コンポジションでフッテージレイヤーを選択し、エフェクト/Boris FX Mocha/Mocha AE を選択します。
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モーショントラッキングを使用すると、オブジェクトの動きをトラックし、その動きのトラッキングデータを他のレイヤーやエフェクトコントロールポイントなどの別のオブジェクトに適用して、モーションを追跡するイメージやエフェクトを含むコンポジションを作成できます。また、トラッキングデータを使用してトラックしたレイヤーをアニメートし、そのレイヤー内のオブジェクトの動きを補正することにより、モーションをスタビライズすることもできます。エクスプレッションを使用してプロパティをトラッキングデータにリンクすることにより、この機能を広い用途に使用できます。
After Effects では、フレーム内の選択した領域の画像データを後に続く各フレームの画像データと一致させることで、モーショントラッキングを実現しています。同じトラッキングデータを別のレイヤーまたはエフェクトに適用したり、同じレイヤーで複数のオブジェクトをトラックしたりすることもできます。
- After Effects では、3D カメラ トラッカーを使用して、カメラモーションをトラックし、3D オブジェクトを 2D フッテージに配置することが簡単にできます。
- ワープスタビライザーを使用することで、ぶれのあるフッテージを、非常に容易にスタイビライズできます。
モーショントラッキングには、様々な用途があります。次に例の一部を示します。
別々に撮影された要素の合成。例えば、走るバスの側面にビデオを追加したり、魔法使いの杖の動きに沿って、その先端に星型を散らしたりすることができます。
アクションフッテージのモーションに合わせた静止画のアニメート。例えば、アニメのハチを揺れ動く花の上にとまらせることができます。
動きのある要素に追従するエフェクトのアニメート。例えば、動いている球体に光を反射させることができます。
トラックしたオブジェクトの位置を他のプロパティにリンクさせ。例えば、画面を横切る車の動きに合わせてステレオオーディオを左から右へパンできます。
フッテージをスタビライズしてフレーム内の動きのあるオブジェクトを静止させ、そのオブジェクトが時間の経過とともにどのように変化するかを観察できます。科学的な実験の画像を作成する場合などに便利です。
フッテージをスタビライズして、手持ちカメラの揺れを修正できます。
モーションフッテージをスタビライズすると、使用するエンコーダーに応じて、最終出力ファイルのサイズを小さくすることができます。手持ちカメラの揺れなどにより発生するランダムなモーションにより、圧縮アルゴリズムでのビデオ圧縮が困難になることがあります。
トラッカーパネルでは、モーショントラッキングを設定、開始、適用できます。このパネルを有効にするには、ウィンドウ/トラッカーに移動します。
他のすべてのプロパティと同様に、タイムラインパネルでトラッカープロパティを変更、アニメート、管理、リンクできます。
トラックする領域を指定するには、レイヤーパネルでトラックポイントを設定します。各トラックポイントは、ターゲット領域、検索領域およびアタッチポイントから構成されます。一連のトラックポイントをトラッカーと呼びます。
A. 検索領域 B. ターゲット領域 C. アタッチポイント
ターゲット領域
ターゲット領域では、レイヤー内のトラッキング対象となる要素を定義します。はっきりと識別できる要素(できれば、実在する 1 つのオブジェクト)を囲んでください。トラッキング対象のオブジェクトは、照明、背景、角度が変化しても、トラッキング中に常に明確に識別できるものである必要があります。
検索領域
検索領域では、トラッキング対象のオブジェクトを検索する領域を定義します。オブジェクトは、検索領域の範囲内ではっきり見えれば、フレーム全体ではっきり見えなくても構いません。検索を小さい領域に限定すると、検索時間が短くなり、検索が容易になります。ただし、トラッキング対象のオブジェクトがフレーム間で完全に検索領域外になる可能性があります。
アタッチポイント
アタッチポイントは、レイヤーコントロールポイントまたはエフェクトコントロールポイントなどのターゲットを、トラッキング対象のレイヤーで動いているオブジェクトと同期させるアタッチメントの場所を指定します。
トラッキングを開始すると、コンポジションパネルとレイヤーパネルでモーションソースレイヤーの画質が「最高」に、解像度が「フル画質」に設定されます。これにより、トラックするオブジェクトが見つけやすくなり、サブピクセルの処理やポジショニングが可能になります。
位置をトラックするにはトラックポイントを 1 つ、スケールや回転をトラックするにはトラックポイントを 2 つ、コーナーピンを使用したトラックにはトラックポイントを 4 つ使用します。
Mocha Essentials は、Mocha AE および平面モーショントラッキングについて知っておく必要があることをすべて学べる、Boris FX の無料ビデオトレーニングシリーズです。
After Effects には、Boris FX からの Mocha AE プラグイン(GPU 加速、マルチフレームレンダリングのサポート)が含まれています。このプラグインを使用すると、モーションブラーを伴うショットやオフスクリーンに移動するオブジェクトなどの複雑なトラッキングショットを操作できます。 デフォルトでは Essentials ワークスペースに表示され、基本的な機能が含まれています。AdjustTrack のような高度な機能を使用するには、Mocha AE を起動してから、ワークスペース/クラシックを選択します。
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エフェクトコントロールパネルの Mocha ロゴをクリックして、ユーザーインターフェイスを起動します。
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コンポジションでレイヤーを選択した後で、Mocha AE を適用するには、Boris FX Mocha でアニメーション/トラックを選択します。
Mocha AE の機能について詳しくは、このビデオをご覧ください。
After Effects での Mocha AE データの適用
After Effects 内部の Mocha AE データは、次のように複数の方法で使用できます。
- コーナーピンアニメーションを使用して画面を遠近法に置き換えます。
- 変形アニメーション(位置、スケール、回転など)を使用して、一般的なモーショントラッキングを行います。
- Rotoscope にするには、Mocha AE でトラックしたスプラインを After Effects マスクに変換します。
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Mocha AE でトラッキングを完了したら、After Effects に戻ります。
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エフェクトコントロールパネルの「トラッキングデータ」で、「トラックデータを作成」を選択します。
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書き出しオプションドロップダウンメニューから「コーナーピン」または「トランスフォーム」を選択します。
