に加え、Lightroom CCの部分補正ツールを使って、食材1つ1つを個別に調整し、より自分のイメージに合った写真に仕上げていきます。

必要な情報
本チュートリアル内で使用する主な機能
角度補正、ブラシ(色温度、露光量、彩度)、修復ブラシ、編集(色温度)、切り抜き
撮影のポイント
小道具を使ってテーマとシチュエーションを表現しましょう。小道具を選ぶ前にテーマを決め、ターゲットの性別、年齢、性格などのペルソナを決めます。例えば、30代の女性一人ブランチでテーマを設定した場合、30代女性が好みそうなアクセサリーや小物、お花などを周りに置いたり、使用する食器やカーテンの模様などもその点を意識してセレクトしましょう。男性をターゲットにした場合は、小物はあまり多く置かず、極力シンプルな小道具でスタイリングします。窓から差し込む光を逆光として利用すると、ふんわりとした雰囲気がつくれて、おしゃれな空間の演出ができます。

手順1/10
Lightroom CCに写真を読み込む
作業に入る前に練習用サンプルファイルをこちらからダウンロードしておきましょう。
Lightroom CCを起動し、画面左上の「写真を追加」をクリックします。ダウンロードしたファイルを選択し、右下にある「読み込む項目を確認」をクリックします。次の画面で写真にチェックが入っていることを確認し、「1枚の写真を追加」をクリックします。

手順2/10
写真の傾きを調整する
写真が少し右に傾いているので、角度を調整します。画面右側のツールバーから「切り抜きと回転」をクリックします。「切り抜き」パネルで、「角度補正」スライダーを「-1.6」まで左方向に動かします。写真がまっすぐになったら、Enterキー(Windows)またはReturnキー(macOS)を押して確定します。

手順3/10
写真の特定部分を調整する
写真の一部分の色味や明るさを調整するには、ツールバーから「ブラシ」をクリックします。ここではまず、パンケーキ全体の調整を行います。「ブラシ」パネルで、ブラシのサイズを調整し、パンケーキ全体をドラッグして塗りつぶしていきます。マウスを離すと、画像の上に青い点が表示されます。そこにカーソルを合わせると、塗りつぶした領域が赤くハイライトされるので、選択範囲を確認することができます。作業をやり直したい場合は、「Control + Z」キー(Windows)または「Command+Z」キー(Mac)を押します。
パンケーキ全体が選択されたら、パネルの「色温度」スライダーを「+5」まで右方向に動かします。パンケーキに黄色味が増して、温かい印象になりました。次に、パンケーキ全体を少し明るくするため、「露光量」スライダーを「+0.05」まで動かします。さらに「彩度」スライダーを「+5」まで動かして、色味を鮮やかに調整します。


手順4/10
パンケーキの一部分を調整する
今度は、パンケーキのさらに細かい部分の補正を行なっていきます。新しく作業を始める場合は、「ブラシ」パネルの「新しいブラシを開始」ボタンをクリックします。ブラシサイズを調整し、パンケーキの光の当たっている部分を塗りつぶします。
スライダーで調整する前に、前の作業で設定した数値が残っているので、すべて「0」に戻します。「露光量」スライダーを「+0.07」まで動かします。光の当たっている部分がより明るくなり、明暗のメリハリがつきました。
ヒント: 新しいブラシを作成するたびに、画像の上に青い点が増えていきます。それぞれの青い点にカーソルを合わせると、その選択範囲がハイライトされます。青い点をクリックすると、その選択範囲に対して再度調整することができます。


手順5/10
レモンの部分を調整する
同じように新しいブラシを作成し、レモンの部分を塗りつぶします。「色温度」スライダーを「+10」まで動かし、レモンの黄色味を強くします。


手順6/10
ナッツの部分を調整する
パンケーキの上にのっているナッツの部分が少し暗いので、新しいブラシで選択し、「露光量」スライダーを「+0.29」まで動かして明るくします。


手順7/10
はちみつの部分を調整する
容器に入ったはちみつの部分も少し明るくしましょう。ブラシで選択したら、「露光量」スライダーを「+0.12」まで動かします。明るくなり、はちみつの透明感が増しました。


手順8/10
テーブルの傷を消す
せっかく料理が美味しくみえても、周囲の見栄えが悪いと、写真が台無しになります。テーブルに目立った傷があるので、消しておきましょう。ツールパネルから「修復ブラシ」をクリックします。「修復ブラシ」パネルでブラシのサイズを調整し、テーブルの傷の部分をクリックすると白い円で選択されます。もう一つ矢印の付いた白い円が表示され、これはどの部分で塗りつぶすかのサンプル範囲となります。
選択範囲とサンプル範囲は連動しており、サンプル範囲をドラッグして移動すると、その範囲が選択範囲内にも表示されます。自然に塗りつぶせる範囲を見つけたら、マウスを離して確定します。同様に他の気になる部分も補正してみましょう。


手順9/10
写真全体の色温度を調整する
写真全体の色温度を調整することで、朝の雰囲気になったり、午後の雰囲気になったり、時間の変化も表現することができます。ツールバーから「編集」をクリックし、「カラー」パネルで「色温度」スライダーを「-15」まで左方向に動かします。写真全体に青味がかかり、清々しい朝の雰囲気になりました。逆方向にスライダーを動かすと、黄色味が増して午後の日差しに変化します。


手順10/10
写真をトリミングする
写真をトリミングするだけでも、全体的なイメージが変わります。ツールバーから「切り抜きと回転」をクリックすると、写真の周囲に調整ハンドルが付いたフレームが表示されます。それぞれのハンドルをドラッグして、切り抜き範囲を指定します。「切り抜き」パネルで「縦横比」のプルダウンメニューから好みのサイズを選択することも可能です。鍵のマークをクリックすると、縦横比の固定と解除を切り替えられます。
トリミング位置が決まったら、Enterキー(Windows)またはReturnキー(macOS)を押して確定します。これで完成です。



今回は、デスクトップ版のLightroom CCを使った写真の補正テクニックをご紹介しましたが、モバイル版Lightroom CCを使用して、スマートフォンでも同様の補正が行えます(無償メンバーの方は、一部の機能については別途料金がかかります)。Creative Cloudフォトプランの有償メンバーになると、デスクトップ、モバイル、Webで、Lightroom CCの全ての機能がご利用いただけます。