プロフォトグラファー 藤原嘉騎さんの、こだわりの写真補正テクニックをご紹介します。今回は夏を代表する花、ひまわりと百合の写真を題材に、LightroomとPhotoshopを使ってより印象的に仕上げるまでの工程をステップバイステップで解説します。

必要な情報
本チュートリアル内で使用する主な機能
基本補正ツール、トーンカーブ、HLSパネル、段階フィルター、ノイズ軽減、スポット修復ブラシツール
Step 1:ひまわり

手順
- Lightroomで写真を読み込む
- 基本補正パネルで色味の調整を行う
- トーンカーブでさらに追い込む
- HLSパネルで特定の色を調整する
- 段階フィルターで特定の領域を調整する
- Photoshopで不要なゴミを削除する
1-1. Lightroomで写真を読み込む
Lightroomを起動して、「ライブラリ」モジュールを選択して、左パネルの下にある「読み込み」ボタンをクリックします。ダウンロードしたサンプルファイル(himawari.dng)を選択し、画面右下の「読み込み」ボタンをクリックして写真を読み込みます。

1-2. 基本補正パネルで色味の調整を行う
「現像」モジュールを選択して、読み込んだ写真を表示します。夕暮れ時に撮影した写真ですが、色味やディテールにメリハリがなく、全体的にのっぺりとした印象です。「基本補正」パネルで、色味や明るさ、コントラストなどを調整し、さらに「明瞭度」を上げて写真に立体感を出します。

1-3. 「トーンカーブ」と「かすみの除去」でさらに追い込む
全体的にメリハリのある写真に仕上がってきましたが、「トーンカーブ」でさらに追い込んでみます。直線をドラッグして全体を調整するか、スライダーを動かしてハイライト、ライト、ダーク、シャドウを個別に調整することもできます。よりメリハリの効いた写真になりました。
続いて、「効果」パネルの「かすみの除去」のスライダーを右方向に動かします。白くかすんでいた空が鮮やかに再現され、雲のディテールもはっきりとしました。

1-4. HLSパネルで特定の色を調整する
「HLS」パネルは、特定の色範囲の色相、彩度、輝度を調整することができます。ここでは、ひまわりの黄色い花を強調するため、オレンジとイエローの色相および彩度を調整します。
また、グリーンの輝度を下げて葉の緑を暗くすることで、より花びらの黄色を目立たせることができます。

1-5. 段階フィルターで特定の領域を調整する
最後に、ひまわりをさらに目立たせて、より印象的に写真に仕上げます。ここでは、「段階フィルター」を使用します。段階フィルターは、特定の領域のみを段階的に調整する機能です。
ツールパネルから長方形のアイコンをクリックし、マウスポインターが十字の状態で、段階フィルターを適用する領域をドラッグして指定します。ここでは、ひまわりにかかるように下から上にドラッグします。
画面下の「選択したマスクオーバーレイを表示」にチェックを入れると、調整を適用する領域を確認します。中心点やガイド線をドラッグすることで、選択領域の位置や角度、グラデーションの幅を変更できます。
領域が選択できたら、オーバーレイ表示のチェックを外します。調整パネルの「編集」パネルが開いていることを確認して、ひまわりの花が目立つようにパラメーターを調整します。

1-6. Photoshopで不要なゴミを削除する
空のゴミが気になるので、Photoshopに移動してゴミを取り除きます。画像の上で右クリック(Windows)またはControlキーを押しながらクリック(Mac)し、コンテキストメニューから「他のツールで編集」→「Adobe Photoshopで編集」をクリックすると、自動的にPhotoshopが起動します。
ツールパネルから「スポット修復ブラシツール」を選択し、ブラシサイズを調整しながら、ゴミをクリックして除去していきます。
ヒント:「色調補正」パネルの「明るさ・コントラスト」をクリックし、「属性」パネルで明るさとコントラストを上げると、ゴミが目立つようになるため処理がしやすくなります。編集後は調整レイヤーを削除します。
編集後に保存すると、編集内容がLightroomの写真にも自動的に反映されます。

Step 2:百合

手順
- Lightroomで写真を読み込み、基本補正を行う
- トーンカーブで写真にメリハリをつける
- HLSパネルで写真全体を調和させる
- ノイズを取り除く
2-1. Lightroomで写真を読み込み、基本補正を行う
Step 1と同様に、Lightroomでサンプルファイル(yuri.dng)を読み込みます。
「現像」モジュールに写真を表示したら、「基本補正」パネルで、色味や明るさ、コントラストなどを調整します。
基本的な調整が終わったら、今回はこの写真を幻想的な雰囲気にするために、「色温度」をあえて青方向に振ります。

2-2. トーンカーブで写真にメリハリをつける
「トーンカーブ」の直線またはスライダーを調整して、写真にメリハリをつけます。この時、背景のボケが目立ちすぎないように細く調整します。

2-3. HLSパネルで写真全体を調和させる
Step 1でも行ったように、「HSL」パネルで特定の色範囲の色相、彩度、輝度を調整します。ここでは、手間の百合と背景のボケが調和するように細く調整します。

2-4. ノイズを取り除く
明るい場所で撮影した写真でも、明るさやコントラストを調整することで、ノイズが目立ってくることがあります。
画像をクリックして拡大表示し、ノイズを確認します。「ディテール」パネルを開き、「ノイズ軽減」の輝度を右方向にドラッグすると、ノイズがなくなります。
絵画のような幻想的な雰囲気の作品に仕上がりました。

藤原嘉騎
元プロスノーボーダー。引退後フォトグラファーに転身。自然光を活かした透明感のある写真を主に、独学で経験を重ね自身でしか伝えられない瞬間を求めて撮影を続ける。国内だけでなく海外の雑誌やWebでも活動を行う。
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