スウォッチパネルの概要
スウォッチパネル(ウィンドウ/スウォッチ)では、カラー、グラデーション、濃淡を作成して、すぐにドキュメントに適用できます。段落スタイルや文字スタイルと同様に、スウォッチを変更すると、そのカラーを使用するすべてのオブジェクトのカラーが更新されます。スウォッチにより、個々のオブジェクトを指定することなく簡単に配色を修正することができます。
選択したテキストまたはオブジェクトの塗りまたは線にスウォッチパネルから適用したカラーまたはグラデーションが含まれている場合は、スウォッチパネル上で、適用されているスウォッチがハイライト表示されます。スウォッチを作成すると、それは現在のドキュメントに関連付けられます。そのため、スウォッチパネルに保存されているスウォッチは、ドキュメントごとに異なります。
印刷・出力会社と共同で作業を進める場合、スウォッチにより特色を明確に指定することができます。また、プリフライトプロファイルにカラー設定を指定して、使用するプリンターに対してどのカラー設定を利用するかを決定することもできます。
デフォルトのスウォッチパネルには、CMYK カラー値で定義された 6 色(シアン、マゼンタ、イエロー、赤、緑、青)が表示されています。
スウォッチの種類
スウォッチパネルには、次の種類のスウォッチが含まれています。
カラー
スウォッチパネルのアイコンは、特色 とプロセスカラー の各カラータイプや、LAB 、RGB 、または CMYK 、混合インキ の各カラーモードを識別します。
濃淡
スウォッチパネル内のスウォッチ名の横に表示されるパーセント値は、特色またはプロセスカラーの濃淡を示しています。
グラデーション
スウォッチパネル上にあるアイコンは、円 か直線 のグラデーションを示しています。
なし
なしスウォッチを選択すると、オブジェクトから線や塗りが削除されます。このスウォッチを編集または削除することはできません。
紙色
紙色は、印刷に使用する用紙のカラーをシミュレートするためのスウォッチです。紙色を設定したオブジェクトの背面にあるオブジェクトの、紙色を設定したオブジェクトと重なる部分は印刷されません。そのため、印刷に使用した用紙の色がそのまま見えることになります。スウォッチパネルの紙色スウォッチをダブルクリックして、使用する用紙の色に合わせて紙色のカラーを編集することもできます。なお、紙色はプレビュー専用で、コンポジットプリンター(色校正やカンプ作成用の一般的なカラープリンター)や色分解出力では、実際に印刷されることはありません。このスウォッチは削除できません。オブジェクトからカラーを削除するのに紙色スウォッチを適用しないでください。代わりに「なし」スウォッチを使用してください。
ポストスクリプトプリンター以外で印刷を行う際に紙色カラーが説明通りに機能しない場合は、プリンタードライバーをラスタグラフィックモードに切り替えて印刷してみてください。
黒
黒は、CMYK 値の黒(K)を 100 %としてあらかじめ定義されているプロセスカラーです。このスウォッチを編集または削除することはできません。デフォルトでは、黒を適用した、あらゆるサイズのテキストは、オーバープリント(下地インキの上へ重ねて印刷)に設定されます。この動作は無効にすることができます。
レジストレーション
レジストレーション は、PostScript プリンター(イメージセッタなど)での色分解出力時に、各版すべてにオブジェクトを印刷するために使用するカラーとして定義されているスウォッチです。例えば、レジストレーションマークにレジストレーションカラーを使用すると、印刷版を印刷機に正確に配置することができます。このスウォッチを編集または削除することはできません。
カラーライブラリにある任意のカラーをスウォッチパネルに登録して、ドキュメントに保存することもできます。
スウォッチの表示のカスタマイズ
スウォッチのサイズとスウォッチ名の表示方法を設定することができます。
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スウォッチパネルメニューから、次のいずれかの操作を行います。
「名前で表示」を選択した場合、小さなスウォッチの右横にスウォッチ名が表示されます。名前の右側のアイコンは、カラーモデル(CMYK や RGB など)と、そのカラーが特色、プロセスカラー、レジストレーションカラー、なしのいずれであるかを示します。
「小さく表示」を選択した場合、スウォッチパネルの行が全体的に小さく表示されます。
「小さいスウォッチ」または「大きいスウォッチ」を選択した場合、スウォッチのみが表示されます。スウォッチの右下隅に表示されるドット付きの三角形は、そのカラーが特色であることを示します。ドットのない三角形は、プロセスカラーを示します。
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スウォッチの表示方法を設定するには、スウォッチパネルの下部にある、次のボタンのいずれかをクリックします。
「すべてのスウォッチを表示」では、すべてのカラー、濃淡、グラデーションスウォッチが表示されます。