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選択したレイヤーに書き出しを適用します。
Mocha AE によるその他の操作
- Mocha AE レイヤーをネイティブの After Effects マスクに変換するには、エフェクトコントロールパネルの「マット」で、「AE マスクを作成」を選択します。Mocha のエッジぼかしは無視されます。
- Mocha AE をアルファベースのマットとして Mocha スプラインに適用するには、Mocha AE エフェクトを適用した後に、エフェクトコントロールパネルの「マット」で、「マットを適用」を選択します。Mocha のエッジぼかしをサポートします。
- Mocha AE プラグインを使用すると、スプラインのシェイプを Mocha AE から After Effects のレイヤーのラスタライズされたマットまたはネイティブ After Effects のマスクに変換することができます。詳しくは、Mocha AE マスキングのリソースを参照してください。
- Mocha AE について詳しくは、Mocha Essentials ビデオシリーズおよび Mocha ユーザーガイドを参照してください。
モーショントラッキングのワークフロー
After Effects では、多くの方法でモーショントラッキングを行うことができ、従うべき方法とワークフローは、クリップの特性とトラッキングする対象によって異なります。
マスクトラッカー
マスクトラッカーを使用して、オブジェクトの周囲にマスクを描画し、シーンの特定のオブジェクトのみをトラッキングできます。
フェイストラッカー
シンプルな顔のトラッキングによって、選択的なカラー補正や人の顔をぼかすなどのエフェクトを、顔にのみすばやく適用できます。
また、顔のトラッキング機能では、顔の特定の部分(瞳、口、鼻など)をトラッキングできるので、これらの顔の特徴を分離して、より詳細に処理することができます。例えば、フレームごとに調整するのではなく、眼の色を変更したり、口の動きを強調したりできます。
3D カメラトラッカー
3D カメラトラッカーエフェクトを使用して、ビデオシーケンスを分析し、カメラモーションと 3D シーンデータを抽出します。その後、2D フッテージに 3D 要素を正しく合成できます。
ポイントトラッカー
クリップ内の 1 つまたは複数の参照機能をトラッキングできます。
1 ポイントトラッキング:ムービークリップの単一の参照パターン(ピクセルの小さい領域)をトラッキングして、位置データを記録します。
2 ポイントトラッキング:ムービークリップの 2 つの参照パターンをトラッキングして、トラッキングした 2 点の関係を使用して、位置、スケール、回転データを記録します。
4 ポイントトラッキングまたはコーナーピントラック:ムービークリップの 4 つの参照パターンをトラッキングして、位置、スケールおよび回転データを記録します。4 ポイントトラッカーは、ピクチャフレームやテレビモニターのコーナーなど、4 つの参照パターンの関係を分析します。このデータは、画像またはクリップの各コーナーに適用され、クリップを「ピン留め」して、写真フレームやテレビモニターにロックされているように見えるようにします。
- 複数ポイントのトラッキング:クリップで、好きな数の参照パターンをトラッキングします。モーションの分析およびスタビライズのビヘイビアー内にトラッカーを手動で追加できます。シェイプビヘイビアーサブカテゴリからトラックポイントビヘイビアーをシェイプまたはマスクに適用する場合、トラッカーはシェイプコントロールポイントごとに自動的に割り当てられます。
ポイントトラッカーの使用について詳しくは、ポイントトラッカーの使い方に関するヒントを参照してください。
ワープスタビライザー VFX
ワープスタビライザーエフェクトを使用して、モーションをスタビライズできます。カメラの動きによって生じるジッターを除去し、手持ち撮影によるぶれのあるショットを安定したスムーズなショットに変換します。
ポイントトラッカーの使い方に関するヒント
ショットの準備
モーショントラッキングを円滑に行うには、はっきり見えるオブジェクトや領域など、トラックしやすいオブジェクトを使用します。
最良のトラッキングを行うには、撮影を始める前に、トラックするオブジェクトまたは領域を準備しておきます。After Effects では、正確なトラッキングを行うために隣接するフレームの画像データが比較されるので、コントラストの高いマーカーをオブジェクトまたは領域に追加すると、フレーム間のモーションが容易に追跡されます。卓球のボールのように軽量で鮮やかな色のボールは、どの角度からも同じように見えるため、トラックするオブジェクトとして配置するのに最適です。使用するマーカーの数は、トラックするポイントの数に対応します。例えば、「遠近コーナーピン」オプションを使用して 4 点をトラックする場合は、追加するレイヤーの 4 点に対応する 4 つのオブジェクトをトラックします。撮影前に、より多くのマーカーを対象に追加しておくと、後でトラックできるオブジェクトの数が増えます。ただし、後から、コピースタンプツールを使用して余分なアイテムを削除する必要が出る場合もあります。適切な位置にはっきりと見えるオブジェクトや領域がある場合は、マーカーを加える必要はありません。
マッチムービングなどのために大きなオブジェクトまたはセット自体をトラッキングする場合は、同じサイズの三角形を同じ間隔で配置したグリッドをトラッキングマーカーとして使用すると良好な結果が得られます。
適切な数のトラックポイントを追加する
トラッカーパネルのトラックの種類メニューでモードを選択すると、そのモードに適した数のトラックポイントがレイヤーパネルに配置されます。1 つのトラッカーで複数のオブジェクトをトラックするように、トラックポイントを追加することもできます。
トラッキング対象のオブジェクトを選択し、ターゲット領域を配置する
トラックを開始する前に、ショット全体を確認して、トラックに適したオブジェクトを決定します。最初のフレームで非常に分かりやすいターゲットが、後になって角度、照明、周辺要素などが変化することにより、背景に溶け込んでしまうことがあります。オブジェクトが場面の途中でフレームの端から消えたり別の要素の影に隠れることも考えられます。After Effects ではオブジェクトのモーションを推測することもできますが、ショット全体を通して再生してトラッキングに最適な候補を選択する方が、トラッキングの成功率を高められます。
トラックに適したオブジェクトには、次のような特徴があります。
ショット全体を通して表示される
検索領域内の、周辺領域に対する色コントラストが高い。
検索領域内でシェイプがはっきり見える。
ショット全体を通してシェイプと色が一定している。
アタッチポイントのオフセットを設定する
アタッチポイントは、ターゲットレイヤーまたはエフェクトコントロールポイントが配置される場所です。アタッチポイントの初期設定の位置は、ターゲット領域の中心です。トラッキングする前にレイヤーパネル内でアタッチポイントをドラッグして移動し、トラッキング対象のオブジェクトの位置に対するターゲットの位置をオフセットすることができます。
