Adobe PDF 設定で文書の品質、互換性、ファイルサイズを制御して、印刷工程、web 配信、アーカイブ用の PDF を強化する方法について学びます。
PDF 設定では、他のファイル形式を PDF に変換するときの文書の処理方法を制御します。これらの設定は、画質やフォント処理、カラーマネジメント、業界標準への準拠などのメトリクスに影響します。これらの設定を調整することで、PDF が意図した用途に応じて正しく動作することを保証できます。
一般設定
一般パネルでは、PDF ファイルの次の側面を制御します。
- 互換性:PDF で使用できる Acrobat のバージョンを決定します。最新バージョンを使用すると、最新の機能にアクセスできます。以前のバージョンを選択すると、より幅広い互換性が確保されます。
- オブジェクトレベルの圧縮:ファイル内のブックマークやアクセシビリティ機能などの構造情報を圧縮する方法を制御します。
- ページの自動回転:テキストの方向に基づいてページの向きを自動的に調整します。ファイルごとにまとめて回転、ページごとに個別に回転、または回転させないオプションがあります。
- 綴じ方:左側綴じまたは右側綴じを指定します。これは、特定の表示モードでのページの表示方法に影響します。
- 解像度:プリンター解像度をエミュレートします。指定できる値は 72 ~ 4000 です。解像度を高くすると、ファイルサイズが大きく、処理時間が長くなる可能性があります。
- Web 表示用に最適化:ファイルを再構築し、1 ページずつ高速に web サーバーからダウンロードできるようにします。
画像設定
これらの設定は、PDF での画像の処理方法を制御します。
- ダウンサンプリング:ピクセルを組み合わせて画像の解像度を下げます。オプションには「ダウンサンプル(バイリニア法)」、「サブサンプリング」、「ダウンサンプル(バイキュービック法)」があり、それぞれ処理速度と画質のバランスが異なります。
- 圧縮および画質:カラー、グレースケール、および白黒画像に圧縮を適用します。カラーおよびグレースケール画像では画質設定を調整できます。
- グレーのアンチエイリアス:白黒画像のギザギザの端をなめらかにします。グレーレベルとして 4、16、または 256 を選択できます。
画像に最適な解像度は、出力デバイスによって異なります。次に例を示します。
- 300 dpi レーザープリンター:解像度 120 ppi
- 600 dpi レーザープリンター:解像度 170ppi
- 1200 dpi イメージセッタ:解像度 240ppi
- 2400 dpi イメージセッタ:解像度 300ppi
フォント設定
フォント設定では、PDF に埋め込むフォントを制御します。フォントの埋め込みは、特に特殊なフォントを使用したり、複数のデバイスで表示される文書の場合、システム間で文書の外観を維持するために重要です:
- すべてのフォントを埋め込む:文書で使用されているすべてのフォントを含め、デバイス間で一貫した外観を確保しますが、ファイルサイズが大きくなります。
- OpenType フォントを埋め込む:高度なテキストレイアウトに関する OpenType フォント情報を保持します。
- 埋め込みフォントをサブセット化する:文書で使用されている文字が指定したしきい値を下回る場合にのみ埋め込み、ファイルサイズを削減します。
- 常に埋め込むフォントまたは常に埋め込まないフォント:他の設定に関係なく、常に埋め込むフォントや常に埋め込まないフォントを指定できます。
カラー設定
カラーマネジメント設定では、PDF 作成時の色の処理方法を制御します。これらの設定は、色の正確さが重要な印刷工程において特に重要です:
- カラーマネジメントポリシー:カラーを変更しない、カラーマネジメント用にすべてタグ付けする、画像のみタグ付けする、すべて sRGB または CMYK 色に変換するなどのオプションがあります。
- 作業用スペース:グレースケール、RGB、CMYK の各カラースペースに使用する ICC プロファイルを定義します。
- 文書レンダリングインテント:カラースペース間でカラーをマップする方法を決定します。「知覚的」、「彩度」、「相対的な色域を維持」、「絶対的な色域を維持」などのオプションがあります。
詳細設定
「詳細設定」オプションでは、PDF に保存する PostScript 文書構造化規約(DSC)コメントの指定、および PostScript からの変換に影響するその他のオプションの設定方法の指定を行います。PostScript ファイルの DSC コメントには、ファイルに関する情報(作成元のアプリケーション、作成日、用紙の向きなど)と、ファイル内のページを記述するための情報が入っています。このパネルのオプションには以下が含まれます:
