InDesign が起動している場合は終了します。
この文書では、製品の調子が悪いときに最初に行っていただきたい簡単な対処方法をご紹介します。Adobe InDesign が遅くなったと感じたときにもお試し下さい。下記の対処方法で解決しない場合や、特定のエラーメッセージが表示される場合は別の解決方法の文書が用意されていることがあります。
A. 必要システム構成の確認
InDesign 2025(v20.4)2025 年 6 月リリース以降の必要システム構成については、以下の文書を確認してください。
旧バージョンの InDesign の必要システム構成については、以下の文書を確認してください。
B. 既知の問題の確認
今発生している問題が、既に確認されている問題として弊社サポートページ文書で情報公開されていないかを確認します。
また、以下の弊社ユーザーフォーラムにおいて、弊社製品を使用しているユーザーから同じような問題が報告されているかを参照することができます。
それらの問題は、アップデートにより改善していることがあります。以下のページも併せてご確認ください。
C. 環境設定ファイルの再作成
環境設定削除のダイアログボックスが表示されない場合やショートカットを利用した削除で改善されない場合、または環境設定のバックアップが必要な場合は、環境設定ファイルを直接削除して手動で初期化することもできます。
環境設定ファイルを再作成すると、アプリケーションの設定が初期状態に戻ります。
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InDesign を起動し、すぐに Command + Option + Control + Shift キーを押したままの状態にします。
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「InDesign 環境設定ファイルを削除しますか?」と表示されたら「はい」をクリックします。
環境設定の手動削除
環境設定削除のダイアログボックスが表示されない場合、または環境設定のバックアップが必要な場合は、環境設定ファイルを直接削除して手動で初期化することもできます。
macOS では、ユーザーライブラリフォルダーが初期設定で非表示になっています。詳細については、非表示のユーザーライブラリフォルダーにアクセスする方法(Mac OS X 10.7 以降)を参照してください。
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InDesign が起動している場合は終了します。
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Finder で、以下のパスをそれぞれ開きます。
Macintosh HD/ユーザ/<ユーザ名>/ライブラリ/Preferences/Adobe InDesign
Macintosh HD/ユーザ/<ユーザ名>/ライブラリ/Caches/Adobe InDesign
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Version <バージョン>-J フォルダーのフォルダー名を変更します。
例 : 「Version 19.0-J-old」など各バージョン用のフォルダー
- InDesign (2024)の場合 : 「Version 19.0-J」フォルダー
- InDesign (2023)の場合 : 「Version 18.0-J」フォルダー
- InDesign (2022)の場合 : 「Version 17.0-J」フォルダー
- InDesign (2021)の場合 : 「Version 16.0-J」フォルダー
- InDesign (2020)の場合 : 「Version 15.0-J」フォルダー
- InDesign CC(2019)の場合 : 「Version 14.0-J」フォルダー
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InDesign を再起動します。
問題が再現する場合、問題の原因は環境設定ファイルの破損ではありません。InDesign を終了して新しく作成されたフォルダを削除し、上記手順 2. で変更したフォルダ名を元に戻します。
D. フォントリストファイルの再作成
システムに多数のフォントがインストールされている場合、あるいはフォントに関する問題が発生している場合は、フォントユーティリティを使用するか、手動で使用しないフォントを無効にし、フォントリストファイル「AdobeFnt*.lst」を再作成します。「AdobeFnt*.lst」ファイルは、Adobe アプリケーションが利用可能なフォントのタイプや保存場所の情報を得るために使用するフォントキャッシュファイルです。
フォントリストファイルを再作成するには、以下の操作を行います。
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すべてのアプリケーションを終了します。
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Finder で、ファイル/検索を選択します。
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ウィンドウ右上の検索フィールドに「adobefnt」と入力し、「名前が一致: adobefnt」または、「名前に”adobefnt”を含む」を選択します。
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+ボタンを押して検索オプションを追加します
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「種類」ポップアップメニューから「その他」を選択します。
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「システムファイル」を選択し、「OK」をクリックします。
