この文書では、Adobe Illustrator、Adobe Photoshop、Adobe InDesign のバージョン間のファイルの互換性について説明しています。
はじめに
CS3 以降に作成された Illustrator、Photoshop、InDesign のファイルを最新の CC で開く場合、高い互換性を保持して作業を行うことはできます。
Illustrator ファイルの互換性
Illustrator CC で旧バージョンを書き出す際は、以下の点に留意ください。
テキストの互換性
1. CC 2014 以降:両端揃え時のソフト改行(Shift+Enter)
- CC 以前のバージョンでは、両端揃えになりません。
2. CC 2014 以降:異体字セレクタ(IVS)に対応
- CC 2014 以降で選択した異体字は、旧バージョンでは代表字で表示されます。
- 間隔=「0」(自動以外)にすることで下位互換も保持されます。
アートワークの互換性ポリシー
- 下位バージョンでサポートされる機能は編集可能です。
- 下位バージョンでサポートされない機能は編集できませんが、外観は保持されます。
各バージョンでサポートされている機能は以下の表をご確認ください。
バージョン | 新機能、機能強化 |
---|---|
CC 2017 | ピクセルパーフェクトなアートワーク |
CC 2015、 CC 2015.3 |
Shaperツール |
楕円、多角形、線にも対応したライブシェイプ | |
ダイナミックシンボル | |
CC 2014 | 曲線ツール |
連結ツール | |
ライブシェイプ(直感的な角丸、変形パネルの新機能) | |
CC | ポイント文字 |
CS6 | 線のグラデーション |
CS5、 CS5.1 |
絵筆ブラシ |
透明グラデーションメッシュ | |
シェイプ成形ツール | |
線幅ツール |
アプリケーションのバージョンとファイルのバージョンについて
Illustrator ではファイルを保存する際に、互換バージョンを指定することができます。
旧バージョンと互換性のあるファイルを作成するには、ファイルを保存した際に表示される、Illustrator オプションダイアログボックス上部の「バージョン」ポップアップメニューから任意のバージョンを選択します。
アプリケーションのバージョンとファイルのバージョンの相関関係については、以下の表を参照してください。Illustrator CC(2013)~ Illustrator CC 2017 はアプリケーションのバージョンは異なりますが、ファイルのバージョンは同じため、相互互換があります。
Photoshop ファイルの互換性
Photoshop CC で旧バージョンを書き出す際は、以下の点に留意ください。
「互換性を優先」のチェック
Photoshop CC の初期設定では、ファイルを保存する際に、ファイルの互換性を優先するかどうか確認するメッセージが表示されます。
- 「互換性を優先」を有効にした方が良いケース:
異なるバージョンの Photoshop で開く、または編集する必要のあるファイルを保存する際は、このオプションを有効にしてください。
統合画像を一緒に保存します。開く際に意図したレンダリング結果を選択します。
※一部の機能は例外となるため、必要に応じて特定のレイヤーをラスタライズするなどして対応してください。
- 「互換性を優先」を有効にする必要の無いケース:
条件によってサポートされていない機能が破棄される場合があります。
ファイルを開く際の統合確認メッセージについて
PSD ファイルを開く際に、以下のようなメッセージが表示されることがあります。このメッセージは、サポートされていない機能が含まれている場合に表示されます。
「レイヤーを保持」を選択すると、レイヤー構造は維持されますが、外観が変更される可能性があります。
「統合」を選択すると、編集はできませんが、外観は維持することができます。
以下の機能が適用されている場合、このメッセージが表示される可能性があります。
- アートボード
- レイヤーグループにレイヤースタイル、クリッピングマスク
- レイヤーに複数の効果
- 調整レイヤーにカラールックアップ
- 描画モードに減算、除算
InDesign ファイルの互換性
InDesign CC は、旧バージョンの InDesign で保存したファイルを扱うことができます。
ただし、InDesign CC で作成・保存したファイルを旧バージョンの InDesign で開くことはできません。バージョンを統一して運用するようにしてください。
上位バージョンで作成されたファイルを開くと、以下のようなエラーメッセージが表示されます。
InDesign Markup Language(IDML)について
InDesign には、IDML という旧バージョン向けのファイルを書き出す機能が用意されており、ドキュメントの再現情報を保持することができますが、互換性は高くありません。
IDML に関する詳細については、以下の文書を参照してください。