「カラースウォッチを表示」では、プロセスカラー、特色、混合インキカラーおよび濃淡スウォッチのみが表示されます。
「グラデーションスウォッチを表示」では、グラデーションスウォッチのみが表示されます。
どのボタンをクリックしても、「なし」スウォッチは必ず表示されます。
カラースウォッチの作成
スウォッチには特色、プロセスカラー、混合インキ(1 つまたは複数の特色と混合したプロセスカラー)、RGB、Lab、グラデーション、濃淡などのカラーを定義することができます。
特色を含む画像を配置すると、そのカラーは自動的にスウォッチとしてスウォッチパネルに追加されます。これらのスウォッチをドキュメント上でオブジェクトに適用することもできますが、再定義したり削除することはできません。
スウォッチを作成する前に、印刷・出力会社に対してどの設定が適切なのかを理解します。プリフライトプロファイルのカラー設定を指定して、使用しているプリンターとは動作しないカラー設定をハイライト表示にすることもできます。
新規カラースウォッチの作成
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スウォッチパネルメニューから「新規カラースウォッチ」を選択します。
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「カラータイプ」で、印刷に使用するドキュメントカラーの形式を選択します。
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「スウォッチ名」で、次のいずれかの操作を行います。
カラータイプとして「プロセス」を選択し、スウォッチ名としてカラー値を表示する場合は、「カラー値を持つ名前」を選択します。
カラータイプとして「プロセス」を選択し、そのスウォッチ名を自分で付ける場合は、「カラー値を持つ名前」の選択を解除し、スウォッチ名を入力します。
「特色」を選択した場合は、スウォッチ名を入力します。
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「カラーモード」で、カラー値を設定するためのカラーモードを選択します。カラーを設定した後にカラーモードを変更することもできますが、カラーが変更されてしまう可能性がありますので、カラーモードの変更はしないようにした方がよいでしょう。
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次のいずれかの操作を行います。
スライダーをドラッグして、カラー値を変更します。カラースライダーの横にあるテキストボックスに数値を入力することもできます。
特色を選択したい場合は、「カラーモード」からスウォッチライブラリを選択します。
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色域外警告アイコン が表示された場合、最初に指定したカラーに最も近い色域のカラー値を使用するには、色域外警告アイコンの横にある小さなカラーボックスをクリックします。
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次のいずれかの操作を行います。
設定したスウォッチを追加し、他のスウォッチを定義するには、「追加」をクリックします。追加を終了するには、「終了」をクリックします。
スウォッチを追加し、ダイアログボックスを閉じるには、「OK」をクリックします。
スウォッチパネルの新規スウォッチボタンを使用して、選択されているオブジェクトのカラーを直接特色として定義するには、他のスウォッチが選択されていないことを確認し、Alt + Ctrl キー(Windows)または Option + Command キー(Mac OS)を押しながら、新規スウォッチボタン をクリックします。
オブジェクトのカラーに基づくスウォッチの作成
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オブジェクトを選択します。
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ツールパネルまたはスウォッチパネルで、塗りボックスまたは線ボックスを選択します。
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スウォッチパネルで、次のいずれかの操作を行います。
新規スウォッチボタンをクリックし、新たに作成されたスウォッチをダブルクリックします。
スウォッチパネルメニューから「新規カラースウォッチ」を選択します。
選択したカラーまたはグラデーションが、スウォッチパネル、ツールパネルの塗りボックスまたは線ボックスに表示され、選択したすべてのオブジェクトの塗りまたは線に適用されます。
スウォッチパネルへの名称未設定カラーの追加
カラーパネルまたはカラーピッカーを使用してカラーを作成することはできますが、名称未設定カラーは後で編集したり、一貫して使用することが困難です。「名称未設定カラーを追加」オプションを使用して、ドキュメント内のオブジェクトに適用する名称未設定カラーを検索し、スウォッチパネルに追加します。追加されたカラーは、自動的に CMYK、RGB または Lab カラーの構成値に基づいて名前が付けられます。