例えば、人の頭の上に雲をアニメートする場合、頭の位置にターゲット領域を配置して、アタッチポイントを頭の上に移動させます。アタッチポイントをターゲット領域の中心に配置されたままにすると、そこに雲が表示され、頭が隠れてしまいます。
ターゲット領域、検索領域およびトラッキングオプションを調整する
トラックするオブジェクトに隣接する周囲にターゲット領域を配置します。ターゲット領域はトラックするオブジェクトを完全に含んでいる必要がありますが、周囲の領域はできるだけ含まないようにします。
検索領域のサイズと位置は、トラックするオブジェクトの移動に応じて決定します。検索領域は、トラッキング対象のオブジェクトが移動する範囲をカバーする必要があります。ただし、ショット全体の動きではなく、フレーム間の動きにのみ対応するようにします。After Effects では、フレーム内にトラックするオブジェクトが見つかると、ターゲット領域と検索領域の両方が新しい位置に移動します。そのため、トラックするオブジェクトのフレーム間の移動が少ない場合、検索領域の大きさはターゲット領域より少し大きくするだけで十分です。オブジェクトの位置と方向が急激に変化する場合は、フレーム間の位置と方向の変化のうち最も大きな変化に対応できるように、検索領域を十分な大きさにする必要があります。
また、トラッキングオプションを使用して、ターゲット領域で一致するものを検索する場合にどのカラーチャンネルで比較するかを設定することもできます。
分析
トラッカーパネルで「分析」ボタンの 1 つをクリックすることにより、モーショントラッキングを実行します。トラックが難しいオブジェクトの場合、フレームごとに分析を行うことをお勧めします。
必要に応じて繰り返す
モーションイメージは本質的に変化するものなので、自動トラッキングは完璧にはなり得ません。モーションフッテージの場合、オブジェクトのシェイプは、照明や周囲のオブジェクトとともに変わります。入念に準備したとしても、オブジェクトはショットの途中で少しずつ変化していき、ある時点から元のオブジェクトと一致しなくなります。このような変化の度合いが大きいと、オブジェクトをトラックできなくなり、トラックポイントがシーンの中をさまようことになります。
分析で問題が発生し始めたら、正常にトラッキングされているフレームまで戻り、調整と分析の手順を繰り返します。
トラッキングデータの適用
トラックの種類を「Raw」以外に設定している場合、モーションターゲットに適切なターゲットが指定されていることを確認してから「適用」をクリックしてトラッキングデータを適用します。トラックの種類を「Raw」に設定している場合は、キーフレームをトラッカーから他のプロパティにコピーするか、プロパティをエクスプレッションでリンクすることでトラッキングデータを適用します。
また、トラッキングを行った後、タイムラインパネルでアタッチポイントプロパティまたはアタッチポイントのオフセットプロパティを調整することもできます。トラックしたオブジェクトの周りに配置する複数のターゲットに同じトラッキングデータを適用する場合に、この操作を行うと便利です。
- アタッチするレイヤーでモーションブラーが有効な場合、「シャッターフェーズ」の値が「シャッター角度」の値の -1/2 倍に設定されていることを確認します。この設定の組み合わせによって、モーションブラーがアタッチポイントの中央に配置されます。そうでない場合、アタッチされたオブジェクトが、アタッチ先のオブジェクトの前後にずれることがあります。
- トラッキングデータをヌルオブジェクトレイヤーに適用し、アニメートするレイヤーをヌルオブジェクトレイヤーの親にできます。
ポイントトラッカーを使用してモーションをトラッキングまたはスタビライズする
モーションのトラッキングとスタビライズは、ターゲットと結果が異なりますが、基本的には同じ処理です。「モーションをトラック」を使用し、結果を別のレイヤーやエフェクトコントロールポイントに適用します。「モーションをスタビライズ」を使用し、結果をトラックしたレイヤーに適用して、そのモーションを補正(カメラぶれの除去など)します。
レイヤーをスタビライズする場合、フレーム内でレイヤーに含まれる静止させるオブジェクトのモーションがトラックされ、そのトラッキングデータを使用して逆のモーションを実行するキーフレームが設定されます。スタビライズにより、必要なモーションは残したまま、位置、回転およびスケールの変化をあらゆる組み合わせで削除できます。例えば、カメラがパンしている場合、スタビライズするプロパティとして「位置」の選択を解除し、「スケール」と「回転」を選択します。
トラッカーパネルで「回転」または「スケール」を選択すると、レイヤーパネルに 2 つのトラックポイントが設定されます。アタッチポイントが線で結ばれ、最初のアタッチポイント(基準)から 2 番目のアタッチポイントを指す矢印が表示されます。可能であれば、2 つのターゲット領域を、同じオブジェクト上の両端に配置してください。または、少なくともカメラから同じ距離の位置にあるオブジェクトの上に配置してください。2 つのターゲット領域が離れているほど、計算はより正確になり、優れた結果が得られます。
After Effects では、アタッチポイント間の線の角度の変化をフレーム間で測定することにより、回転が計算されます。トラッキングデータをターゲットに適用すると、回転プロパティのキーフレームが作成されます。
スケールは、各フレームのアタッチポイント間の距離を、開始フレームのアタッチポイント間の距離と比較することによって、計算されます。トラッキングデータをターゲットに適用すると、スケールプロパティのキーフレームが作成されます。
平行または遠近のいずれかのコーナーピンを使用してモーショントラッキングを行う場合、コーナーピンエフェクトのキーフレームがレイヤーに適用され、ターゲット領域によって定義される 4 辺で囲まれた領域に合わせて、必要に応じてスケールまたは歪曲されます。ターゲット領域は、例えば、バスの一側面、壁の一面、床の一面など、実在する単一平面上にある必要があります。アタッチポイントもすべて単一平面上に配置する必要がありますが、ターゲット領域の場合と異なり、必ずしも同じ平面上である必要はありません。
平行コーナーピンのみ:非アクティブにするポイントを変更するには、ターゲット領域で非アクティブにするポイントを Alt キー(Windows)または Option キー(macOS)を押しながらクリックします。(線を平行に保つためには、1 つのポイントが非アクティブである必要があります)。
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トラックするレイヤーをタイムラインパネルで選択します。
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次のいずれかの操作を行います。
- トラッカーパネルで「モーションをトラック」(またはアニメーション/モーションをトラックを選択)を選択し、「ターゲットを編集」を選択して、トラッキングデータが適用されるターゲットを選択します。
- トラッカーパネルで「モーションをスタビライズ」(またはアニメーション/モーションをスタビライズを選択)を選択します。ターゲットレイヤーは、トラックする(ソース)レイヤーです。
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「位置」、「回転」または「スケール」を選択し、ターゲットにどのようなキーフレームを生成するかを指定します。
