行送りについて
ここでは、欧文組版で行送りがどのように適用されるかを説明します。CJK テキストでの行送りについて詳しくは、アジア言語のテキストでの行送りについてを参照してください。
垂直方向の行の間隔を行送りといいます。行送りとは、1 つのテキスト行のベースラインから、その上の行のベースラインまでの距離を示します。ベースラインとは、ディセンダラインのない文字を揃えるための基準となる目には見えないラインのことです。
初期設定である「自動」行送りでは、行送りが文字サイズの 120 %に設定されます(例えば、10 ポイントの文字の行送りは 12 ポイントになります)。自動行送りが使用されている場合は、InCopy では、文字パネルの行送りメニューに行送り値が括弧付きで表示されます。
A. 行送り B. テキストの高さ C. 最も高い文字に合わせて行送り値が決まります。
アジア言語のテキストでの行送りについて
行送りの基準位置を設定するには、段落パネルメニューの「行送りの基準位置」を使用します。デフォルトの設定(仮想ボディの上 / 右)では、テキスト行の仮想ボディの上端から次行のテキストの仮想ボディの上端までがテキスト行の行送りになります。行を選択し、「仮想ボディの上 / 右」を設定した状態で行送りの値を増やすと、選択した行から次の行までの移動距離が大きくなります。「仮想ボディの上 / 右」以外の設定では、行送りは現在行と前の行との移動距離になるので、この設定で行送りの値を増やすと現在行の上の行間は大きくなります。
文字パネルまたはコントロールパネルの行送りメニューから行送りを設定します。デフォルトでは「自動」が選択されています。「自動行送り」が設定されている場合、文字パネルの「行送り」では、括弧内に行送り値が表示されます。この「自動」の値は、テキストフレーム内のテキストとフレームグリッド内のテキストでは異なります。自動行送りの値は、段落パネルの「ジャスティフィケーション」で設定します。InCopy のテキストフレームにあるテキストで使用される自動行送りのデフォルト設定値は、設定されているフォントサイズの 175%になります。フレームグリッドにあるテキストの場合は 100%であり、グリッド揃えでグリッド内のテキスト行を拡張することができます。
テキストフレーム内のテキストの行送りは、グリッド揃えが「なし」に設定されている場合、文字パネルの「行送り」の値で設定します。グリッド揃えが「なし」以外に設定されている場合、行送りは、ベースライングリッドの設定を基準にして適用されます。
フレームグリッドにあるテキストをコピーしテキストフレームにペーストすると、テキストと共にフレームグリッドの属性もペーストされるので、「行送り」の「自動」は 100%になります。行間が詰まったように表示される場合は、「行送り」の値を自動ではなく、数値で指定します。
フレームグリッド内のテキストの行送りは、「行送り」の値ではなく、フレームグリッド設定ダイアログボックスの「行間」で設定します。フレームグリッド内のテキストの行送り値は、「行間」の値とグリッドサイズ(フォントサイズ)の合計の値になります。つまり、グリッドサイズが 13 Q で行間が 10 H に設定されている場合、実際の行送りの値は「23 H」になります。
なお、フレームグリッド内に配置したテキストには、デフォルトでグリッド揃えが「仮想ボディの中央」に設定されています。この場合は、グリッドの中央から次のグリッドの中央までの値が行送り値になります。グリッド揃えを「なし」に設定すると、行送りは、グリッドで指定される位置から適用されます。グリッド揃えを「なし」に設定すると、文字パネルの「行送り」で設定されている値で行が送られるようになります。
フレームグリッドの行送りは複雑です。配置されているテキストの「フォントサイズ」、「行送り」の値と、段落パネルの「行取り」の設定によって、実際の行送り値が変化します。次のことに注意してください。
フレームグリッドのフォントサイズを変更せずに、配置されているテキストのフォントサイズや行送りの値を、文字パネルでグリッドのサイズより小さくした場合、テキストは、設定されている「グリッド揃え」を基準にしてグリッドに揃えられます。
フレームグリッドのフォントサイズ(グリッドサイズ)を変更せずに、配置されているテキストのフォントサイズを、文字パネルでグリッドサイズ+行間より大きくすると、「行取り」が「自動」に設定されている場合、自動的に行取りが変更され、1.5 行取り、2 行取り、2.5 行取り、3 行取りと、0.5 行刻みでグリッドに揃えられます。「行取り」が「自動」以外に設定されている場合は、指定した行取りでグリッドに揃えられるため、フォントサイズが大きくなると、文字が重なってしまいます。
フレームグリッドのフォントサイズ(グリッドサイズ)を変更せずに、配置されているテキストの「行送り」を、文字パネルでグリッドサイズ+行間より大きくすると、「行送り」が「自動」に設定されている場合、次の行に行送りが適用されます。例えば、フレームグリッドのサイズが 13 Q で行間が 10 H に設定されている場合、行送り値を 24 H に設定すると、1 行おきにテキストが配置されます。また、47 H に設定した場合は、2 行おきにテキストが配置されます。「行取り」が「自動」以外に設定されている場合は、「行送り」で指定した値は無視されます。
行送りの変更
初期設定では、行送りは文字の属性として指定されるので、1 つの段落に複数の行送り値を適用することができます。最も大きい値が行送り値として使用されます。環境設定のオプションを使用すれば、行送り値が段落内のテキストではなく、段落全体に適用されるように設定することができます。この設定は既存のフレームの行送りには影響を与えません。
選択したテキストの行送りの変更
-
変更するテキストを選択します。
-
次のいずれかの操作を行います。
