※ 本記事は「デジタルカメラ・マガジン」2020年11月号(発行:株式会社インプレス)の特集記事を抜粋したものです
写真・文 ● 大和田 良

 

全体の明るさとコントラストを補正して意図した階調を得ることは、画像調整の基本であり、また写真の見え方を決定する重要なプロセスである。階調によって写真の雰囲気や立体感、色の透明感や鮮やかさなどは自在に変化するため、適切な階調の調整を施すことで、写真を通して伝えたいテーマや内容はより明確に表すことが可能になる。また、撮影時に適切な露出が得られなかった場合のリカバーにも必要となるため、基本となる階調の調整は確実に身に付けておきたい。

基本補正(階調)

画面全体のトーンを決める写真の印象を決定づける補正

各項目を調整することで、画面全体のトーンを決定できるのが「基本補正」だ。コントラストや全体の明るさなど、写真の印象を決定づける重要な補正となる。撮影したままのRAWデータを読み込むと、多くの場合ニュートラルな再現になるため、軟調で明瞭感に乏しい画像に見える。基本補正パネルでは、全体のコントラスト、黒や白の締まり、シャドウとハイライトの調整などが行える。RAWデータの持つ豊富な情報を用いて、ニュートラルな再現から適切なトーンへ補正可能だ。まずは標準的なトーン調整を知る必要があるため、初心者は「自動補正」の機能を用いて設定される値を目安にするのも良いだろう。また、露光量とコントラストのパラメーターを調整するだけでもある程度の補正が可能だが、慣れてきたら各項目を効果的に用いてより微細なコントロールを行い、意図に適した仕上げを目指すと良いだろう。

A 露光量

画面全体の明るさを調整する

+1.0では撮影時のプラス1段分に相当する明るさが得られ、逆に-1.0にするとマイナス1段分暗く調整することができる。撮影時の露光過多や不足を補正することが可能である他、各項目の補正値では調整しきれない場合に画像全体の階調をシフトさせて調整域を拡張する機能がある。

B コントラスト

画面全体の輝度差を調整する

主に中間調を中心に、明るい部分と暗い部分の輝度差を変化させることでコントラストを調整する。プラス側に補正することでより硬調な仕上がりになり、マイナス側では逆に軟調な見た目となる。より細かく調整したい場合にはトーンカーブや、各階調範囲に特化した項目で補正すると良い。

C ハイライト

明るい部分のトーンを調整する

ヒストグラム上の中間調よりも右側に位置する明るい部分の階調を補正する。明るい肌や白い雲など、明度が高いモチーフの明るさや質感の調整をすることが可能だ。スライダーをプラス側に調整するとより明るく、マイナス側に調整すると落ち着いた階調となると同時に多くの場合質感を強調できる。

Dシャドウ

暗い部分のトーンを調整する

ヒストグラム上の中間調よりも左側に当たる暗い階調を補正する。スライダーをプラス側に調整すると明るくなり、マイナス側ではより暗くなる。シャドウ部分が明るくなることで補助光的な効果が得られるため、柔らかな再現が期待できる他、ディテール感の調整や影の濃さなどの調整ができる。

E 白レベル

最も明るい部分のトーンを調整する

画像の中で最も明るい、ヒストグラム上では最も右側に位置する完全な白に近い部分の階調を補正する。マイナス側に補正することで白飛びや色飽和が抑えられ、プラス補正では鮮やかな白の抜けを再現することで、画像全体の階調を圧縮し、コントラストを調整することができる。

F 黒レベル

最も暗い部分のトーンを調整する

画面内の最も暗い黒に近い階調を補正する。プラス補正を行うと暗い部分の情報が引き出され、ディテール感が調整できる。マイナス補正では、暗い部分の面積を増やしたり、浅いシャドウを深い黒として再現するなど、画面の締まりやコントラストをコントロールすることも可能だ。

HINT

ハイライトと白レベル、シャドウと黒レベルはどう使い分ける?

ハイライトは階調や質感が感じられる程度の明るさを持った、中間調よりも明るく、白には見えない程度の明るさの範囲を中心に調整を行う。一方、白レベルでは主に白く感じられる範囲の調整を行う。同じようにシャドウと黒レベルでも、階調や質感を表現する範囲と、黒の締まりを調節する範囲に分かれている。2つの範囲補正を組み合わせることで、輝きのある白を保ちながら雲の質感を出すといった補正や、漆黒を保ったまま暗い部分の質感を再現するなど、目的に合わせた調整が可能になる。

 

シャドウ+50

プラス補正することでシャドウ部分が補助光的な効果で明るく再現され、オリジナルで暗かった部分が全体的に明るくなることで、画面全体も明るく感じられる。元々黒だった部分は黒のまま階調が保持されている。

 

黒レベル+50

プラス補正することで暗かった部分が明るく感じられるが、元々黒だった部分にも階調が現れたことで全体が浅く軟調の画像に変化し、明瞭感が若干弱まることでかすみが強くなったような効果が感じられる。

 

シャドウ+50/黒レベル-15

シャドウをプラス補正し、黒レベルはマイナスに補正した。シャドウ部分の木々や岩肌には階調や質感が豊かに感じられると同時に、最も暗い黒の面積が若干増加したためコントラストが高まり明瞭になった。

このページは役に立ちましたか。