Lightroom Classic および Adobe Camera Raw での階調コントロールの調整

Adobe Lightroom Classic および Camera Raw の基本補正パネルで階調コントロールの調整を使用する方法について説明します。

この記事は 、  Todd R. Shaner 氏による寄稿に基づいています。

Todd R. Shaner 氏はコンピューティング技術業界での 45 年間のキャリアから引退しましたが、現役時代にはリアルタイムシステムの研究開発に携わり、引退直前には Intel® Embedded Architecture プラットフォームも手がけていました。カラーフィルムの処理や印刷を含め、フィルム写真における 30 年以上の経験があります。Todd 氏はまた、デジタル写真においても 15 年以上の経験があり、Adobe Photoshop、Lightroom、Illustrator、InDesign など多数のアプリケーションに精通しています。

ウェブログ:https://luminous-landscape.com/scannerless-digital-capture-and-processing-of-negative-film-photographs/

Adobe Lightroom Classic および Camera Raw の基本補正パネルの階調コントロールの調整手順

注意:

このドキュメントは、かすみの除去コントロールを除き、Lightroom 4 以降のすべてのバージョンに適用されます。かすみの除去は、Lightroom CC 2015.1 と Lightroom 6.1 以降のすべてのバージョンで使用できます。また、このドキュメントはバージョン 9.1 のかすみの除去コントロールを除き、Adobe Camera Raw 7.0 以降のすべてのバージョンに適用されます。この手順は、Lightroom CC デスクトップ版のクラウドベースのアプリケーションには適用されません。

Lightroom 処理バージョン 3、4、および 5 の基本補正パネルの階調コントロールは画像に応じて変化するため、ランダムな順序での調整は非効率的です。現像モジュールコントロールの下にあるキャリブレーションパネルで、処理バージョンを選択します。この簡単なチュートリアルでは、中間調の明るさとコントラスト、ハイライトのディテール、シャドウのディテール、および白レベルと黒レベルのセットポイントを最適なバランスに素早く設定する方法について説明します。可能なら Adobe プロファイルとカメラプロファイルの両方でテストして、どちらが効果的か試してみることをおすすめします。一般的に、ほとんどの画像で、Adobe 標準プロファイルか Adobe カラープロファイルで良い結果が得られます。

まず基本補正パネルの「階調」をダブルクリックして、すべての階調コントロールがデフォルトの 0 に設定された状態で試してみます。最適な結果を得るには、下に示す順序でコントロールを調整します。キャリブレーションパネルで処理バージョン 5 を選択すると最適な結果が得られますが、次のワークフロー手順は、処理バージョン 4 および 3 にも同様に適用できます。

処理バージョンについて詳しくは、https://helpx.adobe.com/jp/creative-suite/using/process-versions.html を参照してください。

注意:

ディスプレイのコントロールが正しく設定されていない場合、画面では画像がきれいに表示されても、プリント出力では暗くなったり、色が少し異なって見えることがあります。最適な結果を得るには、ハードウェアモニター用のキャリブレーションデバイスを使用して、キャリブレーションとプロファイルの作成を行う必要があります。

下の web サイトにあるテストパターンを使用して、ディスプレイを手動で調整することもできます。
http://www.lagom.nl/lcd-test/

  1. 露光量」を設定して、画像の中間調の明るさを補正します。ここでは、ハイライトおよびシャドウの領域は無視してかまいません。多くの画像では、中間調の露光量を、適切に見えると感じるよりも少し高く(+.25 ~ +.50 EV)設定すると、最も良い結果が得られます。

  2. コントラスト0 のままにしておきます。これは、ひととおり補正が終わってから調整した方がうまくいきます。

  3. ハイライトを調整して、白とびした領域を再現したり、微細な色調の詳細を引き出します。

  4. シャドウを調整して、暗い領域の微細な詳細を引き出します。一般的な画像では、多くの場合、「+ シャドウ」と「- ハイライト」を同じ値に設定すると(例:+50 と -50)良い結果が得られます。

  5. 白レベルコントロールは白レベルのクリッピングポイントを設定しますが、これは Alt/Option キーを押しながらスライダーを動かすことで確認できます。黒い背景にクリッピングがちょうど現れるポイントまで調整します。霧が深い天候の中撮影した写真など、コントラストが非常に低い画像では、もっと低く設定した方がよいかもしれません(白レベルのクリッピングを設定しない、など)。

  6. 黒レベルコントロールは黒レベルのクリッピングポイントを設定しますが、これは Alt/Option キーを押しながらスライダーを動かすことで確認できます。白い背景にクリッピングがちょうど現れるポイントまで調整します。霧が深い天候の中撮影した写真など、コントラストが非常に低い画像では、もっと低く設定した方がよいかもしれません(黒レベルのクリッピングを設定しない、など)。

  7. もう一度コントラストコントロールを調整して、 中間調 コントラストが最適になるように設定します。画像全体のコントラストに対する効果は無視します。これは、白レベル黒レベルのクリッピングポイントコントロールを使用して設定します。

  8. 最後に、露光量コントロールを微調整して、 中間調 の明るさが最適になるように設定します。

必要に応じて、このワークフローをもう一度上から順に実行して、コントロールの現在の設定を微調整します。

Adobe 標準プロファイルだけでなく、様々なカメラプロファイルを使用してみることもできます。Lightroom バージョン 7.3 以前では、プロファイルセレクターは一番下のキャリブレーションパネルにありました。Lightroom バージョン 7.4 以降では、一番上の基本補正パネルにあります。カメラプロファイルを変更する場合は、階調コントロールを 0 にリセットして最初からやり直すことをおすすめします。その場合、仮想コピーを使用して、元のマスターファイルの調整を保持しておくこともできます。別のカメラプロファイルを使用した結果が気に入った場合は、仮想コピーからマスターファイルに設定を「同期」してから、仮想コピーを削除します。両方ともとっておいてもかまいません。