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現在の時間インジケーターをトラッキングを開始するフレームに移動します。
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選択ツールを使って、各トラックポイントのターゲット領域、検索領域、アタッチポイントを調整します。
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トラッカーパネルで、「再生方向に分析」ボタンまたは「逆再生方向に分析」ボタンをクリックしてトラッキングを開始します。
トラッキングが正しく行なわれなくなったら、停止 ボタンをクリックし、モーショントラックを補正するの指示に従って問題を修正し、分析を再開してください。
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トラック全体のターゲット領域とアタッチポイントの位置が適切であることを確認したら、「適用」ボタンを選択して指定したターゲットにモーションを適用します。
ターゲットレイヤーにキーフレームが作成されます。
位置をトラッキングして、その位置データをターゲットに適用する場合、モーションの X(水平)または Y(垂直)のコンポーネントのいずれかのみを適用するよう選択できます。例えば、トラッキングデータを X 軸のみに適用して、俳優(モーションソース)が下へ移動しても吹き出し(ターゲット)はフレームの上部で左右のみに移動させることができます。
「X および Y」(初期設定)を選択すると、モーションが両方の軸に適用されます。
「X のみ」を選択すると、ターゲットの移動が水平方向に制限されます。
「Y のみ」を選択すると、ターゲットの移動が垂直方向に制限されます。
注意:モーショントラッカー適用オプションダイアログボックスを開かずに、前回選択したオプションを使用するには、Alt キー(Windows)または Option キー(macOS)を押しながら「適用」を選択します。
トラッキングデータ(「スケール」、「位置」または「回転」)を適用するプロパティをまず選択し、アニメーション/このプロパティをトラックを選択して、手順 1~3 の順序を変更できます。After Effects で、モーションソースとして使用するレイヤーの選択を要求するメッセージが表示されます。
レイヤーをスタビライズする場合、モーションを補正することによりレイヤーが一方向に大幅に移動し、コンポジションの背景が表示されたり、動きのあるアクションがアクションセーフゾーンの外に出たりすることがあります。その場合、レイヤーのスケールをわずかに変更することで、これを修正できます。問題が最も顕著に見られるフレームを探し、問題が解決するまで、レイヤーのスケールを拡大または縮小します。このテクニックを使うと、レイヤーの全デュレーションでスケールが調整されます。また、異なるタイミングでズームインまたはズームアウトし、スケールをアニメートして、この問題を解決することもできます。
モーショントラッキングの制御
モーショントラッキングを設定、分析および適用するには、トラッカーパネルを使用します。
ソース
トラックするモーションを含むレイヤー。
モーションソースメニューには、モーションのあるソースフッテージアイテムを含むレイヤーや、コンポジションレイヤーが表示されます。レイヤーをプリコンポーズすると、モーションソースメニューで使用できるようにできます。
現在のトラック
アクティブなトラッカー。このメニューからトラッカーを選択して、トラッカーの設定をいつでも変更できます。
トラックの種類
使用するトラッキングモード。いずれのモードでもモーショントラッキングの動作自体は同じですが、トラックポイントの数とトラッキングデータがターゲットに適用される方法が異なります。
「スタビライズ」は、位置、回転およびスケールをトラックして、トラックした(ソース)レイヤー内の動きを補正します。位置をトラックする場合は、トラックポイントが 1 つ作成され、ソースレイヤーにアンカーポイントキーフレームが生成されます。回転をトラックする場合は、トラックポイントが 2 つ作成され、ソースレイヤーに回転キーフレームが生成されます。スケールをトラックする場合は、トラックポイントが 2 つ作成され、ソースレイヤーにスケールキーフレームが生成されます。
「トランスフォーム」は、位置、回転およびスケールをトラックして、別のレイヤーに適用します。位置をトラックする場合は、トラックするレイヤーにトラックポイントが 1 つ作成され、ターゲットに位置キーフレームが設定されます。回転をトラックする場合は、トラックするレイヤーにトラックポイントが 2 つ作成され、ターゲットに回転キーフレームが設定されます。スケールをトラックする場合は、トラックポイントが 2 つ作成され、ターゲットにスケールキーフレームが生成されます。
「平行コーナーピン」は、歪曲と回転をトラックしますが、遠近はトラックしません。平行な線は平行のままで、相対的な距離が保たれます。このモードでは、レイヤーパネルで 3 つのトラックポイントが使用され、4 番目のポイントの位置が計算されます。そして、コーナーピンエフェクトのプロパティグループに 4 つのコーナーポイントのキーフレームが設定され、ターゲットに追加されます。4 つのコーナーポイントの配置は、4 つのアタッチポイントでマークされます。
「遠近コーナーピン」は、トラックされたレイヤーで歪曲、回転、遠近の変更をトラックします。このモードでは、レイヤーパネルで 4 つのトラックポイントが使用され、コーナーピンエフェクトのプロパティグループに 4 つのコーナーポイントのキーフレームが設定され、ターゲットに追加されます。4 つのコーナーポイントの配置は、4 つのアタッチポイントでマークされます。このモードは、開いたドアからみえる景色のイメージや、角を曲がるバスの側面に使用すると便利です。
「Raw」は位置のみをトラックします。「適用」ボタンを使用しないでトラッキングデータを生成するときに Raw を使用します。例えば、「アタッチポイント」プロパティのキーフレームをペイントストロークの「位置」プロパティにコピー&ペーストしたり、エクスプレッションを使用して、ステレオミキサーエフェクトのエフェクトプロパティを「アタッチポイント」プロパティの X 座標にリンクしたりできます。トラッキングデータは、トラッキング対象レイヤーに保存されます。「ターゲットを編集」ボタンと「適用」ボタンは、このトラッキングオプションでは使用できません。トラックポイントを追加するには、トラッカーパネルのメニューから「新規トラックポイント」を選択します。
ターゲット
トラッキングデータが適用されるレイヤーやエフェクトコントロールポイント。ターゲットにプロパティやキーフレームを追加することにより、動きを加えたり、スタビライズしたりします。ターゲットを変更するには、「ターゲットを編集」を選択します。トラックの種類メニューで「Raw」を選択した場合、ターゲットはトラッカーに関連付けられません。
分析ボタン
ソースフッテージ内のトラックポイントのフレーム間の分析を開始します。
前のフレームを分析:1 つ前のフレームに戻って前のフレームを分析します。
逆再生方向に分析:現在の時間インジケーターからトリムしたレイヤーのデュレーションの最初まで逆方向に分析します。
