この情報は、米国アドビシステムズ社が提供している情報をもとにローカライズし、作成したものです。

日本語環境での動作保証はしておりませんのでご了承ください。

内容 (What's Covered)

この文書では、Adobe Photoshop で作成した画像や、デジタルカメラやスキャナーの画像など、RGB カラーモードの画像を使用して、インクジェットプリンターから印刷する際の設定について説明しています。

なお、本文書では以下のようなワークフローを対象としておりません。

  • 色を緻密に再現する
  • Web 上で公開する目的の画像を準備する
  • オンラインサービスから画像をプリントする
  • 印刷所に提出する画像を準備する
  • CMYK カラーモードの画像で作業する

実際のプリント機能は、以下の技術文書において 2 つ目のトピックで説明されています。

文書番号 cpsid_90092 プリント関連の新機能とプリントの手順(Photoshop CS5)

A. カラーマネジメントとは

複数のデバイス上において可能な限り色を正確に表現するために、カラーマネジメントが行われます。人間の眼が識別できる色の範囲はきわめて広く、ディスプレイやプリンターではその色や輝度を完全に表現することはできません。また、デバイスが表現できる色や輝度の範囲はデバイスによって異なり、また印刷に使用する用紙の種類によっても異なります。

また、同じデバイスでも出力結果が異なります。ソフトウェア設定を変更せずに、異なるモデルのモニターに接続すると、同じ画像でもモニター上の表示は異なります。また、印刷設定を変更せずに、異なるプリンターに接続すると、印刷される結果は異なります。

カラーマネジメントによりこれらの問題は修正されます。ごく簡単な操作と設定を短時間行うことにより、出力の品質が向上します。複雑で細かい設定を行うことにより、更に品質を向上させることも可能ですが、この文書では、簡単な設定で品質を向上させることを趣旨としています。カラーマネジメントによって、モニターとプリンターの出力結果が近づけられますが、常に両者の間には表示に相違があります。重要なのは、カラーマネジメントによって、一定の規則にしたがって、一定の結果が得られるということです。カラーマネジメントによって、予期せず色が変化するような事態を避けることができます。

B. カラープロファイルとは

カラーマネジメントには、カラープロファイルが必要です。主に 2 種類のカラープロファイルが存在します。

  1. デバイスプロファイルは、ディスプレイやプリンター、および特定のインクや用紙に関連付けられています。これはデバイスがどのように色を表示するのか、またどの色が表示できて、どの色が表示できないのかを定義しています。
  2. 作業用プロファイルは、例えばデジタルカメラの画像などファイルに Photoshop 内で関連付けられるプロファイルです。このプロファイルでは、ファイル内の RGB 値と実際に目に見える色とが関連付けられ、どの色で描画するかが決定されます。作業用プロファイルは、ファイルの作成時に設定されます。デジタルカメラやスキャナーから取り込まれた JPEG ファイル、Photoshop で新規作成されたファイル、Camera Raw から開かれたファイルなど、どの場合でも同様です。特に一般的な作業用プロファイルは sRGB および AdobeRGB です。

1. ProPhotoRGB

このカラースペースは、デバイスから可能な限り多くの色情報を保持する場合に使用します。これは、用途を明確に理解している、より高度な印刷を行う上級者向けのカラースペースです。ProPhotoRGB を使用する上で最も重要なことは、色の階調化に伴う色損失のリスクを避けることにあり、16 ビットモードで作業を行う必要があります。ProPhotoRGB は、AdobeRGB よりも多くの色を表現することができます。AdobeRGB では表現できない、ハイエンドのインクジェットプリンターで印刷可能なより細かい色合いを表現することができます。このカラースペースには、デジタルカメラが認識できて、なおかつ出力デバイスでは表示できない非常に広範な色が含まれており、また人間の眼では認識できて入力デバイスや出力デバイスでは表現できない色も含まれています。これらの、表示や印刷ができない色が含まれる理由としては、まず第一に、カメラで認識されたいかなる情報も、ファイルを出力するまでに損なわれないということが約束されます。例えば、色相や彩度を大幅に変更して、表示や印刷ができない範囲の赤を表示可能な青に変換することができます。また一定の編集過程を経て、印刷できない極端な色を一時的に作成し、その後修復して印刷可能な範囲におさめます。(例えば、全体の彩度を強くして、その後一定の範囲を指定して削除します。)これらの拡張範囲の色を利用して、画像内の色の違いを損なうことなく編集することができます。ただし一方で、ProPhotoRGB を使用するにあたり、一定のコストが必要になります。階調化を避けるためには 16 ビットモードで作業を行う必要がありますが、そのことによってファイルサイズ、必要なメモリ、処理時間が倍増します。Photoshop の機能のほとんどは 16 ビットモードで使用することができますが、フィルタの多くは使用することができません。

