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アクションによる自動処理

より効率的に作業できるように、Illustrator の一般的なタスクを自動化するアクションを作成して操作する方法について説明します。

アクションについて

アクションとは、単一または複数のファイルに対して実行される、メニューコマンド、パネルオプション、ツールアクションなどの一連の作業です。例えば、画像のサイズを変更し、画像に効果を適用し、ファイルを目的の形式で保存するアクションを作成できます。

ペイントツールを使用する作業のような、アクションに記録できない作業を途中で実行する手順を挿入することもできます。また、アクションを実行しながらダイアログボックスに値が入力できるように、モードコントロールを挿入することもできます。

Illustrator には、あらかじめ定義済みのアクションがインストールされており、繰り返し作業を実行する際に役に立ちます。これらの定義済みのアクションはそのまま使用できます。また、必要に応じてカスタマイズしたり、新しいアクションを作成することもできます。

アクションパネルの概要

アクションを記録、実行、編集および削除するには、アクションパネル(ウィンドウアクション)を使用できます。このパネルは、アクションファイルの保存や読み込みにも使用できます。

アクションパネル
アクションパネル

A. アクションセット B. 機能 C. 記録されたコマンド D. 削除 E. 新規アクションを作成 F. 新規セットを作成 G. 現在の選択範囲を再生する H. 記録を開始 I. 再生 / 記録を中止 J. モードコントロール(ダイアログボックスの表示を切り替え)  K. コマンドの実行を切り替え 

 を使用して、セットに含まれるすべてのアクションまたはアクションに含まれるすべてのコマンドを展開または折りたたみます。アクションを実行すると、アクションの記録されたコマンドがアクティブなドキュメント内で実行されます。 アクション内の特定のコマンドだけを除外したり、1 つのコマンドだけを実行したりすることもできます。 ファイルでアクションを再生するには、ファイルを選択して   を選択します。「ボタンモード」を選択して、アクションを名前のみで表示します。

アクションパネルメニューオプション

注意:
  • 個々のコマンドやセットをボタンモードで表示することはできません。
  • ボタンモードでは、ボタンをクリックすると、除外されたコマンド以外のアクション全体が実行されます。

アクションを記録して作業を自動化

新しいアクションを作成すると、記録を中止するまで、使用するコマンドとツールがアクションに追加されます。

  1. ファイルを開きます。
  2. アクションパネルで、新規アクションを作成   を選択します。

  3. アクションを入力し、アクションセットを選択して、追加のオプションを設定します。

    ファンクションキー:アクションにキーボードショートカットを割り当てます。例えば、Ctrl+Shift+F3 のように、ファンクションキー、Ctrl キー(Windows)または Cmd(macOS)および Shift キーを自由に組み合わせることができます。 ただし、例外もあります。Windows では、F1 キーを使用できません。また、Ctrl キーと一緒に F4 キーまたは F6 キーを使用することもできません。

    カラーボタンモードで表示するカラーを選択します。

    注意:

    コマンドで既に使用されているショートカットキーをアクションに割り当てた場合、そのショートカットキーはコマンドではなくアクションに適用されます。

  4. 記録開始を選択します。アクションパネルの記録開始ボタンが赤 に変わります。

    注意:

    別名で保存」コマンドを記録するとき、ファイル名を変更しないでください。新しいファイル名を入力すると、その新しいファイル名が記録され、アクションを実行するたびにその名前が使用されます。別のフォルダーを開いている場合は、保存する前に、ファイル名を指定せずに別の場所を指定することができます。

  5. 記録する操作とコマンドを実行します。

    すべての作業を直接記録できるわけではありません。ただし、記録できない作業のほとんどは、アクションパネルメニュー   のコマンドを使用して挿入できます。

  6. 記録を中止するには、再生 / 記録を中止を選択します。

注意:

同じアクションの記録を再開するには、アクションパネルメニューの「再記録」を選択します。

記録できない作業のアクションへの挿入

すべての作業をアクションに直接記録できるわけではありません。 例えば、効果メニューと表示メニューのコマンド、パネルの表示と非表示を切り替えるコマンド、選択、ペン、ブラシ、鉛筆、グラデーション、メッシュ、スポイト、ライブペイント、はさみの各ツールの使用は記録できません。

