After Effects の 2019 年 4 月リリース(バージョン 16.1)の新機能と機能強化について説明します。
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コンテンツに応じた塗りつぶしツールを使用して不要なオブジェクトを削除したビデオを修復する

ブームマイク、邪魔な看板、人物などの不要なオブジェクトをフッテージから削除します。Adobe Sensei を利用した、ビデオのコンテンツに応じた塗りつぶし機能を使用すると、不要な要素を簡単かつきれいに削除できます。これまで、オブジェクトの消去や置き換えは、ときには 1 フレームずつおこなっていましたが、その作業に費やしていた時間を節約できます。

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エクスプレッションエディターの強化

タイムラインパネルのエクスプレッションエディターフィールドで完全なコードエディターインターフェイスが提供されるようになりました。行番号、対応する中括弧の強調表示、コードの折りたたみなどにより、エクスプレッションの視覚的なナビゲーションが可能です。構文強調表示テーマを使用してコーディング環境をカスタマイズできます。インラインエラーメッセージと対応する中括弧の強調表示により、問題を特定して修正することができます。


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パフォーマンスの向上

Metal、OpenCL および CUDA を使用するハードウェアアクセラレーションによるプレビュー機能により、作業結果をすばやくプレビューできます。ラフエッジなどの GPU エフェクトを適用するときのレンダリング時間が短縮されます。チームプロジェクトで作業すると、チームメンバー同士が複数のアセットを使用する場合の作業スピードが向上します。

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定規とガイドを保存して編集者と共有する

ガイド設定の読み込みと保存が可能になりました。これにより、ガイド設定を新しいプロジェクトで再利用したり、シーケンスのパラメーターの設定にガイド設定を必要とする Premiere Pro の編集者と共有したりできます。



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アドビフォントの自動同期

After Effects で開いたプロジェクトに含まれているフォントがないとき、そのフォントが Creative Cloud のサブスクリプションの一部として Adobe Fonts から入手できる場合は、Creative Cloud によってフォントが自動的に同期されます。

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After Effects では、RED および Sony 製カメラの RAW 形式のサポートの強化に加え、ビデオとオーディオのパフォーマンス向上を目的としたハードウェアアクセラレーションによる HEVC のデコードの強化が実現されています。


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After Effects では、新しいホーム画面とホームボタンの環境設定が導入されました。スクリプトとエクスプレッションに関する既存の環境設定は、一般環境設定ペインから新しいスクリプトとエクスプレッションパネルに移動されました。

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新しいスクリプト Update Legacy Expressions.jsx が After Effects とともにインストールされます。このスクリプトを使用すると、エクスプレッション内の従来の構文をすべて分析し、新しい JavaScript エクスプレッションエンジンに対応するようにそれらの構文を更新できます。



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レイヤーのフレームブレンドまたはモーションブラーを有効または無効にすると、タイムラインパネルでそれらの機能が自動的に有効または無効になります。

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次の機能に複数のスクリプト機能が追加されました。

  • エッセンシャルグラフィックスパネルのアイテムの名前と数
  • ガイドと定規

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検索ナビゲーションが強化され、After Effects と Premiere Pro のチームプロジェクト UI が同等になったことで、時間を節約できるだけでなく、チームプロジェクトのワークフローを合理化することができます。

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このリリースでの他の機能強化(レイヤーのコンテキストメニューの開くサブメニューに追加された「オリジナルを編集」コマンドなど)に関する情報について説明します。



コンテンツに応じた塗りつぶしツールを使用してビデオから不要なオブジェクトを削除する

After Effects のコンテンツに応じた塗りつぶし機能を使用すると、不要な領域やオブジェクトを削除することによって作成されたビデオ内の穴を修復できます。After Effects は、時間の経過に沿ってフレームを分析して、欠けているピクセルを他のフレームから取得して塗りつぶすことができます。

マスクを作成するかオブジェクトを切り取り、「塗りつぶしレイヤーを生成」をクリックして、ビデオクリップから不要なオブジェクトを削除します。After Effects は、オプティカルフローテクノロジーを使用して、オブジェクトの前、隣または後のフレームを参照し、隣接するピクセルまたはビデオの他の領域の画像データでマスクを塗りつぶして、オブジェクトが元からその場所になかったかのように見せます。

詳しくは、コンテンツに応じた塗りつぶしを使用してビデオからオブジェクトを削除するを参照してください。

エクスプレッションエディターの強化

エクスプレッションをより速く簡単に記述できるようになりました。エクスプレッションエディターは、構文の強調表示、行番号、テキストの色を変更してエフェクトや数字をわかりやすくする機能、フォントサイズを変更してコードを読みやすくする機能など、完全な機能を備えたコードエディターです。また、コード内のエラーが即座に自動的に特定されるので、自分でエラーを探す必要はありません。さらに、よく使用されるエクスプレッションが自動的に入力されます。この新しいエディターにより、コードを記述するためにサードパーティのエディターを使用する必要がなくなります。