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「を含まない」を「を含む」に変更します。
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「AdobeFnt」で始まる拡張子か「lst」のファイルをすべて削除します。
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以下のフォルダを開き、すべての「AdobeFntxx.lst」ファイルを削除します。
Macintosh HD/ユーザ/<ユーザ名>/ライブラリ/Caches/Adobe/TypeSupport/CS6
- AdobeFnt_OSFonts.lst :
OSにインストールされているフォントのリストです。 - AdobeFnt_CommonFonts.lst :
commonフォルダにインストールされているフォントのリストです。 - AdobeFnt_CMaps.lst :
OSにCMapsファイルのリストです。
- AdobeFnt_OSFonts.lst :
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コンピュータを再起動します。
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InDesign を起動します。「AdobeFnt.lst」ファイルは起動時に新しく作成されます。
InDesign 以外の Adobe アプリケーション用フォントキャッシュを削除した場合も、各アプリケーションの次回起動時にフォントリストファイルが再作成されます。
E. フォントの破損を検証
破損しているフォントにアクセスすると、システムエラー、フリーズ、または表示に関する問題が発生する可能性があります。フォントのトラブルシューティングを行い、破損しているフォントを特定します。
以下の操作を行います。
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Adobe Type Manager や Extensis Suitcase などのフォント管理ユーティリティをすべて無効にします。
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Finder で、移動/アプリケーション を選択します。
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「Font Book」をダブルクリックします。
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Font Book 左側の「コレクション」に表示されているリストから「コンピュータ」を選択します。
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編集/"コンピュータ" を使用停止 を選択します。
※ コンピュータのフォントを使用停止にした後も、システムフォントは停止されません。
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コンピュータを再起動します。
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アプリケーションを起動します。
問題が再現する場合 :
フォントの破損が問題の原因ではありません。上記手順で停止したフォントをすべて使用可能にします。
問題が再現しない場合 :
停止したフォントのいずれかが破損している可能性があります。停止したフォントを 1 つずつ使用可能にして、その都度問題が再現するか確認し、破損しているフォントを特定します。問題の原因となるフォントファイルを特定したら、オリジナルメディアから問題のフォントを再インストールします。
停止したフォントを使用可能にするには、以下の操作を行います。
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コレクションセクションで「コンピュータ」を選択し、以下のいずれかの操作を行います。
- 1 つのフォントを使用可能にする場合 :
使用可能にするフォントを選択します。 - すべてのフォントを使用可能にする場合 :
フォントセクションで任意のフォントを選択し、編集/すべてを選択を選択します。
- 1 つのフォントを使用可能にする場合 :
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フォントセクション下部の、空欄のチェックボックスが描かれている「選択したフォントを使用可能にします」ボタンをクリックします。
F. 管理者権限でのログイン
コンピュータにログインしているユーザの権限が十分でない場合、アプリケーションが必要なファイルにアクセスできず問題が発生する可能性があります。アクセス権の制限が問題の原因となっているかどうかを確認するには、管理者権限のあるユーザでログインして問題を再現します。問題が再現しない場合、以前に使用したアカウントのアクセス権が十分ではありません。システム管理者に連絡して、アクセス権を取得してください。
管理者権限のあるユーザとしてログインするには、操作を行います。
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アップルメニューから「<ユーザアカウント名>をログアウト」を選択します。
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「すべてのアプリケーションを終了して、今すぐログアウトしてもよろしいですか?」と表示されたら「ログアウト」をクリックします。
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ログインパネルが表示されたら、管理者権限のあるユーザを選択します。
