After Effects CS6 における OpenGL の機能は、以前のバージョンの OpenGL の機能とは異なります。このドキュメントは After Effects CS4 から CS5.5 のみを対象としています。After Effects CS6 GPU の機能の詳細については、こちらのビデオを参照してください。
このドキュメントでは、 After Effects を使用しているときに発生する OpenGL 関連の問題を解決する方法について説明します。 OpenGLの問題は、以下の形で表れることがあります(ただし、これに限定されません)。
- Adobe After Effects の起動中に、クラッシュしたり、エラーなしに終了したりします。
- タイムラインのスクラブ、プレビューまたはコンポジションのレンダリングのときに、クラッシュまたはフリーズします。
- OpenGLプレビューが有効な状態でエフェクト設定を変更するとクラッシュします。
- OpenGLプレビューを無効または有効にするとクラッシュまたはフリーズします。
- コンポジションウィンドウの再描画に長時間を要します。
- 斑点または「ノイズ」ピクセルのブロックがコンポジションウィンドウに描画されます。
- OpenGL プレビューが有効な状態と無効な状態では、コンポジションウィンドウでの描画は異なります。
- 次のいずれかのようなエラーメッセージが表示されます。
「After Effects の警告:OpenGL コマンドの処理中に問題が発生しました。」
「「0x00fe1940」での命令が「0x000000000」のメモリを参照しました。メモリを読み取れませんでした。」
「AE_OpenGL:シャドウマップの生成に失敗しました(5065::0)」
「このコンポジションは OpenGL のハードウェアには複雑すぎます。」
「After Effects エラー:AE_OpenGL:テクスチャの作成エラー。(5065 :: 0)」
After Effects 内での OpenGL に関するプレビュー環境設定の設定方法、および OpenGL でレンダリングできる After Effects の機能の詳細については、After Effects のヘルプの「OpenGL を使用したレンダリング」を参照してください。
このドキュメントの利点を最大限に活かすには、タスクを順番に実行します。実行するタスクおよびその結果(エラーその他の問題)を記録してください。電話でお問い合わせを受けた際に、弊社のテクニカルサポートはこの情報を使用してより適切なサポートを提供することができます。
このドキュメントに掲載されている一部の手順を実行するには、コンピューターに管理者としてログオンする必要があります。
Windowsでは、一部の手順で隠しファイルと隠しフォルダーを見つける必要があります。 いくつかの手順では、拡張子を含んだ完全なファイル名(例:example_filename.ini)でファイルを指定する必要があります。デフォルトでは、Windowsエクスプローラーで隠しファイル、隠しフォルダー、および登録されているファイル名拡張子は表示されません。詳細については、「Windows のすべてのファイルおよびフォルダーを表示」を参照してください。
Windows Vista の場合、このドキュメントに示す手順では、コントロールパネルをクラシック表示で参照しています。コントロールパネルをクラシック表示に切り替える方法、および他の一般的な OS の手順の詳細については、「一般的な OS 手順」を参照してください。
以下のタスクは、OpenGLに関する一般的な問題を解決するのに役立ちます。 以下のタスクを実行する前に、(作成したAfter Effectsファイルなど)すべての個人用ファイルのバックアップを作成してください。 システムエラーの発生後は、必ずコンピューターを再起動して、メモリを更新してください。コンピューターを再起動しないで作業を続行すると、問題が大きくなる場合があります。
1. After Effects の最新バージョンに更新します。
更新を確認するには、After Effectsでヘルプ/更新を選択します。
2. コンピューターのシステムがAfter Effectsの必要な構成を満たしていることを確認します。
After Effectsの必要システム構成のリストについては、「Adobe After Effects システム要件」を参照してください。
3. ビデオカードとドライバーがOpenGLの必要な構成を満たしていることを確認します。
After Effects で OpenGL を使用するには、OpenGL 2.0 をサポートする OpenGL カードが必要です。
使用中のカードがサポートしているOpenGLのバージョンを確認するには、プレビュー環境設定の「OpenGL 情報」ボタンをクリックします。 Mac OSの場合は、After Effects/環境設定/プレビューを選択します。 Windowsの場合は、編集/環境設定/プレビューを選択します。
サポート対象の OpenGL ハードウェアに関する情報については、「GPU(CUDA、OpenGL)の機能」を参照してください。
最新のビデオカードドライバーをインストールすると、使用中のカードの OpenGL 機能が向上する可能性があります。以下の「ビデオカードドライバーの更新」を参照してください。
4. OpenGL を無効にして、OpenGL が問題の原因になっているかどうかを確認します。
OpenGLプレビューを無効にするには、以下の操作を行います。
-
After Effects/環境設定/プレビュー(Mac OS)、または編集/環境設定/プレビュー(Windows)を選択します。
-
「OpenGL を有効にする」オプションを選択解除します。
注意: OpenGL では After Effects の一部の機能をサポートしていないので、OpenGL プレビューとソフトウェアレンダリングのプレビューでコンポジションの外観が異なる可能性があります。OpenGL がサポートする機能のリストについては、After Effects のヘルプの「レンダリングおよびエクスポート」の節の「OpenGL を使用したレンダリング」を参照してください。
5. After Effects のプラグインフォルダーから OpenGL プラグインを削除します。
OpenGL が問題の原因かどうかを判断するには、OpenGL のプラグインを削除してから After Effects を再起動します。
OpenGLプラグインを削除するには、以下の操作を行います。
-
After Effects を終了.