- PostScript ファイル内の設定を優先する:現在の PDF 設定ではなく、PostScript ファイルに保存されている設定を使用します。
- グラデーションをスムーズシェードに変換:グラデーション効果のある文書の品質を向上させ、ファイルサイズを削減します。
- オーバープリント設定を保持:プロフェッショナルな印刷に重要な、元の文書のオーバープリント設定を維持します。
- DSC コメントを処理:PostScript ファイルの文書構造化規約情報を維持します。
- PDF ファイル内に Adobe PDF 設定を保存:PDF の作成に使用された設定を添付ファイルとして埋め込みます。
規格オプション
これらの設定によって、PDF を作成する前に PostScript ファイルの内容を確認し、PDF/X1-a、PDF/X-3、PDF/A の基準を満たしているかどうかを確認できます。PDF/X 準拠ファイルについては、規格パネルでオプションを選択することにより、PostScript ファイルがその他の基準を満たすように設定することもできます。 これらのオプションが使用可能かどうかは、選択した規格に応じて異なります。 Acrobat のプリフライト機能を使用して、PDF/X 準拠の PDF から PDF/X ファイルを作成することもできます
- PDF/X 準拠:高解像度の印刷工程用の規格に準拠するファイルを作成します。
- PDF/A 準拠:長期保存のためのアーカイブ文書規格に準拠するファイルを作成します。
- 準拠標準レポート:選択した標準にファイルが適合しているかどうかを示すレポートを生成し、問題があれば特定します。
一般パネルのオプション
このパネルを使用して、ファイルの互換性のための Acrobat のバージョンと、その他のファイル設定およびデバイス設定を選択します。
互換性:PDF の互換性レベルを設定します。最新バージョン(この場合はバージョン 1.7)を使用して、最新の機能をすべて取り込みます。 作成した PDF を広く配布する場合は、すべてのユーザーが文書を表示および印刷できるように、以前のバージョンを選択します。
オブジェクトレベルの圧縮:構造情報(ブックマーク、アクセシビリティ、圧縮されていないオブジェクトなど)を圧縮し、情報を非表示にして、Acrobat 5.0 または Reader 5.0 で使用できないようにします。タグによって、構造情報だけが圧縮されます。オフにすると、圧縮は適用されません。
ページの自動回転:テキストの向きに従ってページを自動的に回転します。
詳細設定パネルで「DSC コメントを処理」が選択されていて、%%Viewing Orientation コメントが含まれている場合は、これらのコメントを優先してページの向きが決定されます。
ファイルごとに一括:文書内の大部分のテキストの向きに合うようにすべてのページを回転します。
ページごと:各ページのテキストの向きに基づいてそのページを回転します。
オフ:ページを回転しません。
綴じ方:左側綴じと右側綴じのどちらの形式で PDF を表示するかを指定します。「綴じ方」の設定によって、連続見開きページにしたりサムネールを横に並べて表示する場合の、ページのルックアンドフィールが決まります。
解像度:印刷先のプリンターに基づいて PostScript ファイルが解像度をエミュレートするために使用します。指定できる値の範囲は 72 ~ 4000 です。 元の PostScript ファイルで定義されている解像度をエミュレートしながら特定のプリンターで PDF を印刷する場合以外は、デフォルトの設定を使用します。
解像度の設定を上げるとファイルサイズが大きくなり、処理にかかる時間が長くなる可能性があります。
ページ:PDF に変換するページを指定します。
サムネール画像の埋め込み:PDF の各ページのサムネールプレビューを埋め込みます。ファイルサイズが大きくなります。Acrobat 5.0 以降のユーザーが PDF を表示してプリントする場合は、この設定の選択を解除します。 このバージョンでは、PDF の「ページ」パネルを選択するたびに、サムネールが動的に生成されます。
Web 表示用に最適化:web サーバーからすばやくアクセス(ページ単位でダウンロード、つまりバイトサービング)できるように、ファイルを再構築します。このオプションでは、テキストおよびラインアートは圧縮されます。画像パネルでの圧縮の選択は無効になります。
デフォルトページサイズ:元のファイルでページサイズが指定されていない場合に、使用するページサイズを指定します。EPS ファイルは、ページサイズではなくバウンディングボックスサイズを指定します。
画像パネルのオプション