アクションパネルを使用すると、どの作業が記録できないかを確認できます。 作業を実行した後、コマンド名またはツール名が表示されない場合でも、アクションパネルメニュー   のコマンドを使用して、作業を追加できることがあります。

注意:

記録できない作業をアクション作成後に挿入するには、まずアクション内の項目を選択します。作業はこの項目の後に挿入されます。アクションパネルメニューから適応するコマンドを選択します。

記録できないメニューコマンドの挿入

  1. アクションパネルメニュー   の「メニュー項目を挿入」を選択します。

  2. メニューからコマンドを選択するか、テキストボックスにコマンド名を入力して「検索」を選択します。

  3. OK」を選択します。

パスの挿入

  1. パスを選択して、アクションパネルメニュー  の「選択したパスを挿入」を選択します。

選択したオブジェクトの挿入

  1. アクションを記録し始める前に、属性パネルの「メモ」ボックスにオブジェクトの名前を入力します (「メモ」ボックスを表示するには、属性パネルメニュー  の「メモを表示」を選択します)。

  2. アクションの記録時に、アクションパネルメニュー  の「オブジェクトを選択」を選択します。

  3. オブジェクトの名前を入力し、「OK」を選択します。

中止の挿入

アクションに中止の動作を挿入すると、記録できない作業(ペイントツールの使用など)を、ユーザーが途中で実行できます。必要な作業をおこなった後、アクションパネルの再生ボタンを選択して作業を完了します。

アクションを続行する前に、必要な作業を思い出せるように、アクションが中止されたときに短いメッセージを表示することもできます。他の作業を実行する必要がない場合は、メッセージボックスに「続行」ボタンを表示できます。

  1. 次のいずれかの操作をおこなって、どこに中止を挿入するかを決めます。
    • アクション名を選択すると、アクションの最後に中止が挿入されます。

    • コマンドを選択すると、そのコマンドの直後に中止が挿入されます。

  2. アクションパネルメニュー  の「中止を挿入」を選択します。

  3. 表示するメッセージを入力します。
  4. アクションを中止せずに続行することを選択できるようにするには、「続行許可」を選択します。

  5. OK」を選択します。

注意:

中止は、アクションの記録中でも、記録した後でも挿入できます。

アクション実行時の設定の変更

デフォルトでは、アクションが最初に記録されたときに指定された値を使用してアクションを完了します。アクション内のコマンドの設定を変更する場合は、モードコントロールを挿入できます。モードコントロールを使用すると、アクションが一時停止するので、ダイアログボックスに値を指定したりモードツールを使用することができます。モードツールでは、Enter キーまたは Return キーを押して、効果を適用する必要があります。Enter キーまたは Return キーを押すと、アクションの作業が再開されます。

モードコントロールは、アクションパネルのコマンド名、アクション名またはセット名の左側に表示される、ダイアログボックスの表示を切り替えアイコン で表示されます。一部のコマンドだけにモードコントロールが設定されているアクションとセットは、 で表示されます。ボタンモードでモードコントロールを設定することはできません。

  • アクション内のコマンドのモードコントロールを有効にするには、コマンド名の左側のボックスを選択します。もう一度選択すると、モードコントロールが無効になります。

  • アクションに含まれるすべてのコマンドのモードコントロールを有効または無効にするには、アクション名の左側のボックスを選択します。

  • セットに含まれるすべてのアクションのモードコントロールを有効または無効にするには、セット名の左側のボックスを選択します。

アクションからのコマンドの除外

コマンドを除外すると、そのコマンドは、記録したアクションの一部として実行されなくなります。ボタンモードでコマンドを除外することはできません。

  1. 必要に応じて、アクションパネル内のアクション名の左側にある   をクリックして、アクション内のコマンドのリストを展開します。

  2. 次のいずれかの操作をおこないます。
    • 単一のコマンドを除外するには、コマンド名の左側にあるチェックマーク   をオフにします。もう一度クリックするとチェックマークが表示され、コマンドが実行されるようになります。

    • アクションまたはセットに含まれているすべてのコマンドまたはアクションを除外したり含めたりするには、アクション名またはセット名の左側のチェックマーク   をクリックします。

    • 選択したコマンド以外のすべてのコマンドを除外したり含めたりするには、Alt キー(Windows)または Option キー(macOS)を押しながらチェックマーク   をクリックします。