詳しくは、エクスプレッションエディターの強化を参照してください。

パフォーマンスの向上

このリリースでは、次のようなパフォーマンスの向上が図られています。

環境設定/表示の「ハードウェアによるコンポジション、レイヤー、フッテージパネルの高速化」オプションが有効になっている場合、After Effects は OpenGL の代わりに Metal、OpenCL または CUDA を使用するようになりました(この環境設定はデフォルトで有効になっています)。

プレビューの再生中、コンポジション、レイヤー、フッテージおよびタイムラインパネルの UI 領域の更新頻度が下がります。これにより、再生パフォーマンスが全体的に向上し、特定の状況で再生をリアルタイムで実行できない特定の問題が解決されます。

次のエフェクトは、プロジェクト設定/ビデオレンダリングとエフェクト/「使用」オプションが「Mercury GPU 高速処理」に設定されている場合に、ご使用のコンピューターの GPU を使用してレンダリングされるようになりました。

  • 色を変更
  • ラフエッジ

定規とガイドを保存して編集者と共有する

表示メニューの新しい「ガイドの読み込み」コマンドおよび「ガイドの書き出し」コマンドを使用して、コンポジション、レイヤーおよびフッテージビューアパネルのガイドラインの読み込みおよび書き出しをおこなうことができるようになりました。

ガイドを書き出すと、テンプレートファイル(.guides)が作成されます。このファイルは、共有したり、様々なプロジェクトや、様々なコンポジション、レイヤーまたはフッテージビューに読み込んだりすることができます。ガイドテンプレートファイルには、ガイド属性を記録する JSON データが含まれています。ガイドを書き出すと、現在のビュー内のすべてのガイドが書き出されます。

また、After Effects によって作成されたガイドファイルを Premiere Pro 13.1 に読み込むことも、その逆も可能です。

アドビフォントの自動同期

Creative Cloud サブスクリプションは、Adobe Fonts の完全なライブラリへのアクセスを提供します。体験版の Creative Cloud サブスクリプションには、Web およびデスクトップ用の厳選されたフォントが含まれている基本ライブラリが付属しています。Adobe Fonts から購入したサードパーティのフォントは、自動的に同期されません。

ビデオとオーディオの読み込みサポートの機能強化

RED および Sony 製カメラの RAW 形式のサポートの強化

After Effects では、次のカメラの RAW 形式のビデオファイルの読み込みに対するサポートが強化されています。

  • macOS で Mercury GPU アクセラレーション(Metal)を使用するようにプロジェクトが設定されている場合、RED(.r3d)フッテージを GPU でデベイヤー処理できるようになりました。以前は、RED のデベイヤー処理は OpenCL と CUDA でのみ機能していました。
  • 2019 年前半のファームウェアアップデートが適用された VENICE カメラによって記録された Sony VENICE X-OCN(.mxf)フッテージを読み込むことができます。

ハードウェアアクセラレーションによる HEVC のデコードの強化

Windows 上で HEVC ビデオフッテージをより高速にデコードできるようになりました。macOS と Windows の両方において、HEVC ビデオフッテージのハードウェアアクセラレーションによるデコード処理でチャンネルあたり 10 ビットの HEVC ファイルのデコード処理が高速化されました。以前のチャンネルあたり 8 ビットの H.264 または HEVC フッテージのサポートと同様に、ハードウェアアクセラレーションによるデコード処理には、Windows 10 または macOS 10.13 以降と、Quick Sync Video を搭載した Intel プロセッサーが必要です。

ハードウェアアクセラレーションによる HEVC および H.264 ビデオフッテージのデコード処理は、デフォルトで有効になっています。ハードウェアアクセラレーションによるデコード処理を無効にするには、環境設定/読み込みを開き、「ハードウェアアクセラレーションによるデコードを有効にする」を無効にします。

環境設定の変更

ホーム画面とホームボタンの環境設定

一般環境設定パネルにある、After Effects の起動時にホーム画面を表示するためのオプションの名前が「ホーム画面を有効にする」に変更されました。この設定は、引き続きデフォルトで有効になっています。このオプションを無効にするとツールパネルのホームボタンも非表示になるようになりました。どちらの変更も次回 After Effects を起動したときに有効になります。

スクリプトとエクスプレッション

スクリプトとエクスプレッションに関する次の既存の環境設定は、一般環境設定パネルから新しいスクリプトとエクスプレッションパネルに移動されました。

  • スクリプトによるファイルへの書き込みとネットワークへのアクセスを許可
  • JavaScript デバッガーを使用
  • ピックウイップによる簡潔な英語でのエクスプレッションの記述
  • プロジェクトに式のエラーが含まれている場合に警告バナーを表示