画像パネルのオプションは、カラー画像、グレースケール画像および白黒画像の圧縮およびリサンプルを指定します。 これらのオプションを試して、ファイルサイズと画質のバランスを調整してください。
カラー画像とグレースケール画像の解像度の設定は、そのファイルを印刷するときの画面のスクリーン線数の 1.5 倍から 2 倍が適当です。 白黒画像の解像度は、出力デバイスと同じである必要があります。 ただし、1500 dpi よりも高い解像度で白黒画像を保存すると、ファイルサイズが大きくなりますが、画質が大幅に向上することはありません。地図などの拡大される画像に高解像度が必要な場合があります。
白黒画像をリサンプルした場合に、画像が何も表示されないなど、予想外の結果が生じることがあります。 このような場合は、リサンプルをオフにして、もう一度ファイルを変換してみてください。 このような問題は、サブサンプルを選択した場合に発生することが多く、ダウンサンプルではほとんど起こりません。
以下の表は、一般的なタイプのプリンターと dpi 単位の解像度を示しています。 また、1 インチあたりの線数(lpi)で測定したデフォルトのスクリーン線幅と、1 インチあたりのピクセル数(ppi)で測定した画像の再サンプリング解像度も示しています。 例えば、600 dpi のレーザープリンターで印刷する場合は、画像をリサンプルする解像度を 170 ppi に設定します。
プリンターの解像度 | デフォルトのスクリーン線数 | 画像の解像度 |
300 dpi(レーザープリンター) | 60lpi | 120ppi |
600 dpi(レーザープリンター) | 85lpi | 170ppi |
1200 dpi(イメージセッタ) | 120lpi | 240ppi |
2400 dpi(イメージセッタ) | 150lpi | 300ppi |
ダウンサンプル(オフ):「次の解像度を超える場合」の値を超える画像の解像度を、出力デバイスの解像度まで低くします。そのために、画像のサンプル領域のピクセルを結合して 1 つの大きなピクセルにします。
ダウンサンプル(バイリニア法):サンプル領域のピクセルが平均化され、領域全体が指定解像度の平均ピクセルカラーに置き換えられます。
サブサンプル(ニアレストネイバー法):領域全体を、そのサンプル領域から選択されたピクセルで置き換えます。指定された解像度を使用します。ダウンサンプリングよりも変換時間は速くなりますが、結果の画像の滑らかさと連続性は低下します。
ダウンサンプル(バイキュービック法):(ダウンサンプリングのような)単純平均ではなく、加重平均を使用してピクセルカラーを決定します。この方法は時間がかかりますが、色調のグラデーションが最も滑らかになります。
圧縮および画質:カラー画像、グレースケール画像、白黒画像に圧縮を適用します。カラー画像とグレースケール画像の場合は、画質も設定します。
グレーのアンチエイリアス:白黒画像のギザギザの端をなめらかにします。2 ビット、4 ビットまたは 8 ビットを選択します。これにより、それぞれ 4、16 または 256 のグレーレベルが指定されます。(アンチエイリアスにより、小さな画像や細い線はぼやけて表示されることがあります)。
テキストとラインアートの圧縮は常にオンです。 オフに切り替えるには、適切な Distiller パラメーターを設定します。 詳しくは、Acrobat Developer Center(www.adobe.com/go/learn_acr_devcenter_jp)(PDF、英語のみ)の SDK に関する情報を参照してください。
ポリシー:画像ポリシーダイアログボックスを開きます。このダイアログボックスで、指定した解像度よりも低いカラー画像、グレースケール画像および白黒画像の処理オプションを設定できます。それぞれのタイプの画像について、解像度の値を入力し、「無視する」、「警告した後続行する」または「ジョブをキャンセル」を選択します。
フォントパネルのオプション
「フォント」オプションでは、PDF に埋め込むフォントを設定できます。また、PDF で使用する文字のサブセットを埋め込むかどうかも設定できます。OpenType® フォント、TrueType フォントおよび PostScript フォントを埋め込むことができます。 ライセンス制限付きのフォントは、名前の隣に鍵のアイコンが付いています。ライセンス制限付きのフォントを選択すると、Adobe PDF 設定ダイアログボックスに制限の内容が表示されます。
同一フォントのサブセットを含む PDF ファイルを 1 つにまとめると、そのフォントサブセットもまとめられます。
すべてのフォントを埋め込む:ファイルで使用するすべてのフォントを埋め込みます。PDF/X に準拠する場合、フォントの埋め込みは必要です。