アクションに含まれている一部のコマンドが除外されている場合は、親アクションのチェックマーク   が淡色表示になります。

実行速度の指定

アクションの実行速度を調整したり、アクションを一時停止してアクションをデバッグすることができます。

  1. アクションパネルメニュー   の「再生オプション」を選択します。

  2. 速度を指定して、「OK」を選択します。

    高速

    通常の速度でアクションを実行します(初期設定値)。

    ステップごと

    アクションのコマンドを 1 つずつ実行し、画像を再描画してから次のコマンドに移ります。

    一時停止

    アプリケーションでアクションのコマンドを 1 つ実行するたびに一時停止します。このオプションでは停止時間を指定します。

    再生オプション
    再生オプション

    注意:

    アクションを高速で実行する場合、アクションをより高速で実行できるように、アクションの実行中に画面が更新されないことがあります。例えば、ファイルを開く、変更、保存および閉じるなどの操作は、画面に表示されないことがあります。アクションの実行中にファイルを画面に表示するには、ステップごとを指定します。

アクションの編集と再記録

アクションの編集とカスタマイズは簡単におこなえます。 アクション内の特定のコマンドの設定を調整したり、既存のアクションにコマンドを追加したり、アクション全体を確認して設定の一部または全部を変更したりできます。

アクションへのコマンドの追加

  1. 次のいずれかの操作をおこないます。
    • アクションの名前を選択すると、そのアクションの最後に新しいコマンドが追加されます。

    • コマンドの名前を選択すると、そのコマンドの直後に新しいコマンドが挿入されます。

  2. 記録開始ボタンを選択します。

  3. 追加のコマンドを記録します。
  4. 操作が完了したら、アクションパネルの再生 / 記録を中止ボタンを選択します。

アクション内でコマンドを並べ替えるには、アクションパネルで、同じアクション内または別のアクション内の新しい位置にコマンドをドラッグします。目的の場所の境界線がハイライト表示されたときに、マウスボタンを放します。

アクションの再記録

  1. アクションを選択し、アクションパネルメニュー   から「再記録」を選択します。

  2. モードツールが表示された場合は、モードツールを使用して別の結果を作成してから Enter キーまたは Return キーを押すか、単に Enter キーまたは Return キーを押して同じ設定を保持します。

  3. ダイアログボックスが表示された場合は、設定を変更し、「OK」を選択して値を記録するか、「キャンセル」をクリックして同じ値を使用します。

単一の作業の再記録

  1. アクションを再記録するオブジェクトと同じ種類のオブジェクトを選択します。 例えば、作業がベクターオブジェクトにしか使用できない場合は、再記録をおこなうときにもベクターオブジェクトを選択します。

  2. アクションパネルで、再記録するコマンドをダブルクリックします。

  3. 新しい値を入力して「OK」を選択します。

アクションセットの管理

関連したアクションセットを作成して整理し、ディスクに保存して別のコンピューターに転送することができます。

注意:

作成するすべてのアクションは、アクションパネルに自動的に表示されますが、アクションを確実に保存し、環境設定ファイル(Illustrator)またはアクションパネルの初期設定ファイル(Photoshop)を削除した場合でもアクションが失われないようにするには、アクションをアクションセットの一部として保存する必要があります。

アクションのセットの保存

  1. セットを選択します。
    注意:

    単一のアクションを保存する場合は、まずアクションセットを作成し、アクションを新しいセットに移動します。

  2. アクションパネルメニュー  の「アクションの保存」を選択します。

  3. セット名を入力し、保存先を選択して「保存」を選択します。

    ファイルは任意の場所に保存できます。 ここでは、アクションパネルで選択したセットの全アクションが保存されます。セット内のアクションを別々に保存することはできません。

アクションのセットの読み込み

  1. アクションパネルメニュー  の「アクションを読み込み」を選択します

  2. アクションセットファイルの場所を特定して選択し、「開く」を選択します。

アクションの初期設定のセットへの復元

  1. アクションパネルメニュー  で「初期設定に戻す」を選択します。

  2. アクションパネルの現在のアクションを初期設定のセットに置き換えるには、「OK」を選択します。アクションパネルの現在のアクションに初期設定のアクションセットを追加するには、「追加」を選択します。

