PDF プリセットとは、PDF 作成処理に影響を与える設定をまとめたものです。これらの設定は、PDF の使用方法に従って、ファイルサイズと品質とのバランスをとるように設計されています。定義済みのプリセットのほとんどは、InDesign CC、Illustrator CC、Photoshop CC、Acrobat などの Adobe Creative Cloud アプリケーション間で共有されます。また、独自の出力要件に合わせてカスタムプリセットを作成および共有することもできます。保存される PDF プリセットファイルには、拡張子 .joboptionsが付いています。
以下に示すプリセットのいくつかは、Extras フォルダー(プリセットがデフォルトでインストールされる場所)からカスタム設定の Settings フォルダーに移動するまで使用できません。
注意:
Acrobat Standard には Extras フォルダーは含まれていません。Extras フォルダーにインストールされたプリセットは、Acrobat Pro でのみ使用できます。
通常、デフォルト設定用の Extras フォルダーおよび Settings フォルダーは次の場所にあります。
(Windows XP)Documents and Settings¥All Users¥Application Data¥Adobe¥Adobe PDF
(Windows Vista、Windows 7 または Windows 8)ProgramData¥Adobe¥Adobe PDF
(Mac OS 上の Acrobat Pro)ライブラリ/Application Support/Adobe PDF
Distiller でインストールされるデフォルトの設定ファイルは、読み取り専用
カスタム設定は次の場所にあります。
(Windows XP)Documents and Settings¥[username]¥Application Data¥Adobe¥Adobe PDF¥Settings
(Windows Vista、Windows 7 または Windows 8)ユーザー¥[username]¥AppData¥Roaming¥Adobe¥Adobe PDF¥Settings
(Mac OS 上の Acrobat Pro)ユーザ/[username]/Library/Application Support/Adobe/Adobe PDF/Settings
プリセットの中には、一部の Adobe Creative Cloud アプリケーションで使用できないものがあります。
注意:
PDF 設定は定期的に確認してください。これらの設定は、自動的にデフォルト設定に戻ることはありません。PDF を作成するアプリケーションおよびユーティリティは、最後に定義または選択された PDF 設定のセットを使用します。
高品質印刷
デスクトッププリンターや校正デバイスでの高品質印刷に適した PDF を作成します。このプリセットでは、PDF 1.4 を使用し、カラー画像とグレースケール画像を 300 ppi に、白黒画像を 1200 ppi にダウンサンプルします。また、すべてのフォントのサブセットを埋め込み、カラーを変更せず、透明効果の統合もおこないません(透明効果に対応したファイルタイプの場合)。これらの PDF は、Acrobat 5.0 および Acrobat Reader 5.0 以降で開くことができます。
オーバーサイズページ(Acrobat Pro)
200 x 200 インチ(508 x 508 cm) より大きい図面や設計図の表示と印刷に適した PDF を作成します。これらの PDF は、Acrobat および Reader 7.0 以降で開くことができます。
PDF/A-1b: 2005(CMYK および RGB)
電子文書の長期保存(アーカイブ)用に使用します。PDF/A-1b は、PDF 1.4 を使用し、選択された規格に従って、すべてのカラーを CMYK または RGB のいずれかに変換します。これらの PDF は Acrobat および Reader のバージョン 5.0 以降で開くことができます。
PDF/X‑1a(2001 および 2003)(Acrobat Pro)
PDF/X-1a では、すべてのフォントを埋め込むこと、適切な PDF 境界ボックスを指定すること、カラーを CMYK、特色またはその両方として表示することが必要になります。この規格に準拠したファイルには、使用する印刷条件に関する情報を含める必要があります。PDF/X-1a に準拠して作成された PDF ファイルは、Acrobat 4.0 および Acrobat Reader 4.0 以降で開くことができます。
PDF/X-1a では PDF 1.3 を使用し、カラー画像とグレースケール画像を 300 ppi に、白黒画像を 1200 ppi にダウンサンプルします。すべてのフォントのサブセットを埋め込み、タグなし PDF を作成して、高解像度設定を使用して透明効果を統合します。
注意:
PDF/X1‑a:2003 および PDF/X‑3(2003)プリセットはインストール時にコンピューターに保存されます。ただし、Extras フォルダーから Settings フォルダーに移動するまで使用できません。
PDF/X‑4(Acrobat Pro)