文字パネルまたはコントロールパネルで、行送りメニュー から目的の行送りを選択します。
文字パネルまたはコントロールパネルで、行送りメニュー から目的の行送りを選択します。
既存の行送り値を選択し、新しい値を入力します。
段落スタイルの作成時に、「基本文字形式」パネルで行送り値を設定します。
InCopy で行送りの変更が無視された場合、「テキストの配置」または「ベースライングリッドに揃える」が選択されている可能性があります。オブジェクト/テキストフレーム設定を選択し、「テキストの配置」が「上」に設定されていること、また段落パネル、コントロールパネル、または段落スタイルで「ベースライングリッドに揃えない」が選択されていることを確認します。
行間は、ベースライングリッドで調整することもできます。ベースライングリッドを設定すると、ベースライングリッドの設定が行送り値よりも優先されます。
初期設定の自動行送り値の変更
-
変更する段落を選択します。
-
段落パネルメニューまたはコントロールパネルメニューから「ジャスティフィケーション設定」を選択します。
-
段落パネルメニューの「ジャスティフィケーション」を選択します。
-
「自動行送り」で、新しいデフォルトの値を指定します。最小値は 0 %、最大値は 500 %です。
文字パネルメニューの行送りポップアップメニューで「自動」を指定すると、ジャスティフィケーションダイアログボックスの「自動行送り」の値が文字サイズの比率で設定されます。テキストフレームのデフォルトは 175%で、フレームグリッドのデフォルトは 100%です。
段落全体に対する行送りの適用
-
編集/環境設定/テキスト(Windows)または InCopy/環境設定/テキスト(Mac OS)を選択します。
-
「段落全体に行送りを適用」を選択し、「OK」をクリックします。
文字スタイルを使用して行送りをテキストに適用するとき、「段落全体に行送りを適用」オプションが選択されているかどうかにかかわらず、行送りは段落全体ではなく、スタイルが適用されたテキストだけに作用します。
文字の比率を基準にした行の高さの調整
フレームグリッド内のテキストの組方向とは逆方向の文字の比率(横組みなら垂直比率、縦組みなら水平比率)を変更すると、デフォルトでは、グリッドの大きさに関係なく、行の高さが変更されます。例えば、13 Q の横書きフレームグリッド内に配置されている 13 Q の文字に対して、文字の垂直比率を 200%に設定すると、グリッドサイズに関係なく、行の高さが 13 Q の倍の高さ、つまり 26 Q の行の高さに変更されます。この機能をオフにすると、行の高さは文字サイズのままで、文字の比率だけが変更されます。
-
文字の比率を基準に行の高さを変更するテキストを選択します。
-
文字パネルメニューまたはコントロールパネルから「文字の比率を基準に行の高さを調整」を選択します。
行の高さが調整されます。この機能は文字属性であるので、文字単位で設定しますが、行の高さは、設定した文字が含まれる行全体に適用されます。
この機能をオフにするには、機能を有効にしたテキストを選択し、文字パネルメニューまたはコントロールパネルメニューから再度「文字の比率を基準に行の高さを調整」を選択してオフにします。
行送りの基準位置の適用
グリッド揃えを「なし」に設定している場合、デフォルトでは、現在の行の仮想ボディの上または右から次の行の仮想ボディの上または右までを基準に行を送ります。行送りの値を増加させると、選択されている行はすべてその値で送られるようになります。
-
テキストを選択し、段落パネルメニューまたはコントロールパネルメニューの「グリッド揃え」を「なし」に設定します。
-
文字パネルで、「行送り」を指定します。「自動」は選択せずに、値を指定し、固定値で行を送るように設定します。
-
段落パネルメニューまたはコントロールパネルメニューの「行送りの基準位置」から適切な行送りの基準を選択します。
フォントサイズに関係なく行を均等に送る場合は、「仮想ボディの中央」を選択すると、行がセンター合わせで送られるようになります。
フレームグリッドで、フォントサイズが異なる行の行間をグリッドに揃える場合は、グリッド揃えを「仮想ボディの中央」に設定し、段落パネルで「行取り」を「自動」以外に指定します。
行送りの基準位置オプション
行送りの基準は、段落パネルメニューまたはコントロールパネルメニューの「行送りの基準位置」から以下のオプションを選択します。
仮想ボディの上 / 右
横組みの場合は仮想ボディの上、縦組みの場合は右を基準にして行を送ります。現在の行の上 / 右端から次の行の上 / 右端を基準にして行を送ります。この設定がデフォルトです。
仮想ボディの中央
現在行の中心から前の行の中心を基準に行を送ります。同じ段落内に異なるフォントサイズがある場合は、各行の仮想ボディのエッジの間隔は均一になりません。「仮想ボディの中央」を選択すると、現在の仮想ボディの中心を基準に行が送られるようになるので、フォントサイズが異なるテキストを固定行送りにして、前後の行間を揃えることができるようになります。
欧文ベースライン
欧文ベースラインを基準に行を送ります。現在行のベースラインから前の行のベースラインを基準に行を送ります。この行送りの方法は、欧文コンポーザーで使用されている方法と同じです。欧文ベースラインはフォントによって異なります。同じ文字サイズでもフォントが異なる場合は、文字の位置が変わる場合もあります。
仮想ボディの下 / 左
横組みの場合は仮想ボディの左、縦組みの場合は下を基準にして行を送ります。現在行の下 / 左端から前の行の下 / 左端を基準に行を送ります。
段落パネルメニューとコントロールパネルメニューの「グリッド揃え」にも同じ項目があります。これらの項目は、グリッド揃えの基準となるものであり、行送りの基準ではありません。混同しないようにしてください。