再生方向に分析:現在の時間インジケーターからトリムしたレイヤーのデュレーションの最後まで分析します。
次のフレームを分析:次のフレームに進んで現在のフレームを分析します。
分析中、逆再生方向に分析ボタンと再生方向に分析ボタンは停止ボタンに変わります。トラックがドリフトしたり、その他の問題が発生したりした場合は、停止ボタンをクリックし分析を停止できます。
リセット
ターゲット領域、検索領域、アタッチポイントをデフォルトの位置に復元し、現在選択されているトラックからトラッキングデータを削除します。アタッチしたターゲットレイヤーに既に適用されているトラッカー制御の各設定とキーフレームは、変更されずに残ります。
適用
トラッキングデータをキーフレームとしてアタッチするターゲットレイヤーまたはエフェクトコントロールポイントに適用します。
モーショントラッキングのオプション
これらの設定は、1 回のトラッキングセッションで生成されるトラックポイントの集まり(トラッカー)に適用されます。これらの設定を変更するには、トラッカーパネルの「オプション」を選択します。
トラック名
トラッカーの名前。トラッカーの名前は、タイムラインパネルでそのトラッカーを選択し、キーボードの Enter キー(Windows)または Return キー(macOS)を押すことで変更することもできます。
トラッカープラグイン
このトラッカーのモーショントラッキングを実行するのに使用されるプラグイン。デフォルトでは、「内蔵」(After Effects に付属の唯一のトラッカープラグイン)と表示されます。
チャンネル
ターゲット領域でマッチを検索する際、比較に使用される画像データのコンポーネント。トラッキング対象オブジェクトがはっきりした色の場合は、「RGB」を選択します。オブジェクトの明るさが周囲のイメージの明るさと異なる場合(例えば、火のついたロウソクを持って室内で移動する場合など)は、「ルミナンス」を選択します。オブジェクトの色濃度が高く、同じ系統の別の色で囲まれている場合(例えば、明るい赤のスカーフの背景がレンガの壁になっている場合など)は、「彩度」を選択します。
一致前に拡張
一時的にイメージにブラーまたはシャープを適用して、トラッキング精度を向上させます。「ブラー」を選択すると、フッテージのノイズが減少します。粒子が粗いフッテージやノイズが多いフッテージでトラックの精度を向上させるためには、通常、ピクセル値を 2 ~ 3 に指定すれば十分です。「拡張」を選択すると、イメージのエッジが強調され、トラックしやすくなります。
After Effects では、トラッキング目的でのみ、レイヤーのブラーまたは強調を行います。モーションソースレイヤーには変更は加えられません。
フィールドをトラック
コンポジションのフレームレートを一時的に倍増させ、各フィールドを補間して完全なフレームにし、インターレースビデオの両方のフィールドでモーションをトラックします。
サブピクセルポジショニング
選択すると、キーフレームはピクセル単位まで正確に生成されます。選択を解除すると、作成されるキーフレームの値が最も近いピクセル値に四捨五入されます。
フレームごとにターゲット領域を適応
各フレームでターゲット領域が適応されます。検索領域内で検索される画像データは、分析の開始時のターゲット領域に含まれる画像データではなく、前のフレームのターゲット領域内に含まれる画像データです。
確信度が次の値以下の場合
確信度プロパティの値が、指定したパーセント値より低い場合に実行する処理を指定します。
許容できる確信度のしきい値を決定するには、モーションをトラックし、タイムラインパネルで、問題があるフレームのトラックポイントの確信度値を確認します。そして、問題があるフレームの確信度の最大値より少し大きくなるよう、確信度値を指定します。
- 確信度の値を無視する場合は、「トラッキングを続行」を選択します。初期設定では、このオプションが選択されています。
- モーショントラッキングを停止する場合は、「トラッキングを停止」を選択します。
- ターゲット領域の位置を推測する場合は、「モーションを推測」を選択します。確信度が低いフレームのアタッチポイントキーフレームは作成されません。また、前のトラックの確信度が低いフレームのアタッチポイントキーフレームは削除されます。
- 確信度レベルが指定したしきい値を下回るまで元のオブジェクトを使用する場合は、「ターゲット領域を適応」を選択します。確信度レベルが指定したしきい値を下回った時点で、確信度が低いフレームの前のフレームでターゲット領域に含まれるオブジェクトが適応され、トラッキングが続行されます。このオプションは、モーショントラックオプションダイアログボックスで「フレームごとにターゲット領域を適応」を選択した場合は使用できません。このオプションが選択されていると、確信度レベルに関わらずすべてのフレームでターゲット領域が適応されます。
オプション
トラッカープラグインオプションダイアログボックスが開き、After Effects 内蔵トラッカーのオプションが表示されます。このコマンドは、以前のバージョンの After Effects トラッカープラグインを使用するときにのみ選択できます。
レイヤーパネルにモーションパスを表示するかどうかを切り替えるには、トラッカーパネルのパネルメニューの「モーションパスを表示」オプションを選択または選択解除します(パネルメニューは、パネルの右上にあるアイコンをクリックすると表示されるメニューです)。このメニューのコマンドは、新しいトラックポイントを追加したり、タイムラインパネルに現在のトラックを表示したり、ターゲット領域の拡大を有効にするかどうかを切り替えたりする際にも使用できます。
タイムラインパネルのモーショントラックのプロパティ
トラッカーパネルで「モーションをトラック」または「モーションをスタビライズ」を選択するたびに、After Effects はタイムラインパネルでレイヤーに新しいトラッカーを作成します。各トラッカーには、トラッキングが実行された後、トラッキングデータを保存するプロパティグループであるトラックポイントが含まれます。After Effects では、トラッカーはタイムラインパネルの各レイヤーのモーショントラッカープロパティグループにグループ化されます。
タイムラインパネルでトラッカーを表示するには、トラッカーパネルの現在のトラックメニューでトラッカーを選択し、SS を押します。
他のレイヤープロパティやプロパティグループと同様に、トラッカーやトラックポイントの名前を変更したり、タイムラインパネルでプロパティ値を変更してアニメーション化したりできます。プロパティの変更をターゲットに適用するには、トラッカーパネルで「適用」を選択する必要があります。
ターゲット領域の中心
ターゲット領域の中心の位置。
ターゲット領域のサイズ
ターゲット領域の幅と高さ。
検索領域のオフセット
ターゲット領域の中心に対する、検索領域の中心の相対的な位置。
検索領域のサイズ
検索領域の幅と高さ。
確信度
After Effects がレポートする、各フレームで検索されたオブジェクトの確信度のプロパティ。通常、確信度は変更できません。
アタッチポイント
ターゲットレイヤーまたはエフェクトコントロールポイントに割り当てられた位置。
アタッチポイントのオフセット
ターゲット領域の中心に対する、アタッチポイントの相対的な位置。
トラックポイントを調整する
