メモ帳を起動します。
本文書では、Acrobat のシリアル番号解除と再認証を行うバッチファイル(Windows環境のみ)の作成手順について説明しています。
以下のようなケースの対処方法に役立つバッチファイル(Windows環境のみ)の作成手順について説明します。
A. Acrobat をシリアル番号ライセンスで利用していたが、ユーザー指定ライセンスに切り替えるため、
マシンから Acrobat のシリアル番号ライセンス情報を削除したい
B. インストールされている Acrobat のシリアル番号の有効期限が切れるため、新しいシリアル番号で
再認証したい(シリアル番号を付け替えたい)
この文書で説明されている内容は、Acrobat に関する内容です。Mac 環境ではバッチファイルを作成できません。
Adobe Provisioning Toolkit Enterprise Editionのダウンロード
上記のケースでは、いずれの場合も Adobe Provisioning Toolkit Enterprise Edition (以下略:APTEE)を使います。APTEE の実行ファイル名は adobe_prtk です。容量は約 3.4MB です。
管理者は以下文書から adobe_prtk をダウンロードしてください。
https://helpx.adobe.com/jp/enterprise/package/help/provisioning-toolkit-enterprise.html
- APTEE Windows 版 ダイレクトダウンロードリンクhttp://download.macromedia.com/pub/developer/prtk/Adobe_Provisioning_Toolkit_10_0_ALL.exe
A. シリアル番号情報を削除するバッチファイル
バッチファイルの作成(シリアル番号情報の削除) シリアル番号ライセンスの情報を該当マシンから削除するバッチファイルの作成方法について説明します。
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以下コードをコピーし、メモ帳に貼り付けます。
Acrobat DC Pro および Standard(Continuous / Classic)の場合
@echo off "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatESR-12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatESR-17-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatCont-12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatETLA-12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatPro-Beta12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatStd-Beta12-Win-GM --force –deactivate pause
Acrobat X Pro / Standard および XI Pro / Standard の場合
"%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=AcrobatPro-AS1-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=AcrobatStd-AS1-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V6{}AcrobatStd-AS2-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V6{}AcrobatPro-AS2-Win-GM --force –deactivate pause
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ファイルから名前を付けて保存を選び、保存形式から「すべてのファイル」、エンコードを「UTF-8」を選び、ファイル名の拡張子を .bat として保存します。
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新規フォルダを一つ作成し、3 で保存したバッチファイルと APTEE を入れます。
バッチ処理は、これで作成完了です。
注意:このバッチ処理のコードでは %~dp0 をパスとして使用し .bat がコードを実行する際、自分自身が存在するパスを参照するように作られています。よって作成した .bat と adobe_prtk が同じパス階層にある必要があります。バッチファイルだけをフォルダから取り出しての実行等はできません
バッチファイルの実行方法(シリアル番号情報の削除)
作成したバッチファイルを、フォルダごとシリアル認証を解除するマシンにコピーし .bat ファイルを右クリックして管理者として実行します。
コマンドプロンプト画面が起動し、以下のような画面が表示されます。
Return Code の部分に注目します。
それぞれの項目が、0 か 29 で返っていれば問題ありません。
0 か 29 以外の値で返る場合は、何らかの処理に問題が発生しています。多くの場合、それらの値は .bat ファイルを右クリックから管理者で実行していない時に起こります。
.bat ファイルを右クリックから管理者で実行している場合でも 0 か 29 以外の値が戻る場合は、アドミンコンソールよりエンタープライズサポートへサポートケースにてご連絡ください。
Tips |
シリアル番号情報の削除バッチは再利用可能です。上記バッチの実行が完了したら、Acrobat DCを起動してみます。
これらはいずれもシリアル番号情報の削除に成功している証拠です。 シリアル番号情報を削除することで、製品はユーザー指定ライセンスモードで起動します。 エンドユーザーは、与えられたIDとパスワードをもってAcrobat DCにサインインを行うことで、Acrobat DCをユーザー指定ライセンスとして利用できます。 管理者は作成したシリアル番号情報の削除バッチをエンドユーザーに渡して展開できます。 このバッチ処理ではシリアル番号情報の削除のみを行います。組織が管理するシリアル番号の情報は含んでおりません。 |
B. 新しいシリアル番号情報をマシンに埋め込むバッチファイル
ライセンスファイルの作成(新しいシリアル番号情報の埋め込み)
ライセンスファイルの作成は、シリアル番号を取り扱うため、組織の管理者が行います。
新しいシリアル番号情報をマシンに埋め込むには、まずライセンスファイルを一つ作成する必要があります。
ライセンスファイルは prov.xml というファイル名で生成され、このファイルの名称を変更することはできません。