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スウォッチパネルから「名称未設定カラーを追加」を選択します。
スウォッチの管理
スウォッチパネルでスウォッチの編集、複製、並べ替え、削除を行うことができます。
スウォッチパネルでのデフォルトカラーの編集
新規ドキュメントでデフォルトで表示されるスウォッチを変更することができます。
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開いているすべてのドキュメントを閉じます。
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スウォッチパネルでスウォッチを編集します。
スウォッチの複製
スウォッチの複製は、既存のカラーの暖色系や寒色系といった、系統の似たカラーを作成するときなどに便利です。ただし、特色を複製して系統の似たカラーを作成し、オブジェクトに適用すると、色は似ていても、別の版となるため、特色印刷版が 1 版増えることになりますので、注意してください。
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次のいずれかの操作を行います。
スウォッチを選択し、スウォッチパネルメニューから「スウォッチを複製」を選択します。
スウォッチを選択し、パネルの下部にある新規スウォッチボタンをクリックします。
スウォッチをパネルの下部にある新規スウォッチボタンまでドラッグします。
スウォッチの編集
スウォッチ設定ダイアログボックスを使用して、スウォッチの個々の属性を変更することができます。追加オプションは、混合インキスウォッチまたは混合インキグループを編集する際に表示されます。
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スウォッチパネルで編集するスウォッチを選択し、次のいずれかの操作を行います。
スウォッチをダブルクリックします。
スウォッチパネルメニューから「スウォッチ設定」を選択します。
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必要に応じて設定を変更し、「OK」をクリックします。
スウォッチ名の設定
デフォルトでは、プロセスカラースウォッチの名前は、そのカラー値に基づいて付けられます。例えば、シアン 10 %、マゼンタ 75 %、イエロー 100 %、黒 0 %を使用して赤のプロセスカラーを作成した場合、スウォッチの名前はデフォルトで C=10 M=75 Y=100 K=0 となります。この名前は、プロセスカラーのカラー値を把握しやすいという利点があります。
デフォルトでは、プロセスカラーのスウォッチ名は CMYK 値を変更すると、自動的に更新されるようになっています。必要に応じて、スウォッチごとにこの設定を切り替えて、自分で名前を付けたスウォッチと同様に、名前を付けたり、名前を変更することも可能です。
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スウォッチパネルで、プロセスカラーをダブルクリックします。
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次のいずれかの操作を行い、「OK」をクリックします。
CMYK の割合を調整するときにスウォッチ名が自動的に更新されるようにするには、「カラー値を持つ名前」オプションを選択します。
CMYK 値を調整するときにスウォッチの名前を変更するには、「カラー値を持つ名前」オプションの選択を解除します。
「カラー値を持つ名前」オプションの選択を解除し、名前を付けずに新しいスウォッチを作成すると、「新規カラースウォッチ」と言う名前が自動的に付けられます。既に「新規カラースウォッチ」という名前のスウォッチがある場合、その後に作成されるスウォッチ名には、名前の後に続きの番号が付けられます。この名前は、手動で変更できます。
スウォッチの並べ替え
スウォッチを名前順またはカラー値順に並べ替えることができます。すべてのスウォッチを並べ替えるか、選択したスウォッチを並べ替えるかを選択できます。
名前順
スウォッチをアルファベット順(A~Z)に並べ替えます。
スウォッチを名前順に並べ替えるには、次のいずれかの操作を行います。
- スウォッチパネルメニューから「並べ替え」を選択し、「すべてのスウォッチ(名前順)」を選択します。
- スウォッチを右クリックし、並べ替え/すべてのスウォッチ(名前順)を選択します。
選択したスウォッチを名前順に並べ替えるには、スウォッチを選択して、次のいずれかの操作を行います。
- スウォッチパネルメニューから「並べ替え」を選択し、「選択したスウォッチ(名前順)」を選択します。
- 選択したスウォッチを右クリックし、並べ替え/選択したスウォッチ(名前順)を選択します。
カラー値で並べ替え