モーショントラッキングの設定では、多くの場合、ターゲット領域、検索領域およびアタッチポイントを調整して、トラックポイントを正確に配置する必要があります。ターゲット領域、検索領域、アタッチポイントは、選択ツールでドラッグすることによって、個別にまたはグループ単位でサイズ変更したり移動したりできます。トラックされる領域を定義しやすいように、トラックポイントを移動すると、ターゲット領域内のイメージエリアが 400%に拡大されます。
A. 検索領域 B. ターゲット領域 C. キーフレームマーカー D. アタッチポイント E. 検索領域の移動 F. 両方の領域の移動 G. トラックポイント全体の移動 H. アタッチポイントの移動 I. トラックポイント全体の移動 J. 領域のサイズ変更
- ターゲット領域の拡大をオンまたはオフにするには、トラッカーパネルのメニューから「ドラッグ時にターゲット領域を拡大」を選択します。
- ターゲット領域、検索領域およびアタッチポイントを一度に移動するには、トラックポイントエリア内をドラッグするか(領域の端とアタッチポイントを避けます)、上、下、左、右の矢印キーを押します。Shift キーを押しながら矢印キーを押すと、10 倍の距離を移動します。
- ターゲット領域と検索領域のみを一度に移動するには、ターゲット領域の端をドラッグするか、Alt キー(Windows)または Option キー(macOS)を押しながら、選択ツールでターゲット領域内または検索領域内をドラッグします。また Alt キー(Windows)または Option キー(macOS)を押しながら、上、下、左、右の矢印キーを押すこともできます。Alt+Shift キー(Windows)または Option+Shift キー(macOS)を押しながら矢印キーを押すと、10 倍の距離を移動します。
- 検索領域だけを移動するには、検索領域の端をドラッグします。
検索領域の中心を、ターゲット領域の中心から、トラック対象のオブジェクトが移動する方向にオフセットします。
- アタッチポイントだけを移動するには、アタッチポイントをドラッグします。
- ターゲット領域または検索領域のサイズを変更するには、コーナーハンドルをドラッグします。
- 領域のすべての辺を最長の辺に一致させ、元の領域の中心を基準にして領域のサイズを変更するには、コーナーハンドルを Shift キーを押しながらドラッグします。
- 領域のすべての辺を最長の辺に一致させ、特定のコーナーハンドルを基準にして領域のサイズを変更するには、向かい側のコーナーハンドルを Ctrl + Shift キー(Windows)または Command + Shift キー(macOS)を押しながらドラッグします。
トラック中にトラックポイントの移動方向を X(水平)または Y(垂直)軸に制限するには、検索領域の高さまたは幅をターゲット領域の高さまたは幅に一致させます。
トラッキングデータを新しいターゲットに適用する
モーションソースレイヤーをトラックしたら、そのレイヤーの保存済みトラッキングデータを別の複数のターゲットレイヤーやエフェクトコントロールポイントに適用することができます。例えば、電球の位置と、レンズフレアエフェクトのエフェクトコントロールポイントにトラックを適用できます。
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トラッカーパネルのモーションソースメニューからトラック済みのレイヤーを選択します。
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現在のトラックメニューから、目的のトラッキングデータを含むトラックを選択します。
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「ターゲットを編集」、ターゲットの順に選択します。
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トラッカーパネルで、「適用」ボタンを選択します。
モーショントラックを補正する
イメージがショット内で移動するにつれて、照明、周囲のオブジェクトおよびオブジェクトの角度がすべて変わり、最初ははっきり見えていたターゲットがサブピクセルレベルで識別できなくなる場合があります。また、検索領域が小さすぎる場合、フレーム間でトラックするオブジェクトが領域外に出てしまうことがあります。
トラックに適したターゲットを選択できるようになるには、ある程度の時間がかかります。また、入念に計画して実行したとしても、ターゲット領域が目的のターゲットからドリフトして離れていく場合があります。ターゲット領域と検索領域の再調整、トラッキング設定の変更、トラッキングのやり直しなどは、自動トラッキングでは標準的な作業です。一度で完璧なトラッキングを行う必要はありません。ショットをセクション単位でトラックする必要がある場合もあります。その場合、オブジェクトが変化して領域がドリフトする箇所でターゲット領域の位置を定義し直します。トラックしたいオブジェクトと同様の動きをする別のオブジェクトにトラックするオブジェクトを変更することもできます。その場合、アタッチポイントのオフセットを使用してターゲットを配置します。
モーションをトラックすると、レイヤーパネルに各トラックポイントのモーションパスが表示され、ターゲット領域の中心の位置が示されます。他のモーションパスと同様に、レイヤーパネルでモーションパスのキーフレームを微調整できます。モーショントラッキングデータをターゲットに適用する前に手動で変更したい場合にモーションパスを変更すると便利です。通常、完璧なトラッキングを行うよりも、モーショントラッカーによって作成されたモーションパスを手動で変更する方が簡単です。
A. ターゲット領域と検索領域の移動 B. キーフレームマーカー
ターゲット領域と検索領域を調整してドリフトを補正する
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適切にトラックされた最後のフレームに現在の時間インジケーターを移動します。
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Alt キー(Windows)または Option キー(macOS)を押しながら、ターゲット領域と検索領域のみ(アタッチポイントは含まない)をドラッグして、位置を調整します。
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1 つのフレームのトラックを補正する場合は、手順 4 へ進みます。連続する複数フレームのトラックを補正する場合は、必要に応じてターゲット領域と検索領域を調整し、「分析」を選択します。トラッキングを再生して、正確かどうかを確認します。正確でなかった場合は、ボタンをもう一度選択してトラッキングを中止し、ターゲット領域を調整してトラッキングをやり直します。
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トラックに問題がなければ、「適用」を選択して、ターゲットレイヤーまたはエフェクトコントロールポイントにキーフレームを適用します。
トラッキング設定を変更してドリフトを補正する
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適切にトラックされた最後のフレームに現在の時間インジケーターを移動します。
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トラッカーパネルで「オプション」を選択します。