-
Mac OS: Applications/Adobe After Effects CS4/Plug-ins/ExtensionsフォルダーからAE_OpenGL.pluginファイルをデスクトップにドラッグします。
Windows: C:\Program Files\Adobe\Adobe After Effects CS4\Support Files\Plug-ins\ExtensionsフォルダーからAE_OpenGL.AEXファイルをデスクトップにドラッグします。 -
After Effectsを再起動します。
問題が再発する場合は OpenGL が問題の原因ではありません。OpenGLプラグインをオリジナルの場所にドラッグして戻します。 問題が再発しない場合は、問題の原因はOpenGLです。 以下の「ビデオカードドライバーの更新」を参照してください。
6. ビデオカードドライバーを更新する。
OpenGLの多くの問題または競合は、ビデオカードドライバーを更新すると解決できます。 多くのビデオカード製造元は頻繁にソフトウェアドライバーをアップデートします。ビデオカードドライバーを更新していない場合は、更新されたドライバーについてビデオカード製造元に問い合わせるか、製造元のWebサイトから最新のドライバーをダウンロードしてください。
7. After Effects を再起動し、クラッシュを引き起こしているビヘイビアーをテストします。(Windows のみ)
Windows 環境で OpenGL の問題が原因でクラッシュが起きた後、After Effects CS4 は「DLL アドレス空間の断片化を防止」環境設定を自動的に無効にする場合があります。この環境設定により、After Effects は大容量の連続した RAM にアクセスできるようになりますが、一部の OpenGL ドライバーとは互換性がない可能性があります。
「DLL アドレス空間の断片化を防止」環境設定を有効または無効にするには、編集/環境設定/メモリ&キャッシュを選択します。
OpenGL またはメモリ関連のクラッシュが発生している場合を除き、この環境設定は有効なままにしてください。OpenGL の問題が原因で環境設定を無効にし、後ほどビデオカードドライバーを更新した場合は、環境設定を再度有効にします。その後、再び問題をテストします。
8. テクスチャメモリ優先設定を最適化します。
After Effects が過度に多くのビデオテクスチャメモリを使用した場合は、クラッシュまたは OpenGL エラーが発生する可能性があります。 テクスチャメモリとは、ビデオカード上のメモリ容量(VRAM)のことです。
After Effectsでテクスチャメモリ優先設定を設定します。
-
搭載されているVRAMの合計量に80%を乗算し、最適なテクスチャメモリ設定を求めます。
-
After Effectsで、After Effects/環境設定/プレビュー(Mac OS)、または編集/環境設定/プレビュー(Windows)を選択します。
-
「OpenGL 情報」をクリックします。
-
手順1で求めた値を入力し、「OK」をクリックします。
テクスチャメモリの理想的な値は、ビデオカードのメモリ容量の80%です。 複数のビデオカードを使用している場合は、OpenGL 情報ダイアログボックスで識別されているビデオカードの VRAM の 80% の値を求めます。After Effects のテクスチャメモリの環境設定が VRAM の 80% 以上に設定されている場合、ユーザーインターフェイスまたは他のタスクを処理するための VRAM がビデオカードに残っていない可能性があります(たとえば、画面全体が白くなることがあります)。テクスチャメモリの値が 80% 未満に設定されている場合は、After Effects 内の OpenGL プレビューでのフレーム処理に時間を要する可能性があります。
ビデオカードの VRAM の容量の確認方法については、Mac OS のヘルプまたは Windows のヘルプを参照してください。
9. イメージキャッシュとビデオメモリをクリアします。
After Effects のコンポジションウィンドウで斑点または「ノイズ」(正しくないピクセルからなるブロック)が表示される場合は、ビデオメモリ(VRAM)がいっぱいになっているか、断片化または破損している可能性があります。イメージキャッシュとビデオメモリをクリアしてVRAMを空にし、After Effectsでコンポジションプレビューを再構築します。
イメージキャッシュとビデオメモリをクリアするには、編集/クリア/イメージキャッシュを選択します。
