このドキュメントでは、Acrobat XI での手順について説明します。Acrobat を使用している場合は、Acrobat ヘルプを参照してください。
バーコードについて
ユーザーがフォームのバーコードフィールドに入力したデータは、スキャンし解釈してデータベースに取り込める視覚的なパターンに変換されます。バーコードは、ユーザーが紙またはファックスでフォームを送付する場合に役立ちます。
バーコードの利点は、時間を節約して、回答を手作業で読んで記録する必要がなくなり、データ入力エラーを回避できることです。
バーコードを使用する場合の一般的なワークフローに含まれる各段階を次に示します。
フォーム作成者は、フォームの環境設定で「フィールド値の自動計算」を選択し、Acrobat でフォームを作成します。このとき、他のすべてのフィールドは通常どおりに設定します。
フォーム作成者はフォームにバーコードフィールドを追加し、必要なデータをキャプチャできるようにバーコードを設定します。
フォーム作成者は、 Reader ユーザーにフォームに対する拡張権限を付与します(Reader ユーザーが入力済みフォームを保存できるようにする場合、またはフォームに特定のバーコードフィールドが含まれている場合)。
フォーム作成者は、フォームを他のユーザーに配布します。
ユーザーはコンピューター上でフォームに入力して電子的に送信または印刷し、コピーをフォームの配布者に送付します。
受け取ったバーコードデータは、フォームを受け取ったユーザーがレビュー、整理、および使用できるように、次のいずれかの方法で解釈されます。
ファックスサーバーにファックス送信されたフォームの場合
フォームを受け取ったユーザーは、Adobe Acrobat Capture® を使用してファックスサーバーから TIFF 画像を収集し、それを Adobe LiveCycle の Barcoded Forms Decoder の監視フォルダーに配置します(これらの製品を持っている場合)。
紙で送付されたフォームの場合
フォームを受け取ったユーザーは、紙のフォームをスキャンし、LiveCycle Barcoded Forms Decoder などのアプリケーションでフォーム内のバーコードをデコードします。
Acrobat Capture および Adobe LiveCycle Barcoded Forms Decoder は、エンタープライズワークフローに適したスタンドアロン製品で、Acrobat とは別に単独で販売されています。
バーコードのデザインのヒント
バーコードのデザインや配置には、使い勝手やスペースなどの問題が影響します。例えば、エンコード可能なデータの量はバーコードのサイズによって制限されます。最適な結果を得るには、次のガイドラインに従います。
フォームを封筒に入れるときに折り目と重ならないような場所にバーコードを配置します。また、印刷時やファックス送信時に欠けてしまうことがないように、ページの端から遠ざけるようにしてください。
見やすく、スキャンしやすい場所に配置します。ハンドヘルドスキャナーを使用する場合、バーコードの幅が 4 インチ(10.3 cm)を超えないようにしてください。一般に、ハンドヘルドスキャナーを使用する場合は、高さがあって幅が狭いバーコードの方が適しています。また、ハンドヘルドスキャナーを使用する場合は、バーコードの内容を圧縮しないでください。
バーコードが、エンコードするデータの量を格納できるサイズであることを確認してください。小さすぎる場合、バーコード領域はグレー一色になります。配布前に完成したフォームをテストし、バーコード領域のサイズが十分であることを確認してください。
バーコードフィールドの作成、テスト、編集
PDF フォームのバーコードの機能を高める方法の 1 つは、カスタムスクリプトを作成することです。そのようなスクリプトを記述するには、JavaScript の基本知識を持ち、Acrobat 固有の JavaScript に精通している必要があります。詳しくは、Developing Acrobat® Applications Using JavaScript™(www.adobe.com/go/learn_acr_javascript_jp)(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。基本的な JavaScript について詳しくは、このテーマに関するリソースが多数提供されているので、それらを参照してください。
最大サイズのバーコードを挿入した後にセルサイズやスキャン方法を変更すると、バーコードがページの境界線にかかってしまうことがあります。これを回避するには、バーコードに対して適切なセルサイズおよびスキャン方法を選択します。
バーコードフィールドの追加
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Acrobat でフォームを開き、環境設定ダイアログボックスを開いて左側の「フォーム」を選択します。次に、「フィールド値の自動計算」を選択します。
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ツール/フォーム/編集を選択します。
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クイックアクセスバーのバーコードツール をクリックするか、フォーム/タスク/新しいフィールドを追加/バーコードを選択します。
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長方形をドラッグしてバーコード領域を指定し、そのバーコードフィールドをダブルクリックしてプロパティダイアログボックスを開きます。