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適切なパスワードを入力して、Return キーを押します。
G. ディスクユーティリティでMacのストレージデバイスを修復する
ディスクのアクセス権が正しくない場合、あるいはストレージデバイスのフォーマットやディレクトリ構造になんらかのエラーがあるなどの場合に、InDesign の動作に問題が発生することがあります。「ディスクユーティリティ」を使用して、ディスクアクセス権の検証および修復等を行います。詳しくは以下のApple 社 web サイトをご参照ください。
H. セーフブートの実行
セーフブートとは、macOS をセーフモードで起動するための方法で、起動時やログイン時に読み込まれる項目をすべて無効にします。ユーザアカウントのログイン項目に設定されている項目や、起動時に読み込まれるアプリケーションやサービスなど必ずしも必要ではない拡張機能を無効することで、問題が解決することがあります。セーフモードで問題が発生しない場合、起動項目のいずれかがシステムエラーまたはフリーズの原因となっていることが考えられます。
セーフブートを実行すると、以下の処理が実行されます。
- 起動ボリュームのディレクトリチェックが強制的に実行されます。
- 必須カーネル拡張機能のみを読み込みます。
(項目のうちいくつかは「Macintosh HD/システム/ライブラリ/Extensions」フォルダに格納されています。) - 「Macintosh HD/システム/ライブラリ/Fonts」フォルダに格納されているフォント以外を無効にします。
- 「Macintosh HD/ライブラリ/Caches/com.apple.ATS/<ユーザ ID 番号(501 など)>」フォルダに格納されているフォントキャッシュをゴミ箱へ移動します。
- すべてのログイン項目を無効にします。
macOS をセーフブートで起動する方法については、以下文書を参照してください。
I. セーフブートでの問題の再現
ユーザアカウントのログイン項目に設定されている項目や、起動時に読み込まれるアプリケーションやサービスなど必ずしも必要ではない拡張機能を無効にした状態で問題を再現します。問題が発生しない場合、起動項目のいずれかがシステムエラーまたはフリーズの原因となっていることが考えられます。
J. 新規ユーザーアカウントでのログイン
ユーザアカウントの破損によって、必要なファイルへのアクセスやファイルおよびフォルダの作成が妨げられることがあります。管理者権限のある新規ユーザアカウントを作成し、作成したアカウントでログインします。
新規ユーザアカウントを作成する方法については、以下の弊社技術文書を参照してください。
K. テキストや文字組みの問題
文字組みや段落スタイル、文字スタイルなどを適用しても期待通りに動作しない時には「全ストーリーの再計算」を行います。全ストーリーの再計算とは、現在の InDesign の文字や段落の設定をもとに書類上の全ストーリーを再計算する機能です。以下のケースに当てはまる場合は特に利用をお勧めします。
- 旧バージョンの InDesign 文書を開いた場合
(バージョン間では問題の修正や品質の向上により文字組が異なっています。) - PageMaker ファイルや QuarkXpress ファイルなど、他の書類を開いたとき
(ファイルを変換中にもストーリーの再計算は行っていますが、設定の細部までを利用した再計算には「全ストーリーの再計算」が必要です。) - 設定を変更しながら文章を作成した場合
(文書中に複数の設定遍歴が存在する場合には「全ストーリーの再計算」コマンドで正しい文字組みを確認します。) - 作成した環境とは別の環境で開いた場合
- テキストフレームをインライングラフィックとして使用するなど、ドキュメントが複雑な構造を持っている場合
- 印刷前の最終確認
OS やフォントが異なる環境で作成された書類、または 旧バージョンの文書を開いた場合は、はじめに「全ストーリーの再計算」コマンドを実行します。「全ストーリーの再計算」コマンドを実行すると、InDesign は書式情報を再読み込みし、画面を再描画します。
以下の操作を行います。
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InDesign を起動し、文書を開きます。
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Command + Option + / キーを押します。
L. 特定のドキュメントファイルで問題が発生する場合
InDesign ドキュメント(.indd) 文書を InDesign マークアップ形式(*.idml)で書き出すことによって文書内のデータが再構築されます。結果としてドキュメント内部の問題が解消されることがあります。
以下の操作を行います。
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InDesign を起動し、問題が発生しているドキュメントを開きます。
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ファイル/書き出し を選択します。
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「ファイルの種類」プルダウンリストから「InDesign Markup(IDML)」を選択します。
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ファイル名と保存先を指定して「保存」をクリックします。
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手順 4. で書き出したファイルを InDesign で開き、問題が解消しているかを確認します。