このプリセットは、PDF 1.4 に基づき、ライブな透明効果をサポートします。PDF/X‑4 のカラーマネジメント仕様と International Color Consortium(ICC)色仕様は PDF/X-3 と同じです。PDF/X‑4 準拠ファイルは、Creative Suite 3 アプリケーション(Illustrator、InDesign、Photoshop)を使用して直接作成できます。Acrobat 9 では、プリフライト機能を使用して、PDF を PDF/X‑4 DRAFT に変換します。
PDF/X‑4 に準拠して作成された PDF ファイルは、Acrobat 7.0 および Reader 7.0 以降で開くことができます。
プレス品質
高品質の印刷工程用に PDF ファイルを作成します(例えば、デジタル印刷用、またはイメージセッタやプレートセッタ向けの色分解用)。ただし、作成されるファイルは PDF/X 準拠ではありません。このプリセットでは、コンテンツの品質が最優先されます。このプリセットの目的は、印刷・出力会社で文書を正しく印刷するために必要となるすべての情報を PDF ファイル内に保持することにあります。このオプションのセットでは、PDF 1.4 を使用し、カラーを CMYK に変換し、カラー画像とグレースケール画像を 300 ppi に、白黒画像を 1200 ppi にダウンサンプルします。すべてのフォントのサブセットを埋め込み、透明効果を保持します(透明効果に対応したファイルタイプの場合)。
これらの PDF ファイルは、Acrobat 5.0 および Acrobat Reader 5.0 以降で開くことができます。
注意:印刷・出力会社に送る PDF ファイルを作成する場合は、あらかじめ出力解像度などの設定をどのようにするかを確認してください。または、推奨された設定を持つ .joboptions ファイルの提供を受けてください。特定の印刷・出力会社用に Adobe PDF 設定をカスタマイズし、独自の .joboptions ファイルを提供する必要がある場合もあります。
Rich Content PDF(Acrobat Pro)
タグ、ハイパーリンク、ブックマーク、インタラクティブ要素およびレイヤーを含む PDF ファイルを作成します。このプリセットでは PDF 1.6 を使用し、すべてのフォントのサブセットを埋め込みます。また、バイトサービングするための最適化もおこないます。これらの PDF ファイルは、Acrobat および Reader 7.0 以降で開くことができます(Rich Content PDF のプリセットは Extras フォルダーの中にあります)。
注意:
このプリセットは、一部のアプリケーションの初期バージョンでは「eBook」という名前でした。
最小ファイルサイズ
Web またはインターネットでの表示、または電子メールシステムでの配信に適した PDF ファイルを作成します。このオプションセットは、圧縮、ダウンサンプリングおよび比較的低い画像解像度を使用します。すべてのカラーが sRGB に変換され、(Adobe Acrobat Distiller による変換の場合)フォントは埋め込まれません。また、バイトサービングするための最適化も行います。
これらの PDF ファイルは、Acrobat および Reader 6.0 以降で開くことができます。
標準
デスクトッププリンターまたはデジタルコピー機での印刷、CD での配布、クライアントに送付する校正刷りの作成を目的とした PDF ファイルを作成します。このオプションセットは、ファイルサイズを小さくするために圧縮とダウンサンプリングを使用します。ただし、すべての(使用可能な)フォントのサブセットの埋め込み、すべての色の sRGB への変換、および標準的な解像度での出力が行われます。Windows フォントのサブセットは、デフォルトでは埋め込まれません。この設定で作成された PDF ファイルは、Acrobat および Reader 6.0 以降で開くことができます。
PDF/X、PDF/E および PDF/A 規格は International Organization for Standardization(ISO)で定義されています。PDF/X 規格はグラフィックコンテンツの交換、PDF/E 規格は技術文書のインタラクティブな交換、PDF/A 規格は電子文書の長期アーカイブに適用されます。PDF を変換する際、処理対象のファイルが指定された規格に適合しているかどうかがチェックされます。選択された ISO 規格に PDF が適合しない場合は、変換をキャンセルするか、規格に準拠しないファイルを作成するかを確認するメッセージが表示されます。
印刷出版ワークフローで最も一般的な規格は、PDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X‑4(2008 年導入)などの複数の PDF/X 形式です。PDF のアーカイブで最も一般的な規格は、PDF/A-1a と PDF/A-1b(PDF/A-1a よりも要件が緩和されている)です。現在、PDF/E のバージョンは PDF/E-1 のみです。
PDF/X、PDF/E および PDF/A について詳しくは、ISO および AIIM Web サイトを参照してください。
PDF/A ファイルの作成と操作について詳しくは、www.adobe.com/go/learn_acr_pdfa_jp を参照してください。
特定のジョブまたは出力デバイスに応じてカスタム変換設定を作成することもできます。カスタム変換設定では、文書のフォントの埋め込み条件、ベクトルオブジェクトと画像の圧縮またはサンプリング方法、変換後の PDF に OPI(Open Prepress Interface)コメントなどのハイエンド印刷情報を含めるかなどを指定することができます。デフォルト設定ファイルは変更できませんが、複製して新規設定ファイルの作成に利用することができます。
