注意:

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VR 動画の操作

概要

没入型動画は数十年間にわたってさまざまな形で出回っていますが、大々的にブレークできたのは、つい最近のことです。

最も一般的な VR 動画ソリューションでは、視聴者を球体内に配置し、球体の周りを動画ストリームで包み込みます。このソリューションで、ステレオスコピック映像を使用すると、視聴者は、包まれた固有の動画ストリームを左眼と右眼で別々に視聴できるため、没入感がさらに強まります。この動画視聴スタイルは、YouTube、Google Cardboard、および Facebook で提供される視聴体験です。

この解決策の鍵は、球体の周りを動画映像で容易に包み込めるように、キャプチャー、フォーマット、およびエンコードすることです。このタスクを達成する最も簡単な方法が正距円筒図法です。

正距円筒図法とは

球体の表面について想像する場合には、緯度座標と経度座標を持つ 1 つの点を定義します。ここで、標準の動画フレームについて考えてみましょう。動画フレームには幅と高さがあり、点は X 座標と Y 座標として定義されます。

正距円筒図法では、単に球体を開き、経度を X 座標に、緯度を Y 座標にマッピングします。

お馴染みの例として、次の「地球儀平面図」をご覧ください。

地球儀平面図

ご覧のように、画像は、横方向に広がって、北極と南極に向かって伸びます。その理由は、経度の 2 点間の空間的距離は北極/南極に近づくほど狭くなるからです。北極/南極に近づくほど短くなる経度線の円周の長さは、赤道の経度の距離と同じになります。

この歪みが正距円筒画像の構成を理解し難いものにしています。さらに、目から入る情報量は一般に普段よりもはるかに多いため、その位置についても直感的に定義できません。フレームのはるか右端にある被写体は、実際にはカメラの後ろにあり、はるか左端にある被写体の実際の位置は、そのすぐ右側です。

ゴールデンゲートブリッジ

ゴールデンゲートブリッジは人々目を引きます。なぜなら、それがフレームの中心に向かっているからです。ただし、臨場感溢れる没入型動画を撮影するときは、シーン全体に何を配置するかを意識する必要があります。フレームを見ていても、後方にフェンスがあることは明らかではありません。あるいは、勇気を振り絞って左肩の後ろにあるそのフェンスから飛び降りてみますか!

フェンスから飛び降りる

編集者として、話を面白くするには、フレーム全体で何を見せるかを認識してください。この問題は、正距円筒図法でもさらなる難題です。Adobe Premiere Pro CC 2015.3 には、ヘッドセットの使用を想定したときに得られるビューをシミュレートしたり、YouTube など、デスクトップビューアで視聴しながら、球体の周りを見て回るのに必要なツールが搭載されています。

正距円筒図法動画を編集する

正距円筒図法の操作は確かに難題ではありますが、他の動画フォーマットと比べてそれほどの大差があるわけではありません。編集スキル、編集ツール、および編集トリックのほとんどに共通性があります。トリミング、スプライシング、およびトラック操作の挙動はすべて同じです。最もよく使用される効果についても、その多くは正距円筒図法でも問題なく機能します。

Premiere Pro 2015.3 リリースで登場する、臨場感溢れる没入型映像に特に役立つ新機能は、プロキシワークフローです。正距円筒図法動画には、幅 8,000 ピクセル x 高さ 8,000 ピクセルと、他の通常のフレームサイズよりもはるかに大きなものもあります。 このような高解像度の映像は、ハードウェアアクセラレーションを利用したとしても、リアルタイムで復号することは困難です。Premiere Pro の新しいプロキシワークフローでは、この素材を取り込み、それで編集を開始するとともに、バックグラウンドで低解像度 2K 版を生成して、ボタンをクリックするだけで、いつでもタイムライン上で表示させることができます。

VR 動画ディスプレイを有効にする

プログラムモニターまたはソースモニターのいずれかで、VR 動画ディスプレイを有効にすることにより、Premiere Pro では球体内部に踏み入って、映像をユーザーのパースペクティブから視聴できます。VR 動画ディスプレイを使用すると、例えば、Oculus Rift などの VR ヘッドセットを使用して、あるいは YouTube または Facebook を利用して、デスクトップ上で、正距円筒図法動画によるさまざまな視聴体験をシミュレートできます。

VR 動画ディスプレイを有効にするには、モニターの右側にある「設定」アイコン(スパナ)をクリックし、「VR 動画/有効」を選択します。

VR ディスプレイを有効にする
VR ディスプレイを有効にする

新しいモニターボタンにより、VR 動画ディスプレイが直ちに切り替えられます。これを使用してモニターの再生制御に簡単に追加します。このボタンを追加するには、モニターの右下にある「 + 」アイコンをクリックして、ボタンエディターを開きます。「VR 動画ディスプレイの切り替え」ボタンをモニターディスプレイの下の目的の位置にドラッグします。

