画像トレースを使用して結果を最適化する

Illustrator で画像トレースを使用して、ピクセルベースの画像を自動的にベクトル化する方法について説明します。

記事提供:Monika Gause

Monika Gause 氏は、ドイツのハンブルクを拠点に活動するフリーランスのコミュニケーションデザイナー、テクニカルライター、教員です。彼女は、デスクトップパブリッシングからマルチメディア、ウェブデザイン、そして現在は執筆活動に至るまで、すべてのキャリアで一貫してベクターグラフィックスを扱ってきました。これまで美術館の 3D アニメーションの制作、小さな会社の web サイトのデザイン、オフィス用品のイラスト制作に携わった経験があります。アドビフォーラムの講師兼 ACP として、顧客やフォーラム参加者のワークフローおよび問題に取り組み、解決策を考え出すことを得意としています。

画像トレース機能を使えば、Illustrator でピクセルベースの画像を自動的にベクトル化することができます。この機能は、通常、「自動トレース」と呼ばれます。ベクトル化された結果の画像は、元の画像の性質、品質、サイズ、Illustrator で選択した設定によって異なります。そのため、良好な結果を得るためには、まず元の画像から改善する必要があります。 

画像トレース用ファイルの準備

時間をかけて画像をトレース用に最適化することで、処理速度と結果の品質が向上します。トレース後に結果を編集するのは困難です。  

画像編集アプリケーションを使って、不要なものを画像からすべて削除することが重要です。ホコリやキズを取り除いてください。背景に色が付いていて、それを白にする場合は、背景が紙本来の薄いカラーであっても、画像編集で消してしまうことをお勧めします。1 色のステンシルアートでポートレートをトレースする場合(有名なチェ・ゲバラのアートのように)には、ポートレートを切り取ることが重要です。 

被写体を背景から切り取る
被写体を背景から切り取る

画像トレースは、1 ビットの画像ではあまり効果がありませんが、グレースケール画像のソースではとても効果があります。また、スケッチやブラシストローク、レタリングなどを最適化する場合は、アートワークのエッジに沿ってアンチエイリアスを残しておきましょう。画像トレースは、それをより適切に処理しより滑らかな曲線を作り出すことができます。 

Photoshop のレベル機能で画像を整える:エッジ部分に若干のアンチエイリアスを残した場合(上)と、アンチエイリアスを除去した場合(下)の比較

画像トレース機能では、画像の幅や高さが 1,500 ピクセルを超えると、ファイルサイズに関する警告が表示されます。その場合も、動作は遅くなりますが、問題なく機能します。 

大きな画像に関する警告
大きな画像に関する警告

最適化されたグラフィックアート作品は、PNG、TIF、PSD などの形式で非可逆圧縮せずに保存できます。写真の場合、JPEG で保存できます。

Illustrator でのファイルの配置と機能の適用

ラスター画像にこの機能を適用する手順は、すべての画像タイプで同じです。

  1. Illustrator で、目的のドキュメントカラーモードとサイズを使って新規ファイルを作成します。 

  2. 作成した新規ファイルに、元の画像を Mac OS Finder または Windows エクスプローラーからドラッグするか、ファイル/配置を使用して読み込みます。オートトレース機能の場合、ファイルの埋め込みやリンクがあっても問題ありません。ファイルを配置する際に「テンプレート」オプションをオンにしないでください。オンにすると、ロックされたレイヤーにファイルが配置されます。

  3. 元の画像を選択し、ウィンドウ/画像トレースを選択して、画像トレースパネルを開きます。あるいは、コントロールパネル(「トレース」ボタンの右にある小さなメニューから選択)またはプロパティパネル(「画像トレース」ボタンをクリックしてメニューから選択)からプリセットを選択することもできます。 