下記手順では、まずライセンスファイルの作成について説明します。そのあと、作成したライセンスファイルを実行するためのバッチ処理を作成します。
ライセンスファイルの作成を実行するマシンは、インターネットに接続できる必要があります。
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adobe_prtkをCドライブの直下に置きます。
※この手順ではコマンドプロンプトから adobe_prtk を参照します。そこで、パス階層の記述を簡略化するために、今回は adobe_prtk をCドライブの直下に設置することにします。
(Cドライブ直下に adobe_prtk を置くことは必須ではありません。) -
コマンドプロンプトを管理者モードで起動します。
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コマンドプロンプト画面に cd \ と入力し、キーボードのエンターキーを押して、ルート(Cドライブ直下)を参照します。
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新しいシリアル番号を用意し、必要な製品のライセンス識別子を確認します。
ライセンス識別子は以下を参照してください。DC Continuous Track の場合
V7{}AcrobatCont-12-Win-GM
DC Classic Track 2020 の場合
V7{}AcrobatESR-20-Win-GM
DC Classic Track 2017 の場合
V7{}AcrobatESR-17-Win-GM
DC Classic Track 2015 の場合
V7{}AcrobatESR-12-Win-GM
シリアル番号とライセンス識別子は必ず対となります。
例えば、シリアル番号が DC Continuous 版のものであるのに、ライセンス識別子が DC Classic Track 2017 のもので記載したコードでは、正しいライセンスファイルが作成できず、エラーします。
よって、管理者は作成するライセンスファイルがどの Acrobat のものか、つまり、新しいシリアル番号を埋め込む Acrobat 製品のトラックは何か(Continuous, Classic 2017, Classic 2015)を把握する必要があります。
準備が整ったらこちらを以下コードから、該当する Acrobat のコードをメモ帳にコピーし、シリアル番号の部分のみを正しいものに編集します。
DC Continuous Track の場合:
adobe_prtk --tool=VolumeSerialize --generate --serial=1234-5678-9012-3456-7890-1234 --leid=V7{}AcrobatCont-12-Win-GM --regsuppress=ss –eulasuppress
DC Classic Track 2017 の場合:
adobe_prtk --tool=VolumeSerialize --generate --serial=1234-5678-9012-3456-7890-1234 --leid=V7{}AcrobatESR-17-Win-GM --regsuppress=ss --eulasuppress
DC Classic Track 2015 の場合:
adobe_prtk --tool=VolumeSerialize --generate --serial=1234-5678-9012-3456-7890-1234 --leid=V7{}AcrobatESR-12-Win-GM --regsuppress=ss –eulasuppress
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シリアル番号の部分を編集したら、メモ帳からコピーし、コマンドプロンプト画面に貼り付けて、キーボードのエンターキーを押して実行します。
上記画像のように Return Code が 0 で返れば、ライセンスファイルの作成に成功です。
C ドライブ直下( adobe_prtk がある場所と同じ階層)に prov.xml が生成されます。
バッチファイルの作成(新しいシリアル番号情報の埋め込み)
上記の手順で作成したprov.xml をadobe_prtkから実行するバッチファイルを作成します。
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メモ帳を起動します。
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以下コードをコピーし、メモ帳に貼り付けます。
@echo off "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=VolumeSerialize Pause
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ファイルから名前を付けて保存を選び、保存形式から「すべてのファイル」、エンコードを「UTF-8」を選び、ファイル名の拡張子を .bat として保存します。
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新規フォルダを一つ作成し、3で保存したバッチファイルとAPTEE、prov.xmlを入れます。
バッチ処理は、これで作成完了です。
注意:このバッチ処理のコードでは %~dp0 をパスとして使用し .bat がコードを実行する際、自分自身が存在するパスを参照するように作られています。よって作成した .bat と adobe_prtk、prov.xml が同じパス階層にある必要があります。バッチファイルだけをフォルダから取り出しての実行等はできません。
バッチファイルの実行方法(新しいシリアル番号情報の埋め込み)
作成したバッチファイルを、フォルダごとシリアル認証を解除するマシンにコピーし .bat ファイルを右クリックして管理者として実行します。
コマンドプロンプト画面が起動し、以下のような画面が表示されます。
Return Code の部分に注目します。
それぞれの項目が、0 で返っていれば問題ありません。
0 以外の値で返る場合は、何らかの処理に問題が発生しています。多くの場合、それらの値は .bat ファイルを右クリックから管理者で実行していない時に起こります。
.bat ファイルを右クリックから管理者で実行している場合でも 0 以外の値が戻る場合は、アドミンコンソールよりエンタープライズサポートへサポートケースにてご連絡ください。
このバッチ処理では Acrobat DC をシリアル認証することができます。
prov.xml ファイルには暗号化されたシリアル番号の情報が含まれています。
このファイルは管理者が管理し、組織外への流出等には気を付ける必要があります。
よって、このバッチ処理の実行は、管理者が行うことをお勧めいたします。