VR 動画ディスプレイの切り替えボタン
VR 動画ディスプレイの切り替えボタン

また、キーボードショートカットダイアログボックスを使用して、モニターのいずれか、または両方から、VR 動画ディスプレイを切り替えるキーをお好みで割り当てることもできます。

VR 動画ディスプレイで没入型動画を視聴する

VR 動画ディスプレイを有効にすると、表示は球体内部からのものとなり、モニターには次に説明するような体験が表示されます。

VR 動画ディスプレイの内部を視聴する
VR 動画ディスプレイの内部を視聴する

上部中央に、球体内部のインタラクティブウィンドウがあります。球体内部のビューをクリック&ドラッグするだけで、パースペクティブを直ちに変更するとともに、簡単にパンおよびチルトすることもできます。ビュー内の任意の場所をダブルクリックして、パースペクティブを素早くセンタリングし直すことができます。

右エッジ沿いと下エッジ沿いにあるスライダーを使用すると、それぞれ、チルトとパンを制御できます。

各スライダー沿いにある数値フィールドを使用すると、視聴位置を正確にフィードバックするとともに、お好みの値を入力することもできます。正の値で右へパン、上へチルトし、負の値で、パースペクティブは左へ、下へ移動します。

ディスプレイの下部にあるアークノブを使用すると、現在面している方向についてさらに視覚的なフィードバックを得るとともに、内部をクリック&ドラッグして、パースペクティブを左右にパンすることもできます。このアークノブの特長は、完全に一回転することと、起点を過ぎても回し続けられることです。

VR 動画ディスプレイを設定する

VR 動画ディスプレイは、モノスコーピック動画にも、ステレオスコピック動画にも対応します。また、球体の一部分の正距円筒図法映像も扱えます。ビューをヘッドセットから、またはデスクトップからシミュレートするように設定できます。また、安価な赤/シアンのアナグリフメガネを使用して立体映像を 3D で視聴することもできます。

VR 動画ディスプレイを設定にするには、モニターの右側にある「設定」アイコン(スパナ)をクリックし、「VR 動画/設定」を選択します。

VR 動画設定ウィンドウ
VR 動画設定ウィンドウ

フレームレイアウトでは、動画がモノスコピック動画なのか、ステレオスコピック動画なのかを宣言できます。また、後者(ステレオスコピック動画)では、オーバー/アンダーレイアウトまたはサイドバイサイドレイアウトを選択できます。ステレオスコピックレイアウトのいずれかを選択した場合は、左眼または右眼、さらに赤/シアンのアナグリフコンポジットのいずれかのステレオスコピックビューの選択肢が用意されています。

没入型動画の操作時には、ビューの度とともにピクセルサイズも考慮します。「キャプチャしたビュー」は、ビデオフレームに示されている球体部分を表示します。一般に、制御は、既定の「フル球体 360 度(横) x 180 度(縦)」のままです。

「モニタービュー」フィールドでは、球体のうちの表示する部分を制御できるため、VR 動画ディスプレイモードで、さまざまな視聴体験をシミュレートできます。 例えば、60 度(横) x 90 度(縦)の値で Oculus Rift ヘッドセットでの視聴に近く、160 度(横) x 90 度(縦)の値で YouTube での視聴をシミュレートします。また、これらの設定でビューウィンドウのアスペクト比が決定されます。例えば、160 度 x 90 度で、16:9 ビューウィンドウになります。

効果の操作

正距円筒図法で使用される一般的な 3 つの効果は、ディゾルブ、カラー(Lumetri)、およびスピードです。これらの効果によって、問題が起きるほどにピクセルの位置が変わることはありません。基本的なルールは、効果によってピクセルの垂直位置が変わったら、機能する可能性は低い、ということです。パースペクティブを適用したら、ピクセルの垂直位置がピクセルの水平方向の歪みにどのような影響を及ぼすのかを想像してください。例えば、水平方向のスクイズまたはワイプなど。一方、単純なピクチャーインピクチャー効果は歪んで見えます(画像の垂直方向と水平方向の寸法を共に拡大縮小するため)。

また、コンポジットについても考えてください。正距円筒図法画像については、その縦方向の位置とスケールを変更しない限り、他の正距円筒図法画像の上にコンポジットできます。被写体を緑色のスクリーンを背景に正距円筒図法で撮影して、それを背景画像の上にクロマキーすることができます。従来のフラットな動画は、別の手順を踏まなければ、正距円筒図法動画の上にコンポジットすることはできません。そのため、アドビでは第四の最もよく使用される効果である、「タイトルとグラフィック」を導入します。正距円筒図法動画の上で、タイトルなど、フラットな画像を操作するには、それを球体に投影しなければなりません。フラットな動画を正距円筒図法動画の上にコンポジットするには、Mettle の SkyBox 360/VR ツール(特に、Mettle SkyBox Project 2D 効果)など、サードパーティプラグインを使用します。