ローカルコントロール(段階フィルター、円形フィルター、調整ブラシ)を使用してさらに調整が必要な特定の画像領域を修正

それぞれの階調コントロールが 影響を及ぼす画像データを確認するには、 ヒストグラムの上にマウスポインターを置いて、左右に動かします。それぞれの階調コントロールの領域がライトグレーで示され、コントロールの名前と現在の設定が表示されます。左のマウスボタンを押したまま、ダブルポインターアイコンを左右にドラッグすると、選択したコントロール領域の設定が変更されます。コントロールは多少相互に作用しますが、それぞれ本来のターゲット領域を制御するために使用するようにしてください。

階調コントロールのターゲット領域:

  • 露光量:中間調の明るさ(30%~ 70%レベル)
  • コントラスト:中間調のコントラスト(30%~ 70%レベル)
  • ハイライト:ハイライト領域(70%~ 90%レベル)
  • シャドウ:シャドウ領域(10%~ 30%レベル)
  • 白レベル:白レベルポイント領域(90%~ 100%レベル)
  • 黒レベル:黒レベルポイント領域(0%~ 10%レベル)

処理バージョン 3(2010)、4(2012)、および 5 の調整速度に関するヒント

基本補正パネルの「自動階調」ボタンを使用すると、画像を素早く処理できます。

自動」ボタンをクリックし、必要に応じて露光量コントロールを再調整して、中間調の明るさが最適になるように設定します。被写体のタイプにもよりますが、多くの場合良い結果が得られます。

基本補正パネルの「自動」ボタン
基本補正パネルの「自動」ボタン。

露光量 +.5 EVハイライト-50シャドウ+ 50 に設定するプリセットを作成してみました。これは、通常のコントラストの被写体で、Adobe プロファイルやカメラの標準プロファイルを使用する場合にうまく機能します。必要に応じて露光量スライダーで中間調の明るさを調整し、上の手順 5 に進みます。使用する画像に最適な設定は、少し異なる場合があります。必要に応じて調整を行い、新規現像プリセットパネルでそれらの設定のチェックボックスのみをオンにします。

新規現像プリセットパネル
新規現像プリセットパネルで設定を調整します。

-50 と + 50、またはその他の値を使用するかどうかは、特定の画像、照明の条件、カメラ、レンズ、および個別の環境設定によって異なります。シャドウが濃く、ハイライトが明るい領域を含むハイダイナミックレンジ画像では、これらの領域のディテールを引き出すために、50 よりも高い設定値(-60、+60 から最大 -100、+100 まで)が必要となる場合もあります。濃いシャドウや明るいハイライトを含まない被写体(曇りや霧がかかった天候時に撮影した画像など)の場合は、コントラストを維持するために、より低い値(-40、+40 から 0、0)が必要になるかもしれません。事実、こういった種類の画像では + コントラスト、+ 明瞭度または + かすみの除去を使用しなければならない場合があります。とはいえ、これらのコントロールを適用した後に少量の - ハイライトと + シャドウを使用すると画像がさらに良くなることもあります。これも、画像に応じて変化する階調コントロールが相互に作用したことによる影響を受けています。

かすみの除去コントロールは、大気中のかすみ(霧、ガス、煙)が見られる画像や、レンズフレアまたはその他のレンズの問題のために低コントラストになっている画像で効果的です。後者の場合は、15 ~ 25 のかすみの除去設定を追加するだけで、単調な印象の画像に命を吹き込むことができます。大気中のかすみでは多くの場合もっと高い設定値が必要で、特に補正が必要な領域ではローカルコントロール(調整ブラシ、段階フィルター、円形フィルター)を使用してかすみをさらに調整する必要があります。

-50 +50 のプリセット 1 つの代わりに、次の値と名前で、ハイライトとシャドウのみを適用する 6 つの現像プリセットを作成しておくとよいでしょう。

  • -0 ハイライト、+0 シャドウ
  • -20 ハイライト、+20 シャドウ
  • -40 ハイライト、+40 シャドウ
  • -60 ハイライト、+60 シャドウ
  • -80 ハイライト、+80 シャドウ
  • -100 ハイライト、+100 シャドウ

これにより、高い設定値または低い設定値を使用して、画像を素早くレビューできます。値を 20 変えた場合の作用は極めてわずかです。これらの設定を大幅に変更した場合は(40 かそれ以上)、白レベル黒レベルのコントロールを再調整する必要があります。これも、画像に応じて変化する階調コントロールが相互に作用したことによる影響を受けています。

- ハイライト = + シャドウが最適な理由

前述のように、PV2012 の階調コントロールは特定の階調領域を対象とし、いくらかの重複と相互作用があるものの、定義されたヒストグラム領域をかなり正確に限定して調整します。これらの領域を確認するには、現像モジュールヒストグラムの上でマウスポインターを動かします。ハイライトおよびシャドウコントロールは、トーンカーブの正反対の役割を果たすと考えることができますが、使用するアルゴリズムはもっとずっと複雑です。設定が等しく反対でない場合、画像データレベルがヒストグラムの左または右に移動し、その他すべてのコントロール領域との間に強力な相互作用が発生します。そのため、適切に調整された画像を作成するために、より多くの階調コントロールが必要となります。

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