ビデオメモリを消去するには、編集/クリア/ビデオメモリを選択します。
注意:After Effects の実行中に OpenGL(または Windows の Direct3D)を使用するスクリーンセーバーが動作すると、ビデオメモリが破損する可能性があります。スクリーンセーバーを無効にした後に、コンポジションウィンドウでイメージが破損する問題が頻繁に発生する場合は、スクリーンセーバーを変更するか無効にしてください。
10. ビデオカードのカラー設定を「最高(10 ビット)」(Windows)または「約 1670 万色」(Mac OS)に変更します。
ビデオカードまたはディスプレイの設定の変更について詳しくは、Mac OSのヘルプまたはWindowsのヘルプを参照してください。
11. ビデオカードの拡張機能を無効にします。(Windows のみ)
大部分のディスプレイカードドライバーには、カードの拡張機能にアクセスするためのユーティリティが含まれています。特に、アンチエイリアシングや 16 ビットモード機能は OpenGL と競合し、After Effects のクラッシュを引き起こす可能性があります。ディスプレイカードの拡張機能をデフォルト値に設定し、次にアンチエイリアシングおよび 16 ビットモードオプションを無効にします。
NVIDIA社のカードで複数のモニターを使用している場合は、マルチモニター設定を「互換」に設定します。
その高度な機能にアクセスする方法については、ビデオカードのドキュメントまたは製造元の Web サイトを参照してください。
12. シングルモニターを使用します。
複数のモニターを使用していてAfter EffectsでOpenGLの問題が発生している場合は、以下の操作を試みてください。
- After Effectsのアプリケーションウィンドウ、またはコンポジションパネルをセカンダリモニターに表示している場合は、ウィンドウをプライマリモニターへ移動します。
- 1台のモニターのみを残し、他のすべてのモニターを切断します。
- 複数のディスプレイカードを使用している場合は、1枚のディスプレイカードのみを残し、他のすべてのディスプレイカードを取り外します。 OpenGLで最高の結果を得るには、1枚の2出力ディスプレイカードを使用します。
13. Reduce OpenGL Texture Size スクリプトをスタートアップスクリプトフォルダーに配置します。
Reduce OpenGL Texture Size スクリプトは、After Effects が使用するテクスチャメモリの容量を減らし、古いビデオカードとの互換性を向上させる可能性があります。
Reduce OpenGL Texture Sizeスクリプトをスタートアップスクリプトフォルダーに配置するには、以下の操作を行います。
-
After Effectsのスクリプトフォルダーに移動します。
Mac OS: Applications/Adobe After Effects CS4/Scripts
Windows: C:\Program Files\Adobe\Adobe After Effects CS4\Support Files\Scripts.
-
Reduce OpenGL Texture Size.jsxファイルを(support)フォルダーからStartupフォルダーに移動します。
最新のビデオカードを使用すると、使用中のコンピューターの OpenGL 機能が向上し上記のスクリプトが不要になる可能性があります。新しいディスプレイカードおよびドライバーをインストールした後、Reduce OpenGL Texture Size スクリプトを(support)フォルダーへ戻し、After Effects の環境設定をリセットします。
14. After Effects の環境設定をリセットします。
After Effects の環境設定ファイルを再作成すると、OpenGL の環境設定の破損によって発生する可能性のある問題を排除できます。
After Effects の環境設定ファイルを再作成するには、After Effects を再起動します。このアプリケーションの起動時に Ctrl + Alt + Shift キー(Windows)または Command + Option + Shift キー(Mac OS)を押します。
15. Adobe テクニカルサポートに連絡する。
前述の手順をすべて実行しても After Effects でのエラーやフリーズの問題が解決できなかった場合は、弊社のテクニカルサポートにお問い合わせください。アドビサポートにサポートのオプションがあります。