OpenType フォントを埋め込む:ファイルで使用するすべての OpenType フォントを埋め込み、ラインレイアウトの詳細設定に関する OpenType フォント情報を保持します。このオプションは、一般パネルで、互換性のある形式メニューから「Acrobat 7(PDF 1.6)」または「Acrobat 8(PDF 1.7)」を選択した場合にのみ使用できます。注意:この機能は、欧文の OpenType フォントにのみ、適用されます。
サブセットの全フォントに対する割合:フォントのサブセットだけを埋め込む場合のしきい値のパーセンテージを指定します。例えば、しきい値を 35% に指定すると、フォントに含まれるグリフ(字形)のうち 35% 未満しか使用されていない場合には、使用されている文字だけが埋め込まれます。日中韓フォントは、この設定にかかわらず、常にサブセットフォントが埋め込まれます。
埋め込めなかったときの処理:ファイルの処理時に埋め込むフォントが見つからなかった場合の対応方法を設定します。
常に埋め込むフォント:特定のフォントだけを埋め込むには、それらを「常に埋め込むフォント」の一覧に移動します。「すべてのフォントを埋め込む」が選択されていないことを確認してください。
常に埋め込まないフォント:埋め込まないフォントをこの一覧に移動します。必要に応じて、ポップアップメニューで別のフォントフォルダーを選択して、フォント一覧にフォントを表示させます。
ライセンス制限付きのフォントは、名前の隣に鍵のアイコンが付いています。 ライセンス制限付きのフォントを選択すると、Adobe PDF 設定ダイアログボックスに制限の内容が表示されます。
新規フォント名:必要なフォントがフォントフォルダーにない場合は、「新規フォント名」を選択します。フォントの名前を入力し、「常に埋め込むフォント」の一覧(または「常に埋め込まないフォント」の一覧)を選択し、「追加」を選択します。
フォントには、フォントのデザイナーによって、PDF ファイルにフォントが埋め込まれないように設定されているものがあります。
削除:「常に埋め込むフォント」の一覧または「常に埋め込まないフォント」の一覧からフォントを削除します。これによってフォントがシステムから削除されることはありません。一覧から削除されるだけです。
Acrobat には Times、Helvetica および ZapfDingbats のフォントは含まれていません。 これらのフォントを PDF の受信者が表示し、印刷できるようにするには、作成する PDF にこれらのフォントを埋め込んでおく必要があります。
カラーパネルのオプション
PostScript ファイルに含まれるカラーマネジメント情報を使用するか、Distiller の CSF(カラー設定ファイル)を使用するか、カスタム設定を定義するかに従って、Adobe PDF 設定ダイアログボックスのカラーパネルで、すべてのカラーマネジメント情報を設定します。
設定ファイル:カラー設定を表示します。グラフィックアプリケーションで使用されているものも含まれます。「なし」に設定すると、「カラーマネジメントポリシー」および「作業用スペース」の設定を編集できます。
カラーマネジメントポリシー:Distiller カラー設定ファイルを使用しない場合に Distiller が PostScript 内の管理されていないカラーを変換する方法を指定します。これは、「設定ファイル」で「なし」を選択した場合に使用できます。
「カラーマネジメントポリシー」の値は、一般パネルで選択した互換性の設定に応じて、PDF に異なる影響を与える場合があります。
カラー変更なし:デバイスに依存するカラーは変更せず、デバイスに依存しないカラーは最も近いカラーを保持します。このオプションは、出力デバイスをキャリブレーション済みであり、そのキャリブレーション情報をファイルのカラー指定に使用していて、かつ、その出力デバイス以外には出力しない印刷業者などに適しています。
カラーマネジメント用にすべてタグ付け:ICC プロファイルでカラーオブジェクトにタグ付けし、カラーを補正して、Acrobat 4(PDF 1.3)以降と互換性のある PDF のカラーがデバイスに依存しないようにします。Acrobat 3.0(PDF 1.2)互換 PDF では、画像内のデバイスに依存するカラースペース(RGB、グレースケールおよび CMYK)を、デバイスに依存しないカラースペース(CalRGB、CalGray および Cie L*a*b)に変換します。
カラーマネジメント用に画像だけタグ付け:Acrobat 4.0(PDF 1.3)互換 PDF を変換するときに、画像の ICC プロファイルのみをタグ付けし(テキストまたはベクトルオブジェクトは対象外)、黒のテキストの色味が変わらないようにします。Acrobat 3.0(PDF 1.2)互換 PDF では、画像内のデバイスに依存するカラースペース(RGB、グレースケールおよび CMYK)を、デバイスに依存しないカラースペース(CalRGB、CalGray および Lab)に変換します。