2. AdobeRGB

AdobeRGB は sRGB よりも広範囲の色を表現することができます。特に、インクジェットプリンターで印刷できる彩度の高い色が含まれます。このプロファイルは、中級者用のプリンターに最適です。インクジェットプリンターで画像を印刷する場合は、作業用スペースとして AdobeRGB を使用することもできます。そのためには、デジタルカメラやスキャナーのソフトウェアや Adobe Camera Raw の設定で AdobeRGB ファイルを出力するように設定するか、または Photoshop で一からファイルを作成する場合は、新規ダイアログボックスの詳細設定セクションで、「カラープロファイル」ポップアップメニューから「Adobe RGB」を選択します。

3. sRGB

sRGB が表現可能な色の範囲は AdobeRGB よりも狭く、インクジェットプリンターではその多くの色を印刷することができます。このプロファイルは、オールインワンプリンター(スキャナーや Fax が一体化されたもの)に向いています。そのため sRGB を使用する場合、デジタルカメラやスキャナーで認識された彩度の強い領域の色、およびプリンターから出力できる色が一定の範囲で表示されなくなります。ですが sRGB では、ほとんどの画像でほとんどの色がカバーされます。インターネットに接続されているモニターのほとんどは、カラーマネジメントが行われていませんが、sRGB に類似したデバイスプロファイルがあり、また多くのオンラインプリントサービスでは、印刷するファイルに sRGB の作業用プロファイルを必要としています。そのため、インターネットやオンラインサービスに送信するファイルは、作業用スペースに sRGB を使用するか、または送信する前に sRGB に変換する必要があります。編集/プロファイルの変換を選択して、「変換後のカラースペース」を sRGB に設定するか、または Web およびデバイス用に保存ダイアログボックスで、「sRGB に変換」のチェックを入れることで、ファイルを sRGB に変換することができます。

C. より良いカラープリントの手順

モニターのキャリブレーションを行います。半年から一年の間に一度くらいの頻度で行うことを推奨します。

カラーマネジメントにおける最も基本的な手順

  1. 編集に使用するモニター用に、適切で安定した照明環境をセットアップします。時間帯による影響の少ない低めの照明で、また画面に光源が直接照射しない状態が理想的です。(電源を落としている時に光の反射や光る物体が画面に映らないようにします。)午前中は太陽光がモニターに当たり、午後は作業者の視界に太陽が入るような環境は避けるべきです。
  2. 半年程度の周期でモニターのプロファイルとキャリブレーションを行います。安価なモニターキャリブレーターでも、それを使用することにより、Windows や Mac OS に組み込まれているソフトウェアキャリブレーションよりも正確かつ安定した結果を得られるようになります。当然、モニターのキャリブレーションを全く行っていない場合に比べても品質は向上します。

どちらの方法でも、モニターのプロファイルが設定されます。Photoshop の次回起動時に、新しく作成されたプロファイルが使用されます。プロファイルの作成後に、モニターの設定、特に明るさ、コントラスト、カラー設定を変更しないよう注意してください。これらの設定を変更したり、照明環境を大幅に変更した場合は、再度プロファイルを作成する必要があります。

ノート型 PC の画面は、印刷におけるカラーマッチには向いていません。カラーマネジメントを適切に行うためには、プロファイルが作成されたモニターが必要で、モニターはプロファイル作成時と同様の手順で設定されている必要があります。ノート型 PC の画面は、高品質のデスクトップモニターと比較して色合いや明るさにムラがあり、また明るさが強めに設定されているか、環境によって自動的に明るさが調整されるように設定されています。これは照明が明るい環境でインターネットを閲覧する際には適切ですが、印刷結果が常に暗くなり、暗さの度合いにもムラがあります。

とはいえ、ノート型 PC のモニターは近年大幅に改良されています。ノート型 PC を使用して編集した画像を印刷する場合、またキャリブレーションデバイスや組み込みのソフトウェアで明るさのレベルを適切に調節できない場合は、最大レベルの 1/3 ~ 1/2 程度の明るさで試してください。印刷の品質を一定に保つためには、常にこのように設定してから画像の編集作業を行う必要があります。

使用するプリンターと用紙の組み合わせに適したプロファイルがあるか確認してください。(印刷する用紙を変更した場合は、必ず確認してください。)

近年のインクジェットプリンター、特にビジネス用途のものではなく画像の印刷に特化したものは、さまざまな種類の用紙を対象としたプロファイルが付属されており、プリンターソフトウェアの一部としてコンピューターにインストールされます。印刷に使用する用紙を変更した場合、またはプリンターの製造元と印刷用紙の製造元が異なる場合、印刷用紙の製造元などから別途プロファイルを入手しなければならない場合もあります。