アクションセットの整理

アクションを分かりやすいように管理するには、アクションのセットを作成し、ディスクに保存します。アクションのセットは、プリントメディアまたはオンラインメディア用の画像作成など、作業の種類別に整理して他のコンピューターに転送できます。

  • アクションのセットを新規作成するには、アクションパネル新規セットを作成ボタン   を選択し、セットの名前を入力して、「OK」を選択します。
  • アクションを別のセットに移動するには、アクションを移動先のセットにドラッグします。目的の場所の境界線がハイライト表示されたときに、マウスボタンを放します。
  • アクションのセットの名前を変更するには、アクションパネルメニュー   から「セットオプション」を選択し、セットの新しい名前を入力して、「OK」を選択します。
  • アクションパネル内のすべてのアクションを新しいセットに置き換えるには、アクションパネルメニュー の「アクションの置き換え」を選択します。アクションファイルを選択して、「開く」を選択します。
注意:
  • アクションを新規に作成して新規のセットにグループ化する場合は、セットの方を先に作成してください。そうすると、アクションを新規に作成するときに、新規セットがセットポップアップメニューに表示されるようになります。
  • アクションの置き換え」コマンドを使用すると、作業中のドキュメントの全アクションセットが置き換えられます。このコマンドを使用する前に、「アクションの保存」コマンドで現在のアクションセットを保存しておいてください。

複数のファイルに対するアクションのバッチ再生

バッチコマンドを使用すると、フォルダーおよびサブフォルダーのファイルに対してアクションを実行できます。 バッチコマンドを使用すると、データ駆動型グラフィック用のテンプレートに別のデータセットを反映させることもできます。

  1. アクションパネルメニューの「バッチ」を選択します。

  2. 実行」で実行するアクションを選択します。

  3. ソース」で「フォルダー」を選択して、アクションの実行対象となるフォルダーを選択します。または「データセット」を選択して、現在のファイルの各データセットに対してアクションを実行します。

    フォルダーを選択した場合は、アクション実行時の追加オプションを設定できます。

  4. 保存先」で処理対象ファイルに対しておこなう処理を指定します。「なし」は変更を保存しないでファイルを開いたままにします。「保存して閉じる」は現在の場所にファイルを保存して閉じます。「フォルダー」は別の場所にファイルを保存します。

    保存先」オプションの選択に応じて、ファイル保存の追加オプションを設定できます。

  5. バッチ処理中のエラー処理方法を指定します。 「エラーをファイルに記録」を選択した場合は、「別名で保存」を選択して、エラーファイルの名前を指定します。

  6. OK」を選択します。

    注意:

    複数のアクションを使用してバッチ処理を実行するには、新しいアクションを作成し、使用する各アクションに対してバッチコマンドを記録します。 この方法を使用して、1 つのバッチで複数のフォルダーを処理することもできます。 複数のフォルダーをバッチ処理するには、1 つのフォルダー内にその他のフォルダーのショートカット(Windows)またはエイリアス(Mac OS)を作成します。

バッチ処理のオプション

ソース」で「フォルダー」を選択した場合は、以下のオプションを設定できます。

アクションの開くコマンドを無視

指定したフォルダーのファイルを開き、元のアクションに記録された開くコマンドをすべて無視します。

サブディレクトリをすべて含める

指定したフォルダー内のすべてのファイルとフォルダーを処理します。

アクションに保存または書き出しコマンドが含まれる場合は、以下のオプションを設定できます。

アクションの保存コマンドを無視

処理対象ファイルを指定の保存先フォルダーに保存し、アクションに記録された場所には保存しません。 「選択」を選択して、保存先のフォルダーを指定します。

アクションの書き出しコマンドを無視

処理対象ファイルを指定の保存先フォルダーに書き出し、アクションに記録された場所には書き出しません。 「選択」を選択して、保存先のフォルダーを指定します。

ソース」で「データセットを選択した場合は、保存および書き出し用のコマンドを無視したときのファイル名生成オプションを設定できます。

ファイル + 番号

元のドキュメントのファイル名から拡張子を削除した後、データセットに対応する 3 桁の数を追加したファイル名が生成されます。

ファイル + データセット名

元のドキュメントのファイル名から拡張子を削除し、アンダースコア(_)およびデータセット名を付加して、ファイル名を生成します。

データセット名

データセットの名前をファイル名とします。


関連リソース

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