すべて sRGB 色に変換(または「すべて CalRGB 色に変換」):カラーを補正し、デバイスに依存しないようにします。Acrobat 4(PDF 1.3)以降と互換性のある PDF では、CMYK および RGB 画像を sRGB に変換します。 Acrobat 3.0(PDF 1.2)互換 PDF では、CMYK および RGB 画像を、補正された RGB(CalRGB)に変換します。 画面表示用の PDF や解像度の低いプリンターで出力する PDF に適しています。
すべて CMYK 色に変換:「作業用スペース」で指定したオプションに従って、カラースペースを DeviceGray または DeviceCMYK に変換します。すべての作業用スペースオプションを指定する必要があります。
文書レンダリングインテント:カラースペース間でカラーをマップする方法を選択します。選択した方法で得られる結果は、カラースペースのプロファイルによって異なります。 例えば、プロファイルによって、方法が異なっても結果が同じになるものもあります。
Acrobat は、4 つのレンダリングインテント(「知覚的」、「彩度」、「相対的な色域を維持」、「絶対的な色域を維持」)を他の Creative Suite アプリケーションと共有します。
Acrobat には、「保存」というレンダリングインテントもあります。これは、インテントが PDF 内ではなく出力デバイス内で指定されることを意味します。多くの出力デバイスのデフォルトインテントは、「相対的な色域を維持」になっています。
どのレンダリングインテントも、PDF ファイルが作成された後にカラーマネジメント処理によって無視することも無効にすることもできます。
作業用スペース:「カラーマネジメントポリシー」の「カラー変更なし」以外のオプションでは、作業用スペースとして使用する ICC プロファイルを指定するために、変換済み PDF のグレースケール、RGB、CMYK の各カラースペースを定義および補正します。
グレー:ファイルに含まれるすべてのグレースケール画像のカラースペースを定義するプロファイルを選択します。グレー画像用のデフォルトの ICC プロファイルは、「Dot Gain 20%」です。グレースケール画像が変換されないようにするには、「なし」を選択します。
RGB:ファイルに含まれるすべての RGB 画像のカラースペースを定義するプロファイルを選択します。デフォルトの「sRGB IEC61966-2.1」は、多くの出力デバイスで認識されます。RGB 画像が変換されないようにするには、「なし」を選択します。
CMYK:ファイルに含まれるすべての CMYK 画像のカラースペースを定義するプロファイルを選択します。デフォルトは「U.S. Web Coated(SWOP)v2」です。CMYK 画像が変換されないようにするには、「なし」を選択します。
これら 3 つの作業用スペースのすべてに対して「なし」を選択すると、「カラー変更なし」オプションを選択したのと同じ結果になります。
ICC プロファイル(印刷・出力会社に送るプロファイルなど)を追加したい場合は、推奨保存先の、Windows¥System¥Color フォルダー(Windows)またはシステムフォルダー内の ColorSync フォルダー(macOS)にコピーします。
キャリブレーションされた CMYK カラースペースの CMYK 値を維持:これを選択すると、デバイスに依存しない CMYK 値はデバイスに依存する(DeviceCMYK)値として扱われ、デバイスに依存しないカラースペースは破棄され、PDF/X-1a ファイルは「すべて CMYK 色に変換」値を使用します。選択しない場合は、「カラーマネジメントポリシー」が「すべて CMYK 色に変換」に設定されていれば、デバイスに依存しないカラースペースは CMYK に変換されます。
アンダーカラーリムーバル(UCR)と墨版合成を保存:これらの設定が PostScript ファイルに存在する場合に保存します。墨版合成によって、カラーを再現するときに使用する黒の量が計算されます。 アンダーカラーリムーバル(UCR)によって、シアン、マゼンタおよびイエローが低減され、墨版合成が補正されます。 UCR ではインキの使用量が減少するため、非コート紙に適しています。
トランスファー関数が見つかった場合:PDF のトランスファー関数を処理する方法を指定します。トランスファー関数は芸術的効果を出すためのもので、特定の出力デバイスの特徴を補正するために使用されます。