安価なインクの使用は避けてください。

インクジェット用のインクは高価ですが、少ない使用量で高品質の印刷を行うためには、製造元のインクを使用するのが最も効果的な選択です。Word 文書やスプレッドシートなどの印刷時に、インクの使用を節約してください。色を正確かつ安定して再現するためには、プリンターの製造元から販売されているインクを使用するか、または Lyson などの画像専用インクを使用してください(専用インクを使用する場合も同様にプロファイルが必要です。プリンターのプロファイルは、プリンター、インク、用紙の組み合わせによって定義されます)。ストアブランドの安価なインクを使用すると、印刷の品質が低下したり、一定の結果が得られないなどの現象が発生する可能性があります。

コンピューターの作業環境をセットアップする際、モニターの近くにプリント結果を確認するための照明環境を準備してください。

モニターの付近に印刷結果を確認するための照明を設置するスペースが必要です。可能であれば、最終的に表示される場所の照明と同じ位置で、見比べやすいようにモニターの付近に設置してください。直射日光はモニターが見づらくなるため避けてください。また暗闇の場合は、モニターが見やすくなりますが、印刷結果を確認することができません。モニターの真横にプリンターを設置する場合、モニターに反射する位置に照明を設置しなければならなくなるため、適切ではありません。デスク上の一角に設置されているのが最適です。

以下の要因により、モニター上の表示と印刷結果が、完全に一致することはありません。

  1. モニターは光を放つもので、印刷物は光を反射するものです。
  2. 印刷結果は、それを確認する環境の光によって見え方が異なります。特に、白熱灯、蛍光灯、間接日光のもとで見え方が異なります。
  3. モニターの表示と印刷結果では、すべての色を一致させることができず、また明るさを表現できる範囲が異なります。たとえば、プリンターでは表現できない深い青や赤紫などを、モニターでは表示することができます。特に半光沢の用紙を使用した場合に顕著です。モニターは、プリンターよりも広い範囲の明るさを、白と黒の間で表現することができます。一方でプリンターは、モニターでは表示されない中間トーンおよび深い青緑や緑を印刷することができます。カラーマネジメントソフトウェアにより、どのデバイスでも安定して最適な結果が得られるよう、画像内の色が調整されます。特定のデバイスで表示するのが難しい彩度の強い色を除去するだけでなく、それらを近似色に置き換える処理などが行われます。そのため、デバイスで表現可能な範囲を超えている色は削除されますが、全体の見栄えが維持しながら多くの色が置き換えられます。

印刷を行う前に、必要に応じてソフトウェアの校正機能を使用し、印刷結果を確認してください。

モニターのキャリブレーションを行ったら、Photoshop で最も正確な状態で表示されるようになります。そこから適切なプロファイルを使用して印刷を行うと、印刷可能な範囲で最も正確な結果が得られるようになります。ただし上記のような要因から、両者が完全に一致することはなく、大幅に異なる場合もあります。

校正表示では、プリンターから出力可能な色や明るさの範囲に基づいて、印刷結果をプレビューして画面上に再現し、表示させます。このような相違点から、ソフトウェア上の校正結果はオリジナルに比較して色合いが鈍くなる傾向があります。この情報を基にして、画像の中の一部に対して彩度やコントラストを上げてください。校正による画面表示も、上記の理由により、印刷結果を保証するものではありませんが、印刷結果を調整するための参考として役立てることができます。

Photoshop の表示/校正設定/カスタムを選択し、以下の項目を設定して、色の校正を行います。

  • シュミレートするデバイス : シュミレートするプリンターと用紙の組み合わせ用のプロファイルを選択します。
  • RGB 値を保持 : チェックなし
  • マッチング方法 : 知覚的、または相対的な色域を保持

    (この 2 つの違いは分かりずらいですが、選択した設定は、ドキュメントをプリントする際のプリントダイアログボックスで選択された設定と合致する必要があります。)
  • 黒点の補正 : チェックを入れます
  • 紙色をシミュレート : チェックを入れます
  • 黒インキをシミュレート : チェックを入れます
  • 「OK」 をクリックします。

この設定によって、特定の用紙とプリンターの組み合わせ用の設定が用意されソフトプルーフが有効化されます。表示色の校正を選択して、ソフトプルーフによる表示のオンとオフを切り替えます。オンに切り替えたまますべての編集を行うことができます。

D. 参考

カラーマネジメントは、どれだけの手間をかけられるか、またどれだけ精密な結果を求めるかにより、ワークフローが異なるため、一定の推奨される手順が存在しません。Photoshop に関する書籍や Web サイトは多数あり、初心者から中級者向けのさまざまな手順が紹介されていますが、特定の環境でのみ有効な手順が紹介されている可能性もあります。詳細設定を変更する前に、まずは基本的な設定範囲でプリントをお試しください。

Photoshop 関連の書籍には、カラーマネジメントに関するより詳しい情報が掲載されていることがあります。(Martin Evening 氏の書籍には有用な情報が掲載されています。)Photoshop の印刷ダイアログを基にしたカラーマネジメントの手順は、過去数バージョンにおいて変更されていないため、例えば Photoshop CS2 を対象とした書籍でも参考にすることができます。

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