注意:
PDF がハイエンド印刷用である場合は、出力解像度などの推奨設定を含むカスタム .joboptions ファイルをサービスプロバイダーから入手してください。これにより、PDF の特性を印刷ワークフロー用に最適化してプロバイダーに渡すことができます。
-
Acrobat Distiller で、カスタム設定のひな形として使用する定義済みのオプションセットをデフォルト設定メニューから選択し、設定/Adobe PDF 設定の編集を選択します。
文書作成アプリケーションまたはユーティリィティで、(通常はページ設定ダイアログボックスまたは印刷ダイアログボックスで)ターゲットプリンターとして「Adobe PDF」を選択し、「プロパティ」クリックします。
(Windows)Acrobat PDFMaker ダイアログボックスで、「設定」タブの「 詳細設定」をクリックします。
注意:Windows では、Adobe PDF 設定ダイアログボックスで、別のプリセットに切り替えることができます。これを実行するには、左下にある「すべての設定を表示」を選択し、左側の一覧からプリセットを選択します。
Adobe PDF 設定ダイアログボックス(Windows)
互換性のある形式
PDF の互換性レベルを設定します。最新バージョン(この場合はバージョン 1.7)を使用して、最新の機能をすべて取り込みます。作成した PDF を広く配布する場合は、すべてのユーザーが文書を表示および印刷できるように、以前のバージョンを選択します。
オブジェクトレベルの圧縮
構造情報(しおり、アクセシビリティ、非圧縮オブジェクトなど)を圧縮し、この情報を Acrobat 5.0 または Reader 5.0 で表示および使用できないようにします。「タグのみ」は構造情報を圧縮します。「オフ」の場合は圧縮は適用されません。
注意:
詳細設定パネルで「DSC コメントを処理」が選択されていて、Viewing Orientation コメントが含まれている場合は、これらのコメントを優先してページの向きが決定されます。
解像度
印刷先のプリンターに基づいて PostScript ファイルが解像度をエミュレートするために使用します。指定できる値の範囲は 72 ~ 4000 です。元の PostScript ファイルで定義されている解像度をエミュレートしながら特定のプリンターで PDF を印刷する場合以外は、デフォルトの設定を使用します。
注意:
解像度の設定を上げるとファイルサイズが大きくなり、処理にかかる時間が長くなる可能性があります。
サムネールの埋め込み
PDF の各ページのサムネールプレビューを埋め込むと、ファイルサイズが大きくなります。Acrobat 5.0 以降のユーザーが PDF を表示および印刷する場合は、この設定の選択を解除します。これらのバージョンでは、PDF のページパネルをクリックするたびに動的にサムネールが生成されます。
Web 表示用に最適化
Web サーバーからすばやくアクセス(ページ単位でダウンロード、つまりバイトサービング)できるように、ファイルを再構築します。このオプションでは、テキストおよびラインアートは圧縮されます。画像パネルでの圧縮の選択は無効になります。
画像パネルのオプションは、カラー画像、グレースケール画像および白黒画像の圧縮およびリサンプルを指定します。これらのオプションを試して、ファイルサイズと画質のバランスを調整してください。
カラー画像とグレースケール画像の解像度の設定は、そのファイルを印刷するときの画面のスクリーン線数の 1.5 倍から 2 倍が適当です。白黒画像の解像度は、出力デバイスと同じにします。ただし、1500 dpi を超える解像度で白黒画像を保存しても、ファイルサイズが大きくなるだけで画質は大幅に向上しません。地図などの拡大される画像に高解像度が必要な場合があります。
注意:
白黒画像をリサンプルした場合に、画像が何も表示されないなど、予想外の結果が生じることがあります。このような場合は、リサンプルをオフにして、もう一度ファイルを変換してみてください。このような問題は、サブサンプルを選択した場合に発生することが多く、ダウンサンプルではほとんど起こりません。
次の表に、一般的なプリンターの解像度(dpi)、デフォルトのスクリーン線数(lpi)、および画像をリサンプルする解像度(ppi)を示します。例えば、600 dpi のレーザープリンターで印刷する場合は、画像をリサンプルする解像度を 170 ppi に設定します。
プリンターの解像度 |
デフォルトのスクリーン線数 |
画像の解像度 |
---|---|---|
300 dpi(レーザープリンター) |
60 lpi |
120 ppi |
600 dpi(レーザープリンター) |
85 lpi |
170 ppi |
1200 dpi(イメージセッタ) |
120 lpi |
240 ppi |
2400 dpi(イメージセッタ) |
150 lpi |
300 ppi |
サブサンプル(ニアレストネイバー法)
領域全体を、そのサンプル領域から選択されたピクセルで置き換えます。指定された解像度を使用します。ダウンサンプリングよりも変換時間は速くなりますが、結果の画像の滑らかさと連続性は低下します。
ダウンサンプル(バイキュービック法)
(ダウンサンプリングのような)単純平均ではなく、加重平均を使用してピクセルカラーを決定します。この方法は時間がかかりますが、色調のグラデーションが最も滑らかになります。