削除:適用されたすべてのトランスファー関数を削除します。トランスファー関数は、ソース PostScript ファイルを作成した同じデバイスに PDF を出力する場合以外は、削除する必要があります。
保存:画像がフィルムに転写されるときに発生するドットゲインやドットロスの補正に使用されるトランスファー関数が保存されます。ドットゲインまたはドットロスは、印刷される画像を構成するインキドットが、ハーフトーンスクリーンよりも大きいまたは小さい場合に発生します。
適用:トランスファー関数を適用します。ファイル内のカラーを変更しますが、それを保持しません。この方法はファイルにカラーの効果を出す目的で使用します。
ハーフトーン情報を保存:ファイル内のハーフトーン情報を保存します。ハーフトーン情報は、特定の出力デバイスでの使用にのみ対応します。
詳細設定パネルのオプション
「詳細設定」オプションでは、PDF に保存する PostScript 文書構造化規約(DSC)コメントの指定、および PostScript からの変換に影響するその他のオプションの設定方法の指定を行います。PostScript ファイルの DSC コメントには、ファイルに関する情報(作成元のアプリケーション、作成日、用紙の向きなど)、ファイル内のページを記述するための情報(prologue の開始ステートメントと終了ステートメントなど)が入っています。 DSC コメントは、文書を印刷したり出版したりする場合に便利です。
詳しくは、Adobe PDF Technology Center(www.adobe.com/go/learn_acr_pdftechnology_jp)で関連文書(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。
「ASCII フォーマット」オプションは Distiller からは削除されましたが、Distiller パラメーターとしては使用できます。
スクリプトファイル内の Adobe PDF 設定を優先する:現在の PDF 設定ファイルではなく、PostScript ファイルに保存されている設定を使用します。PDF 設定のカスタマイズについて詳しくは、Acrobat と PDFL のデベロッパーガイド(www.adobe.com/go/learn_acr_pdftechnology_en)で SDK 情報(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。
PostScript XObject を使用:PostScript XObject は、PDF を PostScript プリンターで印刷するときに使用する PostScript コードの一部を格納します。他のオプションがない、制御されたワークフローでのみ使用します。 デフォルト設定メニューから「標準」または「最小ファイルサイズ」が選択されている場合に使用できます。
グラデーションをスムーズシェーディングに変換:ブレンドを Acrobat 4.0 以降のスムーズシェーディングに変換して、品質を向上させ、PDF のファイルサイズを小さくします。Distiller では、Adobe Illustrator、Adobe InDesign、Adobe FreeHand®、CorelDRAW、QuarkXPress および Microsoft PowerPoint からのグラデーションを変換できます。
曲線のコントロールポイントを減らす:CAD 描画で曲線の作成に使用されるコントロールポイントの数を削減できます。この結果、PDF のサイズが小さくなり、画面のレンダリングが高速になります。
copypage の動作を PostScript レベル 2 互換にする:PostScript 言語レベル 3 ではなく、PostScript 言語レベル 2 で定義された copypage オペレーターを使用します。このオプションを選択すると、copypage オペレータによってページコピーの処理が行われます。 このオプションを選択しない場合、showpage オペレータが同等の処理を実行しますが、グラフィック状態の再初期化は行われません。
オーバープリント設定を保存:PostScirpt ファイルに存在するすべてのオーバープリント設定を保持します。オーバープリント設定では、1 つのインキを別のインキの上に印刷することによってカラーが作成されます。
オーバープリントのデフォルトをノンゼロオーバープリントにする:CMYK 値がゼロであるオーバープリントオブジェクトがその下にある CMYK オブジェクトを抜き合わせないようにします。