スクリプトとエクスプレッションパネルには、新しいエクスプレッションエディターに関連するオプションも含まれています。詳しくは、「エクスプレッションエディターの強化」を参照してください。

従来のエクスプレッションを更新スクリプト

新しいスクリプト Update Legacy Expressions.jsx が After Effects とともにインストールされ、ファイル/スクリプトメニューから使用できます。このスクリプトを使用すると、エクスプレッション内の従来の構文が検索され、JavaScript エクスプレッションエンジンに対応するようにそれらの構文が更新されます。

具体的には、このスクリプトは、従来の ExtendScript エクスプレッションエンジンでは動作していたが JavaScript エクスプレッションエンジンとの互換性がないエクスプレッションの構文をコンポジション、レイヤーまたはプロパティで検索し、それらの構文を変更して互換性を持たせます。

  • 単一行の if...else ステートメントは、else ステートメントの前に改行を含めるように変更されます。

  • 関数ブロックは、エクスプレッションの先頭に移動されます(正規表現で照合されます)。

  • ショートハンドの this layer 参照は thisLayer に変更されます。
  • ソーステキストの配列インデックスの参照(例えば、sourceText[n])には、.value が付加されます。
  • スネークケースのプロパティおよびメソッドは、キャメルケースの同等のプロパティおよびメソッドと置き換えられます(キーと値のペアで照合されます)。

フレームブレンドおよびモーションブラーコンポジションスイッチの自動的な有効化/無効化

レイヤーのフレームブレンドまたはモーションブラーを有効にすると、タイムラインパネルのフレームブレンドとモーションブラーのコンポジションスイッチが自動的に有効化されるようになりました(無効になっている場合)。この機能により、フレームブレンドまたはモーションブラーのプレビューをレンダリングするために 2 番目のスイッチをクリックする必要がなくなります。コンポジションスイッチは、引き続き手動で有効または無効にすることができます。

同様に、すべてのレイヤーのフレームブレンドまたはモーションブラーを無効にすると、タイムラインパネルのフレームブレンドとモーションブラーのコンポジションスイッチが自動的に無効化されるようになりました(有効になっている場合)。

以前の(コンポジションスイッチが自動的に有効化または無効化されない)動作に戻すには、環境設定/プレビューの新しい「フレームブレンドとモーションブラーのレンダリングを自動的に有効にする」オプションを無効にします。

スクリプトの変更

After Effects のこのリリースでは、次の機能にスクリプト機能が導入されています。

  • エッセンシャルグラフィックスパネルのアイテムと数:特定のコンポジションについてエッセンシャルグラフィックスパネル内のアイテム数をカウントしたり、アイテム名を取得または設定したりできます。また、アイテムを追加するのと同時にアイテムの名前を設定することもできます。
  • ガイドと定規:ガイドと定規の可視性を設定したり、ビューアパネルでガイドのロックやスナップを有効または無効にしたりできるようになりました。また、ガイドの値を追加、削除または変更することもできます。

チームプロジェクトの強化

  • チームプロジェクトを管理ダイアログの 3 つのタブのそれぞれに検索フィールドが追加されました。
  • Premiere Pro で、「オリジナルを編集」コマンドを使用して、After Effects でコンポジションを開くことができるようになりました。
  • Premiere Pro で、ファイル/Adobe Dynamic Link/「新規 After Effects コンポジション」コマンドを使用して、After Effects でコンポジションを作成できるようになりました。

その他の機能

  • レイヤーメニューに表示サブメニューが追加されました。このメニューは、レイヤーのコンテキストメニュー(タイムラインメニューのレイヤーを右クリック)の表示サブメニューと同じです。また、「プロジェクト内のレイヤーソースを表示」など、表示サブメニューのコマンドにキーボードショートカットを割り当てることもできるようになりました。
  • 「オリジナルを編集」コマンドがレイヤーのコンテキストメニュー(タイムラインメニューのレイヤーを右クリック)の開くサブメニューに追加されました。これは、編集メニューの「オリジナルを編集」コマンドと同じです。
  • カーブエフェクトで、アルファカーブが黒い実線の代わりに破線で描画されるようになり、UI の背景色に対して見やすくなりました。
  • コンポジションメニューのテキストレイヤーのコンテキストメニュー(文字ツールでテキストレイヤーを右クリック)にあるいくつかのコマンドが、複数のテキストレイヤーが選択されたときにも機能するようになりました。機能するのは、「段落テキストに変換」または「ポイントテキストに変換」、「横書き」または「縦書き」(選択したすべてのテキストレイヤーが同じ向きである必要があります)、「ソーステキストをタイムラインで表示」です。
  • JSX ファイルおよび JSXBIN ファイルを、ファイル/スクリプトのスクリプトファイルをインストールダイアログおよび ScriptUI パネルをインストールダイアログで同時に選択できるようになりました。

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