グレーのアンチエイリアス
白黒画像のギザギザの端をなめらかにします。2 ビット、4 ビットまたは 8 ビットを選択します。これにより、それぞれ 4、16 または 256 のグレーレベルが指定されます(アンチエイリアスにより、小さな画像や細い線はぼやけて表示されることがあります)。
注意:
テキストとラインアートの圧縮は常にオンです。オフに切り替えるには、適切な Distiller パラメーターを設定します。詳しくは、Acrobat Developer Center(www.adobe.com/go/learn_acr_devcenter_jp)(PDF、英語のみ)の SDK に関する情報を参照してください。
ポリシー
画像ポリシーダイアログボックスを開きます。このダイアログボックスで、指定した解像度よりも低いカラー画像、グレースケール画像および白黒画像の処理オプションを設定できます。それぞれのタイプの画像について、解像度の値を入力し、「無視する」、「警告した後続行する」または「ジョブをキャンセル」を選択します。
「フォント」オプションでは、PDF に埋め込むフォントを設定できます。また、PDF で使用する文字のサブセットを埋め込むかどうかも設定できます。OpenType® フォント、TrueType フォントおよび PostScript フォントを埋め込むことができます。ライセンス制限付きのフォントは、名前の隣に鍵のアイコン が付いています。ライセンス制限付きのフォントを選択すると、Adobe PDF 設定ダイアログボックスに制限の内容が表示されます。
注意:
同一フォントのサブセットを含む PDF ファイルを 1 つにまとめると、そのフォントサブセットもまとめられます。
OpenType フォントを埋め込む
ファイルで使用するすべての OpenType フォントを埋め込み、ラインレイアウトの詳細設定に関する OpenType フォント情報を保持します。このオプションは、一般パネルで、互換性のある形式メニューから「Acrobat 7.0 (PDF 1.6)」または「Acrobat 8 (PDF 1.7)」を選択した場合にのみ使用できます。注意 :この機能は、欧文の OpenType フォントにのみ、適用されます。
サブセットの全フォントに対する割合
フォントのサブセットだけを埋め込む場合のしきい値のパーセンテージを指定します。例えば、しきい値を 35% に指定すると、フォントに含まれるグリフ(字形)のうち 35% 未満しか使用されていない場合には、使用されている文字だけが埋め込まれます。日中韓フォントは、この設定にかかわらず、常にサブセットフォントが埋め込まれます。
注意:
ライセンス制限付きのフォントは、名前の隣に鍵のアイコンが付いています。ライセンス制限付きのフォントを選択すると、Adobe PDF 設定ダイアログボックスに制限の内容が表示されます。
新規フォント名
必要なフォントがフォントの一覧に表示されない場合は、「新規フォント名」をクリックします。フォントの名前を入力し、「常に埋め込むフォント一覧に追加」(または「常に埋め込まないフォント一覧に追加」)を選択し、「追加」をクリックします。
注意:
フォントには、フォントのデザイナーによって、PDF ファイルにフォントが埋め込まれないように設定されているものがあります。
注意:
Acrobat には Times、Helvetica および ZapfDingbats のフォントは含まれていません。これらのフォントを PDF の受信者が表示し、印刷できるようにするには、作成する PDF にこれらのフォントを埋め込んでおく必要があります。
PostScript ファイルに含まれるカラーマネジメント情報を使用するか、Distiller の CSF(カラー設定ファイル)を使用するか、カスタム設定を定義するかに従って、Adobe PDF 設定ダイアログボックスのカラーパネルで、すべてのカラーマネジメント情報を設定します。
カラーマネジメントポリシー
Distiller カラー設定ファイルを使用しない場合に Distiller が PostScript 内の管理されていないカラーを変換する方法を指定します。これは、「カラー設定」で「なし」を選択した場合に使用できます。
注意:
「カラーマネジメントポリシー」の値は、一般パネルで選択した互換性の設定に応じて、PDF に異なる影響を与える場合があります。
文書レンダリングインテント
カラースペース間でカラーをマップする方法を選択します。選択した方法で得られる結果は、カラースペースのプロファイルによって異なります。例えば、プロファイルによって、方法が異なっても結果が同じになるものもあります。
Acrobat は、4 つのマッチング方法(知覚的、彩度、相対的な色域を維持、絶対的な色域を維持)を他の Creative Suite アプリケーションと共有します。
Acrobat には、「保存」というレンダリングインテントもあります。これは、インテントが PDF 内ではなく出力デバイス内で指定されることを意味します。多くの出力デバイスのデフォルトインテントは、「相対的な色域を維持」になっています。
注意:
どのレンダリングインテントも、PDF ファイルが作成される前のカラーマネジメント処理によって無視することも無効にすることもできます。
作業用スペース
「カラーマネジメントポリシー」の「カラー変更なし」以外のオプションでは、作業用スペースとして使用する ICC プロファイルを指定するために、変換済み PDF のグレースケール、RGB、CMYK の各カラースペースを定義および補正します。