スウォッチをカラー値に基づいて並べ替えます。スウォッチはまず、CMYK > Lab カラー > 混合インキ > RGB の順に並べ替えられます。次に、特定のカラーモードのすべてのスウォッチがカラー値に基づいて並べ替えられます。
例えば、すべての CMYK スウォッチは C、M、Y、K のカラー値に基づいて並べ替えられます。
スウォッチをカラー値順に並べ替えるには、次のいずれかの操作を行います。
- スウォッチパネルメニューから「並べ替え」を選択し、「すべてのスウォッチ(カラー値順)」を選択します。
- スウォッチを右クリックし、並べ替え/すべてのスウォッチ(カラー値順)を選択します。
選択したスウォッチをカラー値順に並べ替えるには、スウォッチを選択して、次のいずれかの操作を行います。
- スウォッチパネルメニューから「並べ替え」を選択し、「選択したスウォッチ(カラー値順)」を選択します。
- 選択したスウォッチを右クリックし、並べ替え/選択したスウォッチ(カラー値順)を選択します。
適用された並べ替えに基づいて、カラーグループ内のスウォッチも並べ替えられます。
個々のスウォッチの削除
ドキュメント上でオブジェクトに既に適用されているスウォッチを削除すると、スウォッチの置き換え方法を確認するメッセージが表示されます。既存のスウォッチに置き換えるか、名前のないスウォッチに置き換えるかを指定できます。濃淡または混合インキのベースとして使用されているスウォッチを削除すると、置き換えを確認するメッセージが表示されます。
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1 つまたは複数のスウォッチを選択します。
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次のいずれかの操作を行います。
スウォッチパネルメニューから「スウォッチを削除」を選択します。
スウォッチパネルの下部にある削除アイコンをクリックします。
注意:ドキュメント内に配置したグラフィックに使用されている特色は削除することができません。この特色を削除するには、グラフィック自体を最初に削除する必要があります。
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削除するスウォッチが適用されているオブジェクトのカラーを置き換える方法を確認するメッセージが表示されます。次のいずれかの操作を行い、「OK」をクリックします。
削除するスウォッチが適用されているすべてのオブジェクトのカラーを別のスウォッチと置き換えるには、「定義されたスウォッチ」を選択し、メニューから置き換えるスウォッチを選択します。
削除するスウォッチが適用されているすべてのオブジェクトのカラーを同じカラー値の名称未設定カラーに置き換えるには、「名前なしスウォッチ」をクリックします。
未使用のスウォッチの削除
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スウォッチパネルメニューから「未使用をすべて選択」を選択します。現在のファイルで使用していないスウォッチがすべて選択されます。
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削除アイコンをクリックします。
スウォッチの結合
他のドキュメントからスウォッチを読み込んだり、アイテムをコピーした場合、同名のスウォッチがあるとスウォッチが複製され、異なるスウォッチとしてオブジェクトに適用されてしまう可能性があります。「スウォッチを結合」コマンドを使って、複製されたスウォッチを結合することにより、ミスを防ぐことができます。
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スウォッチパネルで、2 つ以上の複製スウォッチを選択します。
最初に選択したスウォッチが残り、結合先となります。
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スウォッチパネルメニューから「スウォッチを結合」を選択します。
InCopy ドキュメント間でのスウォッチのコピー
他のドキュメントにスウォッチ(またはスウォッチが適用されたオブジェクト)をコピーまたはドラッグすることができます。これを実行すると、スウォッチはコピー先のドキュメントのスウォッチパネルに追加されます。スウォッチの濃淡およびグラデーションもコピーする場合は、スウォッチだけではなく、スウォッチが適用されている元のオブジェクトをコピーする必要があります。
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次のいずれかの操作を行います。
ドラッグ&ドロップまたはコピー&ペーストを使用して、現在のドキュメントにオブジェクトをコピーします。
コピーするスウォッチを選択し、スウォッチパネルから他の InCopy ドキュメントのドキュメントウィンドウまでドラッグします。
注意:既存のスウォッチと名前が同じで(大文字小文字の区別あり)カラー値が異なるスウォッチをドラッグすると、そのスウォッチ名が「[元のスウォッチ名] 2」に変更されます。