PDF ファイル内に Adobe PDF 設定を保存:PDF の作成に使用された設定ファイル(.joboptions)を添付ファイルとして埋め込みます(設定ファイルを表示するには、Acrobat で、表示/表示切り替え/ナビゲーションパネル/添付ファイルを選択します)。
可能な限り JPEG 画像データを変換しない:圧縮済み JPEG 画像(DCT エンコーディングによって既に圧縮されている画像)を、再圧縮せずに処理します。選択しない場合は、圧縮解除のみが行われ再圧縮は行われないため、パフォーマンスが向上します。
Portable Job Ticket を PDF 内に保存:PostScript Job Ticket を PDF 内に保存します。Job Ticket は PostScript ファイルを記述します。後で、ワークフロー内や PDF の印刷で使用できます。
Prologueue.ps と Epilogueue.ps を使用:Prologue ファイルと Epilogue ファイルを各ジョブとともに送信します。これらのファイルを使用すると、変換する各 PostScript ジョブの最初または最後に実行するカスタム PostScript コードを追加できます。
Prologue.ps および Epilogue.ps ファイルのサンプルは、Windows 11(64 ビット)、Windows 10 バージョン 1810 以降(32 ビットおよび 64 ビット)、Windows 8、8.1(32 ビット および 64 ビット)†、Windows 7 SP1(32 ビットおよび 64 ビット)、または Windows Server-2008 R2(64 ビット)、2012(64 ビット)、2012 R2(64 ビット)†、2016(64 ビット)、2019(64 ビット)では以下の場所にあります。
/ユーザー/[Username]/AppData/Roaming/Adobe/Adobe PDF/Distiller/Data または(macOS)/Library/Application Support/Adobe/Adobe PDF/Distiller/Data。
Windows エクスプローラー(Windows 7 以降)では、通常、アプリケーションデータフォルダーは非表示になっています。表示するには、表示/表示を選択し、「非表示のアイテム」を選択します。または、「アドレス」テキストボックスにパスを入力します。
Acrobat Standard では、Prologue.ps ファイルと Epilogue.ps ファイルは、正しい場所に保存されていないと処理されません。 これら 2 つのファイルは合わせて使用する必要があります。
Acrobat Pro では、Prologue.ps ファイルと Epilogue.ps ファイルは、正しい場所に保存されていないと処理されません。 これら 2 つのファイルは合わせて使用する必要があります。 Prologue ファイルと Epilogue ファイルが監視フォルダーの in フォルダーおよび out フォルダーと同じレベルにある場合、Prologue ファイルと Epilogue ファイルは、Distiller フォルダーにあるファイルの代わりに使用されます。
DSC コメントを処理:PostScript ファイルにある DSC 情報を維持します。
DSC の警告をログ:処理中に発生した、問題のある DSC コメントに関する警告メッセージが表示され、ログファイルにメッセージが追加されます。
DSC から EPS 情報を保存:EPS ファイルの情報を保存します。作成元のアプリケーションや作成日などです。
OPI コメントを保存:For Placement Only(FPO)画像またはコメントを、Open Prepress Interface(OPI)バージョン 1.3 および 2.0 をサポートするサーバーにある高解像度の画像に置き換えるために必要な情報を保持します。詳しくは、https://www.pdfa.org/norm-refs/5660_OPI_2_0.pdf で OPI 2.0 仕様(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。
DSC の文書情報を保存:PDF 内の文書プロパティを保存します。タイトル、作成日時などです。
EPS ファイルのページサイズ変更とアートワークの中央配置:EPS 画像を中央に配置し、画像の周囲にぴったりと合うようにページをサイズ変更します。選択しない場合は、左上のオブジェクトの左上隅と右下のオブジェクトの右下隅に合わせてページサイズが調整され、ページが中央に配置されます。 このオプションは、EPS ファイルを 1 つだけ処理するジョブにのみ適用できます。
規格パネルのオプション