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必要に応じて、モーショントラックダイアログボックスの設定を変更します。
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トラッカーパネルで、「再生方向に分析」ボタンまたは「逆再生方向に分析」ボタンを選択します。
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トラッキングが正確かどうかを確認します。トラッキングが正確でない場合は、ボタンをもう一度選択してトラッキングを中止し、設定を調整して、トラッキングをやり直します。
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トラックに問題がなければ、「適用」を選択して、ターゲットレイヤーまたはエフェクトコントロールポイントにキーフレームを適用します。
ワープスタビライザー VFX エフェクトを使用したモーションのスタビライズ
ワープスタビライザーエフェクトを使用して、モーションをスタビライズできます。カメラの動きによって生じるジッターを除去し、手持ち撮影によるぶれのあるショットを安定したスムーズなショットに変換します。モーションをスタビライズするためのポイントトラッカーの使用方法について詳しくは、モーションのトラッキングとスタビライズを参照してください。
ワープスタビライザーエフェクトを使用したスタビライズ
ワープスタビライザーエフェクトを使用してモーションをスタビライズするには、次の操作を行います。
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スタビライズするレイヤーを選択します。
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次のいずれかの操作を行います。
After Effects で、エフェクト&プリセットパネル/ディストーションに移動し、レイヤーにワープスタビライザーを適用します。
レイヤーにエフェクトを追加すると、直ちにフッテージの分析がバックグラウンドで開始されます。分析が開始されると、コンポジションパネルの 2 つのバナーの最初の 1 つに分析中であることが表示されます。分析が完了すると、もう 1 つのバナーにスタビライズ中であることを示すメッセージが表示されます。
これらの処理が行われている間も、フッテージを編集したりプロジェクトの他の場所で作業を行うことができます。
ワープスタビライザー/設定
分析
初めてワープスタビライザーを適用する際には、このボタンを押す必要はありません。自動的に押された状態になります。「分析」ボタンは、変更が行われるまでグレー表示のままです。レイヤーのインポイントまたはアウトポイントを調整するか、上流工程でレイヤーソースに変更を行うと、このボタンが再度有効になります。このボタンを選択して、フッテージを再分析します。
分析では、同じレイヤーに直接適用されるマスクまたはエフェクトは考慮されません。それらを分析するには、それらをプリコンポーズして、上流のコンポジションに配置する必要があります。
キャンセル
処理中の分析をキャンセルします。分析中は、「キャンセル」ボタンの横にステータス情報が表示されます。
スタビライズ
スタビライズ設定により、スタビライズプロセスを調整できます。
結果
フッテージの結果を制御します(「滑らかなモーション」または「モーションなし」)。
滑らかなモーション(初期設定):元のカメラの動きを保持しつつ、滑らかにします。選択した場合、カメラの動きを滑らかにする度合いを制御する「滑らかさ」が有効になります。
モーションなし:ショットから、カメラのすべての動きの除去を試みます。選択した場合、「詳細」セクションの「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」機能が無効になります。この設定は、分析範囲全体にわたって、メインの被写体の少なくとも一部がフレーム内に残っているフッテージで使用します。
滑らかさ
カメラの元の動きをどの程度スタビライズの対象にするかを選択します。値を小さくすると元のカメラの動きに近くなり、値を大きくすると滑らかになります。100%を超える値にすると、より多くの画像領域が切り抜かれます。「結果」を「滑らかなモーション」に設定すると有効になります。
補間方法
ワープスタビライザーでフッテージをスタビライズする際の非常に複雑な動作を指定します。
位置:位置データのみに基づいてトラッキングします。フッテージをスタビライズするための最も基本的な方法です。
位置、スケール、回転:位置、スケールおよび回転データに基づいてスタビライズします。トラッキングする領域が十分にない場合、ワープスタビライザーによって前の種類(位置)が選択されます。
遠近:フレーム全体が効果的にコーナーピンされるスタビライズを使用します。トラッキングする領域が十分にない場合、ワープスタビライザーによって前の種類である「位置、スケール、回転」が選択されます。
サブスペースワープ(デフォルト):フレーム全体をスタビライズするためにフレームの様々な部分に異なるワープを適用します。トラッキングする領域が十分にない場合、ワープスタビライザーによって前の種類である「遠近」が選択されます。
特定のフレームで使用されている補間方法が、トラッキング精度に基づいてクリップの流れで変わることがあります。
メモ:場合によっては、「サブスペースワープ」によって不要なワープが追加されたり、「遠近」によって不要なキーストーンが追加されることがあります。より単純な補間方法を選択することでこれを防止できます。
スケールを保持
有効にすると、ワープスタビライザーがスケール調整を行って前後のカメラの動きを調整しないようにします。
境界線
境界線の設定は、スタビライズされるフッテージで境界(移動するエッジ)の処理方法を調整します。
フレーム
スタビライズの結果でエッジがどのように表示されるかを制御します。次のいずれかに設定できます。
- スタビライズのみ:移動するエッジを含めてフレーム全体を表示します。また、画像をスタビライズするのにどの程度の処理が行われたかを示します。スタビライズのみを使用した場合、ほかの方法を使用してフッテージを切り抜くことができます。選択した場合、「自動スケール」セクションと「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」プロパティが無効になります。
- スタビライズ、切り抜き:スケールせずに移動するエッジを切り抜きます。「スタビライズ、切り抜き」は、「スタビライズ、切り抜き、自動スケール」で「最大スケール」を 100%に設定した場合と同じ結果になります。このオプションを有効にすると、「自動スケール」セクションは無効になりますが、「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」プロパティは有効になります。
- スタビライズ、切り抜き、自動スケール(デフォルト):移動するエッジを切り抜いて、画像を拡大してフレームを埋め直します。自動スケールは、「自動スケール」セクションの各種プロパティで制御できます。