注意:
これら 3 つの作業用スペースのすべてに対して「なし」を選択すると、「カラー変更なし」オプションを選択したのと同じ結果になります。
注意:
ICC プロファイル(印刷・出力会社に送るプロファイルなど)を追加したい場合は、推奨保存先の、Windows¥System¥Color フォルダー(Windows)またはシステムフォルダー内の ColorSync フォルダー(Mac OS)にコピーします。
キャリブレーションされた CMYK カラースペースの CMYK 値を維持
これを選択すると、デバイスに依存しない CMYK 値はデバイスに依存する(DeviceCMYK)値として扱われ、デバイスに依存しないカラースペースは破棄され、PDF/X-1a ファイルは「すべて CMYK 色に変換」値を使用します。選択しない場合は、「カラーマネジメントポリシー」が「すべて CMYK 色に変換」に設定されていれば、デバイスに依存しないカラースペースは CMYK に変換されます。
アンダーカラーリムーバル(UCR)と墨版合成を保存
これらの設定が PostScript ファイル内にある場合に保存します。墨版合成によって、カラーを再現するときに使用する黒の量が計算されます。アンダーカラーリムーバル(UCR)によって、シアン、マゼンタおよびイエローが低減され、墨版合成が補正されます。UCR ではインキの使用量が減少するため、非コート紙に適しています。
「詳細設定」オプションでは、PDF に保存する PostScript 文書構造化規約(DSC)コメントの指定、および PostScript からの変換に影響するその他のオプションの設定方法の指定をおこないます。PostScript ファイルの DSC コメントには、ファイルに関する情報(作成元のアプリケーション、作成日、用紙の向きなど)、およびファイル内のページを記述するための情報(prologue の開始ステートメントと終了ステートメントなど)が入っています。DSC コメントは、文書を印刷したり出版したりする場合に便利です。
詳しくは、Adobe PDF Technology Center(www.adobe.com/go/learn_acr_pdftechnology_jp)で関連文書(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。
注意:
「ASCII フォーマット」オプションは Distiller からは削除されましたが、Distiller パラメーターとしては使用できます。
PostScript ファイル内の Adobe PDF 設定を優先する
現在の PDF 設定ファイルではなく PostScript ファイルに保存されている設定を使用します。PDF 設定のカスタマイズについて詳しくは、Acrobat Developer Center(www.adobe.com/go/learn_acr_devcenter_jp)で SDK 情報(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。
PostScript XObject を使用
PostScript XObject は、PDF を PostScript プリンターで印刷するときに使用する PostScript コードの一部を格納します。他のオプションがない、制御されたワークフローでのみ使用します。デフォルト設定メニューから「標準」または最小「ファイルサイズ」が選択されている場合に使用できます。
グラデーションをスムーズシェーディングに変換
ブレンドを Acrobat 4.0 以降のスムーズシェーディングに変換して、品質を向上させ、PDF のファイルサイズを小さくします。Distiller では、Adobe Illustrator、Adobe InDesign、Adobe FreeHand®、CorelDRAW、QuarkXPress および Microsoft PowerPoint からのグラデーションを変換できます。
copypage の動作を PostScript レベル 2 互換にする
PostScript 言語レベル 3 ではなく、PostScript 言語レベル 2 で定義された copypage オペレーターを使用します。このオプションを選択すると、copypage オペレータによってページコピーの処理が行われます。このオプションを選択しない場合、showpage オペレータが同等の処理を実行しますが、グラフィック状態の再初期化は行われません。
オーバープリント設定を維持
PostScirpt ファイルに存在するすべてのオーバープリント設定を保持します。オーバープリント設定では、1 つのインキを別のインキの上に印刷することによってカラーが作成されます。
PDF ファイル内に Adobe PDF 設定を保存
PDF の作成に使用する設定ファイル(.joboptions)を添付ファイルとして埋め込みます(設定ファイルを表示するには、Acrobat で、表示/表示切り替え/ナビゲーションパネル/添付ファイルを選択します)。
可能な限り JPEG 画像データを変換しない
圧縮済み JPEG 画像(DCT エンコーディングによって既に圧縮されている画像)を、再圧縮せずに処理します。選択しない場合は、圧縮解除のみが行われ再圧縮は行われないため、パフォーマンスが向上します。
Portable Job Ticket を PDF 内に保存
PostScript Job Ticket を PDF 内に保存します。Job Ticket は PostScript ファイルを記述します。後で、ワークフロー内や PDF の印刷で使用できます。