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「値」タブで、次のいずれかの操作をおこないます。
「エンコード方法」を選択し、フォーマット(「XML」または「タブ区切り」)を選択します。「選択」ボタンをクリックし、バーコードフィールドにエンコードするフィールドを選択します。バーコードデータにフィールド名を含めない場合は、「フィールド名を含める」の選択を解除します。
「カスタムの演算スクリプト」を選択し、「編集」を選択して、JavaScript エディターダイアログボックスでカスタム JavaScript コードを入力します。
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「オプション」タブで、次のいずれかの操作をおこないます。
「PDF417」、「QR コード」または「データマトリクス」のいずれかのコードオプションを選択します。
バーコードにエンコードする前にデータを圧縮する場合は、「バーコードをエンコードする前にデータを圧縮」を選択します。回収したフォームからハンドヘルドスキャナーでデータをキャプチャする場合は、このオプションを選択しないでください。
「スキャンの方法」で、回収したフォームを処理するハードウェアの種類を、「ハンドヘルドバーコードスキャナー」、「ファックスサーバー」、「ドキュメントスキャナー」または「カスタム」から選択します。
必要に応じて、「カスタム」をクリックし、「X 次元」、「Y/X 比」および「エラー修正レベル」の値を入力します。
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また、「一般」タブと「アクション」タブでその他の設定を変更します。次に、パーコードフィールドのプロパティダイアログボックスを閉じます。
選択されているフィールドを XML 形式またはタブ区切り形式でエンコードする JavaScript コードが自動的に生成されます。バーコードフィールドのプロパティダイアログボックスが閉じられ、値を指定したバーコードがフォームに表示されます。
注意:バーコードを作成した後にフォームに新しいフィールドを追加した場合、そのフィールドは既存のバーコードのデータに自動的には含まれません。ただし、バーコードに含めるデータフィールドを手動で追加することができます。
バーコードフィールドのテスト
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フォーム/タスク/フォームの編集を閉じるを選択するか、フォームツールバーの「プレビュー」ボタンをクリックします。
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フォームに入力します。サンプルデータを使用して、各フィールドの最大情報量またはユーザーの入力例を示します。
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バーコードフィールドがグレー表示になる場合は、適切な手順に従って、バーコードフィールドのサイズを変更するか、コンテンツデータを調整します(以下の作業を参考にしてください)。
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バーコードフィールド領域が、入力したデータのすべてが収まる大きさであることを確認します。フォーム/フォームをクリアを選択して、サンプルデータを削除します。
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ファイル/上書き保存を選択します。
これで、このバーコードフォームフィールドを含むフォームを配布する準備ができました。
バーコードへのデータフィールドの追加
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フォーム編集モードで作業をしていない場合は、ツール/フォーム/編集を選択します。
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バーコードフィールドをダブルクリックします。
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「値」タブで、次のいずれかの操作をおこないます。
「エンコード方法」が選択されている場合は、「選択」を選択し、エンコードする追加のフォームフィールドを選択します。
「カスタムの演算スクリプト」が選択されている場合は、「編集」をクリックし、追加のフィールドを含めるための追加の JavaScript を記述します。
バーコードに新しいデータフィールドを含めた場合は、サンプルデータでテストして、バーコード領域のサイズが十分であることを確認してください。バーコード領域がグレー表示になる場合は、データコンテンツがバーコード領域に収まるように、バーコードのサイズまたはテキストフィールドのプロパティを調整します。
バーコードフィールドに収めるためのデータコンテンツの調整
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フォーム編集モードで作業をしていない場合は、ツール/フォーム/編集を選択します。
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バーコードのプロパティを編集して、バーコードにより多くのデータを格納できるようにするには、バーコードフィールドをダブルクリックし、次のいずれかの操作をおこないます。