正距円筒図法動画の操作に際して知っておくべき 1 つの重要な組み込み効果は、オフセット効果(「ビデオ効果/ゆがみ」内)です。従来のカメラとは異なり、VR リグには、被写体に焦点を合わせるために使用するレンズはありません。シーン全体が一度にキャプチャされます。さまざまなショットをまとめてカットし始めると、ご使用のカメラの向きが変わったこと、最も関心のある被写体が前のショットとは異なる位置にあることに気付いたりします。被写体を元の表示に戻すために、ユーザーに顔を捻じり回してもらう、なんてことはできません。

「オフセット」効果では、フレーム全体を回転できます。オフセット効果をタイムライン内のカットセグメントに適用し、クリップをパンニングする内容に応じて、「Shift Center To」の最初の数字を左または右のパラメータペアにドラッグします。2 番目のパラメータをシフトしないように注意してください。シフトすると、縦方向の規則に違反します。最後のメモ: この効果はリアルタイムではないため、レンダリングが必要です。Mettle の「球体回転」効果にはリアルタイム動作をサポートします。また、縦方向のチルトも、さらにはローリングも行えます。球体をチルトおよびローリングする際には慎重を期してください。純粋に正距円筒図法の仕組みが原因で画像品質が劣化する可能性があります。

書き出し

正距円筒図法動画の書き出しは、他の種類の動画の書き出しとほぼ同様です(2、3 の注意事項はあります)。

  • 選択する形式とプリセットにかかわらず、書き出し設定ダイアログボックスの「ソース倍率」オプションを「引き伸ばして埋める」に変更することを忘れないでください。このオプションを変更しないと、書き出した動画にレターボックスまたは柱のいずれかを招く可能性があります。その場合は、球体の縫い目が破壊されて歪んでしまいます。
  • H.264、HEVC、または QuickTime を書き出す場合は、「動画」設定タブで「動画は VR」チェックボックスを有効にします。次に、「VR 動画ディスプレイ」設定で行ったように、ソース動画に一致する適切なフレームレイアウトを選択します。この設定を有効にした場合、YouTube および Facebook に公開される正距円筒図法動画は、当該のサービスに処理されてから(アップロードの完了後、最大で 1 時間かかります)、特別の VR ビューアで自動的に再生されます。
  • 非常にサイズの大きい正距円筒図法動画フレームの場合は、コンテナとコーデックを慎重に選択します。Mac で書き出しを行う場合は、QuickTime および ProRes バリアントのいずれかを使用して書き出すオプションがあります。

    Windows では状況はさらに複雑ですが、H.264 が最良の選択です。サイズの大きいフレームを H.264 で書き出すときは、次の手順を実行します。
  1. マッチソースプリセットを使用して、H.264 形式を選択します。
  2. 寸法、プロファイル、レベルのマッチソースチェックボックスを無効にします。
  3. プロファイルを「高」に、レベルを「5.2」に変更します。
  4. ソース倍率設定で「引き伸ばして埋める」を選択します。
  5. 「寸法」の横にあるアスペクト比リンクを無効にし、寸法を 4096 x 2304 (または 2160 for 60 fps)に変更します。
  6. 高ビットレート(100 Mbps など)を選択します。
  7. 最高のスケーリング結果を達成する「最高レンダリング品質の使用」を有効にします。

以下は、H.264 ステレオスコピック書き出し設定の一例です。

H.264 ステレオスコピック書き出し設定
H.264 ステレオスコピック書き出し設定

要約

Adobe Premiere Pro は長期間にわたって、没入型 VR 動画を操作するエディターが使用する標準的なツールになっています。2015.03 バージョンで、Premiere Pro には VR 動画の表示、書き出し、共有を向上させるツールが実装されています。さらには、市場は、VR 動画に関連するあらゆるもの(リグ、カメラ、正距円筒図法動画ステッチャー、効果、VR ヘッドセット、さらにはアプリケーション内蔵のヘッドセットモニタリングなど)を対象に急成長しています。没入型 VR 動画は、発生期であるとともに急成長期でもあります。没入型 VR 動画は、その技術を開発推進しているのは一握りの少数の大手電子機器メーカーではないという点において、ステレオスコピック 3D とは異なります。没入型 VR 動画の技術は、大企業から中小企業まで、数百社の企業によって、多くが協力しながら育まれています。アドビも引き続き貢献し続けて参ります。

リソース

Premiere Pro における 360/VR 動画の編集に関するビデオチュートリアル

Premiere Pro (モノスコープ&ステレオスコピック)における 360/VR 動画の編集

Premiere Pro (モノスコープ&ステレオスコピック)における 360/VR 動画の編集
Premiere Pro における 360/VR 動画の編集方法については、このビデオをご覧ください

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