Tips |
新しいシリアル番号情報の埋め込みバッチは再利用可能です。 上記バッチの実行が完了したら、Acrobat DC を起動してみます。 以下のケースが観測できます。
サインインの要求画面が表示されないのは、新しいシリアル番号情報の埋め込みに成功している証拠です。 これらのバッチ処理は、Windows 標準のコードで実行しているため、組織が資産管理ソリューション等を持っている場合は、該当マシンにリモートアクセスする等で一括配信も可能です。 |
シリアル認証情報の削除と新しいシリアル番号情報の埋め込みを、一つのバッチで実行する
上記、A および B で作成した処理を一つのバッチ処理にまとめることもできます。
削除と埋め込みのバッチの処理を連結します。
連結する場合は、必ず最初にシリアル認証情報の削除が実行されるようにコードを書いてください。
以下は Acrobat DC(Continuous, Classic 2017, Classic 2015)のシリアル認証を解除し、新しいシリアル番号情報を埋め込む場合のコードサンプルです。
@echo off "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatESR-12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatESR-17-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatCont-12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatETLA-12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatPro-Beta12-Win-GM --force --deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatStd-Beta12-Win-GM --force –deactivate "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=VolumeSerialize pause
上記コードのバッチファイル(.bat)と、adobe_prtk、さらにライセンスファイル(prov.xml)
を一つのフォルダに収め、バッチファイルを管理者として実行することで、シリアル認証解除と新しいシリアル番号情報を埋め込む処理が実行されます。
管理者はバッチファイルのコードにコメントを入れることで、より視覚的に何の製品のシリアル番号削除処理が行われているかを確認できます。
例えば以下のように記載した場合、それぞれのコードは Return Code を返します。
@echo off echo Return code の説明 0 = で解除成功 29 = 既に解除済み若しくは該当製品なし echo ----- 10 Standard の解除 ---------------------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=AcrobatPro-AS1-Win-GM --force --deactivate echo ----- 10 Pro の解除 --------------------------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=AcrobatStd-AS1-Win-GM --force --deactivate echo ----- 11 Standard の解除 ---------------------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V6{}AcrobatStd-AS2-Win-GM --force --deactivate echo ----- 11 Pro の解除 --------------------------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V6{}AcrobatPro-AS2-Win-GM --force --deactivate echo ----- DC Classic Track (2015) の解除 ---------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatESR-12-Win-GM --force --deactivate echo ----- DC Classic Track (2017) の解除 ---------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatESR-17-Win-GM --force --deactivate echo ----- DC Continuous Track の解除 -------------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatCont-12-Win-GM --force --deactivate echo ----- DC ETLA の解除 -------------------------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatETLA-12-Win-GM --force --deactivate echo ----- DC Classic Track (Pro 2015 Bridge) の解除 ---------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatPro-Beta12-Win-GM --force --deactivate echo ----- DC Classic Track (Standard 2015 Bridge) の解除 ---------------- "%~dp0adobe_prtk.exe" --tool=UnSerialize --leid=V7{}AcrobatStd-Beta12-Win-GM --force --deactivate echo ----------------------------------------------------- pause
上記はシリアル番号情報の解除処理ですが、ここで返る Return Code から、マシンに埋め込まれていたシリアル番号情報がわかります。
Return Code が 0 で返る場合は、解除に成功を意味します。
Return Code が 29 で返る場合は、そのマシンでは元々該当製品のシリアル番号情報は存在しないことを意味します。
バッチファイルの実行時には、Windows DefenderのSmartScreen機能動作することがあります。
この場合は、SmartScreenの画面から「詳細情報」をクリックすると、バッチを実行できます。