    コントロールパネルのプリセットメニュー

    プロパティパネルの「クイックアクション」セクションにある「画像トレース」ボタンを押すと、プリセットメニューが表示されます

    これにより、プリセットが直ちに画像に適用され、トレースされます。この場合、Illustrator の動作中に遅延が発生する可能性があります。

    すべてのプリセットは、画像トレースパネルで微調整でき、微調整することで成果が得られます。したがって、まだ開いていない場合は、コントロールパネルまたはプロパティパネルの「画像トレース」セクションでボタンをクリックして、画像トレースパネルを開いてください。 

    高品質の画像トレースを生成するために使用できるプリセットについて詳しくは、「画像トレースプリセット」を参照してください。

「トレース」コマンドがアクティブでない場合

「画像トレース」コマンドがアクティブでない場合、いくつかの理由が考えられます。

  • 画像が選択されていない場合は、選択ツールで画像をクリックして、トレースする画像を選択します。
  • 画像を選択できない場合は、レイヤーまたは画像自体がロックされていないか確認してください。
  • いずれもロックされていない場合は、選択した画像がクリッピンググループでないかを確認します。クリッピンググループの場合は、オブジェクトクリッピングマスク解除を使用して解除します。その後、マスクを削除し、画像を選択します。これは、他のアプリケーションからクリップボード経由で画像をコピーしてペーストした場合に起こることがあります。
コントロールパネル(左)とプロパティパネル(右)のクリッピングマスク(クリップグループとして表示)

画像トレースはライブトレースとどのように異なりますか?

画像トレース機能はほとんどのオプションを共有していますが、実装方法が異なります。ライブトレースパネルでは、左側にあるぼかしなどの元の画像最適化オプションが機能に統合されており、画像分析に基づいて自動的に適用されます。 

制限事項

以下のような画像をベクトル化する場合、画像トレースは最適な方法ではありません。

  • 幾何学的シェイプ:ロゴ、アイコン、シンボルなどに、三角形、六角形、さらに直線などの正確な幾何学的シェイプが含まれていて、これをトレースする必要がある場合は、手動で行うことをお勧めします。人間は、圧縮が不十分な JPEG やしわくちゃの紙でもこのようなシェイプを認識できます。これに対し、ソフトウェアは、最高品質のソースファイルでも大量のピクセルとしか認識できません。 
  • テキスト:テキストをベクター化する際には、Adobe Capture や Adobe Photoshop などでフォントを特定し、そのフォントを使ってテキストを組版するのが最善の方法です。長いテキストの場合は、Adobe Acrobat の光学式文字認識(OCR)を使用してテキストファイルを作成することができます。Illustrator で組版とフォーマットを行った後、必要に応じてテキストをアウトライン化します(ビニール素材のカット用、またはロゴ送信前の通常の処理として行います)。
  • 写真:自動トレースを使用して写真を拡大すると、多くの場合失敗します。画像のピクセルはシェイプしか構成できません。小さいサイズでは目立ちませんが、画像を拡大するとそれらのシェイプが大きくなります。ピクセルが大きくなるのと同じです 
トレースされた写真(左)、拡大写真(中央)、アウトラインビュー(右)
トレースされた写真(左)、拡大写真(中央)、アウトラインビュー(右)

  • グラデーション:この機能でグラデーションを生成できません。隣り合った単一カラー図形に変換されます。
グラデーションは、単一カラーの複数のシェイプに変換されます
グラデーションは、単一カラーの複数のシェイプに変換されます

  • 細かいアートワーク:正確な結果とスムーズなパスの間の全体的な妥協点を見つける必要があるため、アートワークの詳細はほとんどの場合失われます。ほとんどの場合、スムーズなパスは詳細よりも重要ですが、画像の一部でスムーズなパスを使用し、別の部分で詳細を使用することはできません。
    自動トレースでは、ほとんど認識できない小さな GIF から高品質のベクターアートワークが得られることを期待しないでください。
70 x 70 ピクセルの GIF(左:ソース)は、自動トレースしても改善できません(右:結果)

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