- スタビライズ、エッジを合成:移動するエッジによって作成される空のスペースを、前のフレームおよび後のフレームの内容で埋めます(「詳細」セクションの「合成入力範囲」によって制御)。このオプションでは、「自動スケール」セクションと「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」プロパティが無効になります。
フレームのエッジにカメラの動きとは関係ない動きがある場合、望ましくない処理結果が生じることがあります。
自動スケール
現在の自動スケール値が表示され、自動スケールの制限値を設定することができます。「自動スケール」を有効にするには、フレームを「スタビライズ、切り抜き、自動スケール」に設定します。
- 最大スケール:クリップがスタビライズ用に拡大される際の最大値を制限します。
- アクションセーフマージン:0 以外の場合、表示しない画像のエッジの周囲に境界が指定され、自動スケールの際に塗りつぶされないようにします。
追加スケール
クリップを拡大し、トランスフォームのスケールプロパティを使用したスケール処理と同じ結果が得られますが、画像の再サンプリングは行われません。
詳細
詳細分析
オンにすると、トラッキングする要素の検索が次の分析フェーズで実行されます。このオプションを有効にした場合、結果のデータ(エフェクトの一部としてプロジェクトに保存されるデータ)のサイズが大きくなり、処理速度が低下します。
ローリングシャッターリップル
スタビライザーは、スタビライズしたローリングシャッターフッテージに含まれているリップルを自動的に削除します。デフォルトは「自動リダクション」です。フッテージに大きなリップルが含まれている場合は、「拡張リダクション」を使用してください。いずれかの方法を使用するには、「補間方法」を「サブスペースワープ」または「遠近」に設定します。
切り抜きを縮小 <-> より滑らかに
切り抜き中は、スタビライズした画像の上を移動する際の切り抜く長方形のなめらかさとスケールの兼ね合いを調整できます。値を小さくするとなめらかになりますが、画像のより多くの部分が表示されます。100%に設定した場合、「スタビライズのみ」オプションを選択して手動で切り抜くのと同じ結果になります。
合成入力範囲(秒)
「スタビライズ、エッジを合成」フレームを使用している場合に、不足しているピクセルを補うのに必要な合成処理の前後時間範囲を制御します。
合成エッジぼかし
合成された部分のぼかし量を選択します。「スタビライズ、エッジを合成」フレームを使用している場合のみ有効になります。合成されたピクセルが元のフレームと合わさるエッジ部分をなめらかにするには、ぼかしコントロールを使用します。
合成エッジ切り抜き
「スタビライズ、エッジを合成」フレームオプションを使用しているときに、ほかのフレームとの結合前に、各フレームのエッジをトリミングします。アナログビデオや低品質なレンズで生じる不良なエッジを切り抜くには、切り抜きコントロールを使用します。初期設定では、すべてのエッジが 0 ピクセルに設定されます。
対象
エフェクトの対象を決定します。これは、スタビライズや、視覚的なエフェクト作業を行ったり、レイヤーをぶれのあるシーンに合成するための一時的なスタビライズの対象です。次の中から対象を選びます。
- スタビライズ - 通常のスタビライズのデフォルトのオプション
- 「リバーシブルスタビライズ」と「リバーススタビライズ」 - エフェクトを領域に適用するには、これらのオプションを使用します。ワープスタビライザー VFX エフェクトの 2 つのインスタンスがあります。1 つ目のインスタンスでは揺れるオブジェクトを固定するリバーシブルスタビライズ、もう 1 つでは揺れを挿入しなおすリバーススタビライズのある複製インスタンスを使用して、リバーシブルスタビライズの後に適用する任意のエフェクトが、元のシーン内に表示されるようにします。
- 「モーションをターゲットに適用」と「オリジナルの上でターゲットにモーションを適用」 - これらのオプションを使用してレイヤーを揺れる画面に合成し、スタビライズしたモーションを異なるレイヤーに適用します。
ターゲットレイヤー
「モーションをターゲットに適用」や「オリジナルの上でターゲットにモーションを適用」オプションを使用して、スタビライズしたモーションに適用するレイヤーを選択します。
トラックポイントのサイズ
表示されるトラックポイントのサイズを指定します。
自動削除ポイントの時間枠
コンポジションパネルでトラックポイントを削除すると、同じオブジェクトの対応するトラックポイントがレイヤー上で別に削除されます。フレームごとにトラックポイントを手動で削除する必要はありません。
警告バナーを隠す
再分析する必要があることを示す警告バナーが表示されても、フッテージを再分析しない場合に使用します。
ワープスタビライザーワークフローのヒント
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ワープスタビライザーを適用します。
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ワープスタビライザーエフェクトがフッテージを分析しているときに、設定を調整したり、プロジェクトの異なる部分で作業を行うことができます。
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カメラのすべての動きを完全に除去するには、スタビライズ/結果/モーションなしを選択します。元のカメラの動きの一部をショットに含めるには、スタビライズ/結果/滑らかなモーションを選択します。
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結果が良好であれば、スタビライズはこれで完了です。良好でない場合は、次のいずれか 1 つまたは複数の手順に従います。
フッテージのワープや歪みが激しすぎる場合は、補間方法を「位置、スケール、回転」に変更します。
不定期のリップル歪みがあり、ローリングシャッターカメラで撮影されたフッテージの場合は、詳細/ローリングシャッターリップルを「拡張リダクション」に設定します。
詳細/詳細分析を確認してください。
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必要以上に切り抜かれてしまった場合は、「滑らかさ」または「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」の値を小さくします。「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」では再スタビライズフェーズを必要としないため、こちらの方が応答性に優れています。
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スタビライザーが実際に行っている処理を感覚的に捉えたい場合は、「フレーム」を「スタビライズのみ」に設定します。
「フレーム」をいずれかの切り抜きオプションに設定して、極端に切り抜きされた場合、「過剰な切り抜きを防ぐには、フレームを「スタビライズのみ」に設定するか、その他のパラメーターを調整します。」という赤いバナーが表示されます。この場合は、「フレーム」を「スタビライズのみ」または「スタビライズ、エッジを合成」に設定します。または、「切り抜きを縮小 <-> より滑らかに」あるいは「滑らかさ」の値を小さくします。満足する結果が得られた場合は、「警告バナーを隠す」オプションを有効にします。