Prologue.ps と Epilogue.ps を使用
Prologue ファイルと Epilogue ファイルを各ジョブとともに送信します。これらのファイルを使用すると、変換する各 PostScript ジョブの最初または最後に実行するカスタム PostScript コードを追加できます。
サンプルの Prologue.ps および Epilogue.ps ファイルは、Windows XP では ¥Documents and Settings¥All Users¥Application Data¥Adobe¥Adobe PDF¥Distiller¥Data に、Windows Vista では ¥ユーザー¥All Users¥Adobe¥Adobe PDF¥Distiller¥Data に、Windows 7 および Windows 8 では ¥ユーザー¥[Username]¥AppData¥Roaming¥Adobe¥Adobe PDF¥Distiller¥Data に、Mac OS では /ライブラリ/Application Support/Adobe/Adobe PDF/Distiller/Data にあります。
Windows のエクスプローラーでは、通常、Application Data フォルダーは非表示になっています。このフォルダーを表示するには、ツール/フォルダーオプションを選択し、「表示」タブをクリックして、「すべてのファイルとフォルダーを表示する」を選択します。Windows 7 の場合、スタート/コントロール パネル/フォルダー オプション/表示/隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示するを選択します。または、「アドレス」テキストボックスにパスを入力します。
注意:
Acrobat Standard では、Prologue.ps ファイルと Epilogue.ps ファイルは、正しい場所に保存されていないと処理されません。これら 2 つのファイルは合わせて使用する必要があります。
注意:
Acrobat Pro では、Prologue.ps ファイルと Epilogue.ps ファイルは、正しい場所に保存されていないと処理されません。これら 2 つのファイルは合わせて使用する必要があります。Prologue ファイルと Epilogue ファイルが監視フォルダーの in フォルダーおよび out フォルダーと同じレベルにある場合、Prologue ファイルと Epilogue ファイルは、Distiller フォルダーにあるファイルの代わりに使用されます。
OPI コメントを保存
FPO(For Placement Only)画像または注釈を、OPI(Open Prepress Interface)バージョン 1.3 および 2.0 をサポートするサーバーにある高解像度の画像に置き換えるために必要な情報を保持します。詳しくは、www.adobe.comlearn_acr_opi2spec_jp で OPI 2.0 仕様(PDF 形式、英語のみ)を参照してください。
規格のオプションを使用することによって、PDF を作成する前に、PostScript ファイルの内容を確認し、PDF/X1-a、PDF/X-3 または PDF/A の基準を満たしているかどうかを確認できます。PDF/X 準拠ファイルについては、規格パネルでオプションを選択することにより、PostScript ファイルがその他の基準を満たすように設定することもできます。これらのオプションが使用可能かどうかは、選択した規格に応じて異なります。Acrobat のプリフライト機能を使用して、PDF/X 準拠の PDF から PDF/X ファイルを作成することもできます
注意:
PDFMaker(Microsoft Word やその他のアプリケーションファイルの PDF 変換に使用される変換方法)では、PDF/X 準拠ファイルは作成されません。
注意:
Acrobat Pro で PDF/A 準拠ファイルの作成用に監視フォルダーを設定する場合、このフォルダーにセキュリティを追加しないでください。PDF/A 規格では、暗号化が許可されていません。
準拠する規格
ファイルが選択した規格に準拠しているかどうか、および準拠していない場合はどのような問題が発生しているかを示すレポートを生成します。.log ファイルは、PDF と同じフォルダーに作成されます。
注意:
Acrobat 6.0 で PDF/X-1a と PDF/X-3 の両方の規格に準拠していた PDF は、Acrobat XI ではデフォルトで PDF/X-1a に準拠します。
エラーとしてレポート(Acrobat Pro)
このオプションが選択されていて、仕上がりサイズまたはアートサイズがどのページにもない場合は、PostScript ファイルに noncompliant のフラグが付けられます。
仕上がりサイズをメディアサイズからのオフセットで指定(Acrobat Pro)
仕上がりサイズもアートサイズも指定されていない場合に、各ページのメディアサイズに対するオフセットに基づいて仕上がりサイズの値を設定します。仕上がりサイズがメディアサイズより大きくなることはありません。
裁ち落としサイズを仕上がりサイズからのオフセットで指定(Acrobat Pro)
裁ち落としサイズが指定されていない場合に、各ページの仕上がりサイズに対するオフセットに基づいて裁ち落としサイズの値を指定します。裁ち落としサイズが、仕上がりサイズより小さくなることはありません。このオプションでは、Adobe PDF 設定ダイアログボックスの一般パネルで指定した単位を使用します。