規格のオプションを使用することによって、PDF を作成する前に、PostScript ファイルの内容を確認し、PDF/X1-a、PDF/X-3、PDF/A の基準を満たしているかどうかを確認できます。PDF/X 準拠ファイルについては、規格パネルでオプションを選択することにより、PostScript ファイルがその他の基準を満たすように設定することもできます。これらのオプションが使用可能かどうかは、選択した規格に応じて異なります。 Acrobat のプリフライト機能を使用して、PDF/X 準拠の PDF から PDF/X ファイルを作成することもできます
PDF/X 準拠:高解像度の印刷工程用の PDF/X 規格に準拠します。
PDFMaker(Microsoft Word やその他のアプリケーションファイルの PDF 変換に使用される変換方法)では、PDF/X 準拠ファイルは作成されません。
PDF/A 準拠:アーカイブ文書用の PDF/A 規格に準拠します。
Acrobat Pro で PDF/A 準拠ファイルの作成用に監視フォルダーを設定する場合、このフォルダーにセキュリティを追加しないでください。 PDF/A 規格では、暗号化が許可されていません。
準拠する規格:ファイルが選択した規格に準拠しているかどうか、および準拠していない場合はどのような問題が発生しているかを示すレポートを生成します。.log ファイルは、PDF と同じフォルダーに作成されます。
Acrobat 6.0 で PDF/X-1a と PDF/X-3 の両方の規格に準拠していた PDF は、Acrobat XI ではデフォルトで PDF/X-1a に準拠します。
準拠していない場合の処理:PostScript ファイルが規格の要件に準拠していない場合に PDF を作成するかどうかを指定します。
続行:PostScript ファイルが規格の要件を満たさない場合でも PDF が作成され、問題がレポートに記述されます。
ジョブをキャンセル:PostScript ファイルが規格の要件を満たす場合のみ PDF が作成され、そうでない場合はジョブがキャンセルされます。
エラーとしてレポート:このオプションが選択されていて、仕上がりサイズまたはアートサイズがどのページにもない場合は、PostScript ファイルに noncompliant のフラグが付けられます。
仕上がりサイズをメディアサイズからのオフセットで指定(Acrobat Pro):仕上がりサイズもアートサイズも指定されていない場合に、各ページのメディアサイズに対するオフセットに基づいて仕上がりサイズの値を設定します。仕上がりサイズがメディアサイズより大きくなることはありません。
裁ち落としサイズをメディアサイズに設定(Acrobat Pro):裁ち落としサイズが指定されていない場合に、メディアサイズの値を裁ち落としサイズに使用します。
裁ち落としサイズを仕上がりサイズからのオフセットで指定(Acrobat Pro):裁ち落としサイズが指定されていない場合に、各ページの仕上がりサイズに対するオフセットに基づいて裁ち落としサイズの値を指定します。裁ち落としサイズが、仕上がりサイズより小さくなることはありません。 このオプションでは、Adobe PDF 設定ダイアログボックスの一般パネルで指定した単位を使用します。
出力インテントプロファイル名(Acrobat Pro):文書を作成するために必要な印刷条件を示します。文書は PDF/X に準拠している必要があります。文書に出力インテントのプロファイル名が指定されていない場合は、ここで選択した値が使用されます。 文書内で出力インテントを指定することがワークフローで必要な場合は、「なし」を選択します。
出力条件 ID(Acrobat Pro):出力インテントのプロファイル名のレジストリで指定した参照名を示します。詳しくは、オプションの隣の?ボタンを選択してください。
出力条件(Acrobat Pro):必要に応じて、印刷の条件を入力します。このエントリは、PDF の受信者に便利です。 詳しくは、オプションの隣の?ボタンを選択してください。
レジストリ名(URL)(Acrobat Pro):出力インテントプロファイルに関する詳細を検索するための web アドレスを示します。 URL は ICC レジストリ名に対して自動的に入力されます。レジストリ名は省略可能ですが、入力することをお勧めします。 詳しくは、オプションの隣の?ボタンを選択してください。
トラッピング(Acrobat Pro):文書のトラッピング状態を示します。PDF/X に準拠するためには、True または False の値が必要です。 文書でトラッピング状態が指定されていない場合は、ここで指定する値が使用されます。 文書でトラッピング状態を指定することがワークフローで必要な場合は、「不明を維持」を選択します。