「オプション」タブで、「カスタム」ボタンをクリックし、「エラー修正レベル」および「Y/X 比」に現在よりも小さな値を入力します。
「オプション」タブで、「バーコードをエンコードする前にデータを圧縮」を選択します。ただし、このオプションを選択できるのは、別売りの Adobe のソフトウェアデコーダを使用する場合だけです。
「値」タブで、データのエンコード形式として、「XML」ではなく「タブ区切り」を選択します。「XML」の方が「タブ区切り」よりも、情報のエンコードにより多くのバーコード領域を必要とします。
「オプション」タブで、別のコードオプションを選択します。
「値」タブで、「選択」ボタンをクリックし、エンコードの必要がないフィールドの選択を解除します。例えば、冗長な情報を含むフィールドはエンコードに含めないようにします。
「値」タブで、ユーザーの入力したテキストをエンコード時にすべて小文字またはすべて大文字に変換するカスタムスクリプトを入力します。
注意:アメリカの国税庁が使用している NACTP(National Association of Computerized Tax Processors)のガイドラインでは、2D バーコードデータにはすべて大文字を使用することを推奨しています。
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データを格納するバーコード領域を最小限にするには、バーコードフィールドをダブルクリックし、「値」タブに、データを英数字の大文字か小文字のいずれかに制限するカスタムスクリプトを記述します。すべて大文字またはすべて小文字のテキストは、同じテキストを大文字と小文字を入れ混ぜて書いた場合よりも、必要なバーコード領域が小さくなります。
フォームに追加のバーコードフィールドを作成することや、各バーコードフィールドに異なるデータをマッピングすることを検討します。
フォームフィールドのナビゲーションの設定
PDF 文書にタブの順序が指定されていない場合、デフォルトのタブの順序は文書構造に基づいて決定されます。ただし、アクセシビリティの環境設定で「タブの順序」オプションの選択を解除した場合は除きます。
フィールドを作成した後でタブの順序を変更できます。フォーム編集モードで作業をしている場合は、文書構造(デフォルト)、行または列に基づいてタブの順序を指定できます。フィールドパネルのフィールドをドラッグ&ドロップして手動でタブの順序を指定することもできます。編集モードで作業をしていない場合は、ページのプロパティを変更して行または列に基づいてタブの順序を指定できます。ただし、タブの順序を手動で指定することはできません。
編集モードでのタブの順序の設定
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フォーム編集モードで作業をしていない場合は、ツール/フォーム/編集を選択します。フォームタスクパネルウィンドウが開きます。
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右側のフィールドパネルで、並べ替え/タブの順序が選択されていることを確認します。
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(オプション)フィールドのタブの順序を表示するには、フォーム/タスク/フィールドを編集/タブ番号を表示を選択します。
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「タブの順序」でオプションを選択します。
タブの順序を構造に基づいて設定
文書構造に基づいて移動し、次にタグで設定されている順序に従って移動します。
タブの順序を行に基づいて設定
左上のフィールドから開始して、まず左から右に移動し、次に下に 1 行ずつ移動します。
タブの順序を列に基づいて設定
左上のフィールドから開始して、まず上から下に移動し、次に左から右に 1 列ずつ移動します。
タブの順序を手動で設定
フィールドパネル内でフィールドを必要な位置にドラッグ&ドロップできます。フィールドを別のページやラジオボタンに移動したり、ラジオボタンを別のグループに移動したりすることはできません。
タブの順序を指定しない
タブの順序を指定しないことを指定します。タブの順序は、ページプロパティの設定によって決まります。
ページプロパティでのタブの順序の設定
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フォーム編集モードで作業をしている場合は、「フォームの編集を閉じる」をクリックして編集モードを終了します。
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ページサムネールボタン をクリックするか、表示/表示切り替え/ナビゲーションパネル/ページサムネールを選択して、ページサムネールパネルを開きます。
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1 つまたは複数のページアイコンを選択し、ページサムネールパネル内のオプションメニューで、「ページプロパティ」を選択します。
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「タブの順序」でオプションを選択します。
行の順序を使用
左上のフィールドから開始して、まず左から右に移動し、次に下に 1 行ずつ移動します。
列の順序を使用
左上のフィールドから開始して、まず上から下に移動し、次に左から右に 1 列ずつ移動します。
文書構造を使用
タグ付きのフィールドを含むフォームの場合、タグで設定した順序に従います。
指定しない
既存のシーケンスを使用します。