出力インテントプロファイル名(Acrobat Pro)
文書を作成するために必要な印刷条件を示します。文書は PDF/X に準拠している必要があります。文書に出力インテントのプロファイル名が指定されていない場合は、ここで選択した値が使用されます。文書内で出力インテントを指定することがワークフローで必要な場合は、「なし」を選択します。
レジストリ名(URL)(Acrobat Pro)
出力インテントプロファイルに関する詳細を検索するための Web アドレスを示します。URL は ICC レジストリ名に対して自動的に入力されます。レジストリ名は省略可能ですが、入力することをお勧めします。詳しくは、オプションの隣の?ボタンをクリックしてください。
トラッピング(Acrobat Pro)
ドキュメントのトラップ状態を示します。PDF/X に準拠するためには、True または False の値が必要です。文書でトラッピング状態が指定されていない場合は、ここで指定する値が使用されます。文書でトラッピング状態を指定することがワークフローで必要な場合は、「不明を維持」を選択します。
PDF を作成するときは、使用する PDF バージョンを指定する必要があります。PDF バージョンを変更するには、PDF として保存するときまたは PDF プリセットを編集するときに、別のプリセットに切り替えるか、互換性オプションを選択します。
原則として、下位互換性が特に必要でない限り最新バージョン(この場合はバージョン 1.7)を使用してください。最新バージョンには、最新の機能がすべて含まれています。ただし、広く配布するドキュメントを作成する場合は、Acrobat 5.0(PDF 1.4)または Acrobat 6.0(PDF 1.5)を選択して、すべてのユーザーがドキュメントを表示およびプリントできるようにすることをお勧めします。
次の表は、異なる互換性設定を使用して作成した PDF の機能の一部を比較したものです。
注意:
Acrobat 8.0 および 9.0 でも PDF 1.7 を使用します。
Acrobat 4.0 (PDF 1.3) |
Acrobat 5.0 (PDF 1.4) |
Acrobat 6.0 (PDF 1.5) |
Acrobat 7.0(PDF 1.6)および Acrobat X(PDF 1.7) |
---|---|---|---|
PDF は、Acrobat 3.0 および Acrobat Reader 3.0 以降で開くことができます。 |
PDF は、Acrobat 3.0 および Acrobat Reader 3.0 以降で開くことができます。ただし、新しいバージョンに固有の機能については使用できない場合や表示されない場合があります。 |
ほとんどの PDF は、Acrobat 4.0 および Acrobat Reader 4.0 以降で開くことができます。ただし、新しいバージョンに固有の機能については使用できない場合や表示されない場合があります。 |
ほとんどの PDF は、Acrobat 4.0 および Acrobat Reader 4.0 以降で開くことができます。ただし、新しいバージョンに固有の機能については使用できない場合や表示されない場合があります。 |
透明効果を使用したアートワークを含めることはできません。透明部分は PDF 1.3 に変換する前に統合する必要があります。 |
アートワーク内での透明効果部分の使用がサポートされています。透明部分の統合は Acrobat Distiller の機能によって行われます。 |
アートワーク内での透明効果部分の使用がサポートされています。透明部分の統合は Acrobat Distiller の機能によって行われます。 |
アートワーク内での透明効果部分の使用がサポートされています。透明部分の統合は Acrobat Distiller の機能によって行われます。 |
レイヤーはサポートされません。 |
レイヤーはサポートされません。 |
Illustrator CS や InDesign CS 以降の、レイヤー化された PDF ドキュメントの生成をサポートするアプリケーションで PDF を作成すると、レイヤーが維持されます。 |
Illustrator CS や InDesign CS 以降の、レイヤー化された PDF ドキュメントの生成をサポートするアプリケーションで PDF を作成すると、レイヤーが維持されます。 |
8 チャンネルの DeviceN カラースペースがサポートされます。 |
8 チャンネルの DeviceN カラースペースがサポートされます。 |
最高 31 チャンネルまでの DeviceN カラースペースがサポートされます。 |
最高 31 チャンネルまでの DeviceN カラースペースがサポートされます。 |
マルチバイトのフォントが埋め込めます。埋め込み時のフォントの変換は Distiller によって行われます。 |
マルチバイトのフォントが埋め込めます。 |
マルチバイトのフォントが埋め込めます。 |
マルチバイトのフォントが埋め込めます。 |
40-bit RC4 セキュリティがサポートされます。 |
128-bit RC4 セキュリティがサポートされます。 |
128-bit RC4 セキュリティがサポートされます。 |
128-bit RC4 および 128-bit AES(Advanced Encryption Standard)セキュリティがサポートされます。 |
自分の Adobe PDF プリセット定義を保存して再使用できます。また、保存したプリセットファイルのコピーを他のユーザーに送信して、カスタムプリセットを共有することもできます。他のユーザーは、自分のコンピューターにインストールした Distiller アプリケーションに追加できます。
PDF 設定ファイルには、.joboptions 拡張子が付いています。カスタムプリセットファイルは次の場所に保存されます。
(Windows XP)Documents and Settings¥[username]¥Application Data¥Adobe¥Adobe PDF¥Settings
(Windows Vista、Windows 7、Windows 8)ユーザー¥[username]¥AppData¥Roaming¥Adobe¥Adobe PDF¥Settings
(Mac OS 版 Acrobat Pro)ユーザ/[username]/ライブラリ/Application Support/Adobe/Adobe PDF/Settings
PostScript ファイルを PDF に変換する場合、ベクトルオブジェクト(テキストやラインアートなど)を圧縮し、画像を圧縮およびダウンサンプルできます。ラインアートは数式で記述されたグラフィックのことで、通常、Adobe Illustrator などの描画アプリケーションで作成します。画像(カラー、白黒、グレースケール)はピクセルとして記述されたグラフィックのことで、Adobe Photoshop などのアプリケーションまたはスキャンによって作成します。白黒画像には、ペイントアプリケーションで作成した白黒イラストや 1 ビットの色深度でスキャンした画像が含まれます。
ダウンサンプルをおこなうと(またはピクセルの数を減らすと)、画像から情報が削除されます。Distiller では、補間方法としてバイリニア法によるダウンサンプル、バイキュービック法によるダウンサンプルまたはニアレストネイバー法によるサブサンプルを指定することにより、ピクセルをどのように削除するかを決定します。選択した設定によっては、圧縮とダウンサンプルにより、細部と精度を完全にまたはほぼ完全に保持したまま大幅に PDF のサイズを削減できます。
通常、Distiller で PDF ファイルに変換するときは、ファイルに含まれるすべての画像に圧縮の設定を適用します。ただし、個別の画像に異なる圧縮およびダウンサンプル方法を割り当てることができます。
Adobe Photoshop CC を使用して、Distiller を使用する前に既存の画像ファイルをリサンプルおよび圧縮します。Distiller で PDF を作成する準備ができたら、圧縮およびダウンサンプルまたはサブサンプルのオプションの選択を解除します。
異なる方法で処理したい文書内の各部分の PostScript ファイルを個別に作成し、各部分に異なる圧縮オプションを適用して PDF ファイルに変換します。次に、Distiller を使用してそれらのファイルを単一の PDF に結合します。
画像編集アプリケーション(Adobe Photoshop CC など)でカラー画像、グレースケール画像および白黒画像を作成する場合、そのアプリケーションで各画像を保存するときに圧縮およびダウンサンプル設定を選択します。
PostScript ファイルの画像の直前に Distiller のパラメーターを挿入します。この方法は、文書内の各画像を異なる方法で処理したい場合に使用します。この方法は、PostScript プログラミングの知識が必要となるため、上級者向けです。パラメーターの使い方について詳しくは、Acrobat Developer Center(www.adobe.com/go/learn_acr_devcenter_jp)で SDK マニュアル(英語のみ)を参照してください。
注意:
挿入した Distiller のパラメーターを適用するには、Distiller の Adobe PDF 設定ダイアログボックスの詳細設定パネルにある「PostScript ファイル内の Adobe PDF 設定を優先する」を選択します。このオプションによって、Adobe PDF ダイアログボックスで選択した設定は無視されます。
Distiller では、テキストとラインアートに ZIP 圧縮、カラー画像とグレースケール画像に ZIP または JPEG 圧縮、白黒画像に ZIP、CCITT Group 3、CCITT Group 4 または Run Length 圧縮を使用します。

A. ZIP B. JPEG C. CCITT D. Run Length
ZIP
単色の広い領域がある画像か、繰り返しのパターンが使われている白黒画像に効果が大きい圧縮方法です。Acrobat では 8 ビット ZIP 圧縮のみがサポートされています。これは、劣化なし、つまりファイルサイズを小さくするためのデータの削除が行われないため、画質に影響しません。
注意:
アドビ システムズ社の ZIP フィルターでは、Jean-loup Gailly と Mark Adler によって開発された zlib パッケージを使用しています。
JPEG
連続階調の写真など、グレースケール画像またはカラー画像に適しています。JPEG は劣化を伴う圧縮形式です。つまり、画像データの一部が削除され、画質が落ちます。ただし、情報の損失を最小限に抑えてファイルサイズを縮小できます。JPEG 圧縮ではデータが削除されるので、ZIP 圧縮よりもファイルサイズを大幅に縮小することができます。